迷路
掲載日:2026/07/09
街が迷路というのなら
彷徨える足音が哀しみの雫に変わるだろう
日々の絶望の連鎖の街なか
疾走する黒い獣だけが
笑顔を忘れて唸りつづけるだろう
過去の景色が
音を立てて崩れ落ちる落胆に
まるでゲームのようなリプレイがつづく
インチキな星座を
勝手に発見して得意気に紅潮した君のほお
だれにも入れる無料の改札にも
甘い幸せは散りばめられているだろう
豪華な電車に乗りたくなったことはない
こどものころからただの一度も
三日月の欠片が哀しみの雫の色で落ちるから
暗い夜空を抜き手切って泳いでみたくなる
街が迷路というのなら
夜に吹く風は微笑みながら消えてゆくだろう




