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燈守ノ書 〜 大正怪異譚【改稿版】  作者: NOA
第2話 白の陰陽師
14/29

2-6

 夜はさらに更け、やがて丑三つ時を迎えた。

 燈守神社・本殿の奥、灯明の火がゆらりと揺れ、空気がぴんと張りつめる。


「……来るぞ!」

 敬道の鋭い声に、晴臣と玲が息を呑む。

 三人は、燈守神社に伝わる「呪詛返しの印」を結び、言の葉を重ねる。


 ──火水風土、天地の理にて、

 清き光を結び、魔を討つ。

 穢れしものよ、己が業と共に還れ。

 ここに誓い、この地を護る。

 隠滅、呪返──!


 そして森の中、綺良は数珠を握りしめ、空を見上げる。

 迷いはなく、ただ祈りと、すべてを賭した覚悟だけが宿っていた。


「伐折羅焔吒──破邪顕正……」

 呪を唱え、指が空を裂くように印を結び、組み替える。

 やがて最後の印を結ぶと、両腕を天へと高く掲げた。

「──反帰於原界──!」


 その瞬間だった。

 ひと筋の閃光が天を裂いた。

 途中で二つに分かれ──

 一方の細い筋は燈守神社へ、残る大きな奔流は綺良の頭上へと走った。


 轟音とともに大地が震える。

 一瞬で、結界は白々とした光に呑み込まれた。


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