第二章〜考察
宜しく御読みになって下さいませ。
━━そうだ。こちらから電話を掛けなおしてみればいいんだ。
そんね当たり前な考えに、わたしは漸〈ようや〉く気付いた。
すぐさま通話アプリを起動して着信履歴欄の表示をタップし、画面を移動させた。
勝海の番号をタップしてリダイアル・マークも押した。
と、すぐに音声ガイダンスが流れ始めた。
『オキャクサマノオカケニナッタデンワハ、デンパノトドカナイトコロニアルカ、デンゲンガハイッテイナイカスルタメ、ツウワハデキマセン』
「は」
今度は溜息が出た。
━━どういうこと?
その言葉の通り、勝海は電波の届かない場所へと移動したのか。移動中ということか?
逃げて・・・。何かに追われているということなのだろうか?そしてそのものは、わたしをも追おうとしているという意味なのどろうか?だからこそわたしにわざわざ逃げろ、と進言してきたということなのか?
電車やバスなどで移動中ということも考えられた。
そして、電車がトンネルに入って電波の圏外になってしまったとか?
今どきトンネルの中だって、滅多には通話圏外にはならないような気もしたけれど。
それとも何らかの理由でスマホの電源を切ったか、切られたか。或いはバッテリーが切れたとか?
事態が飲み込めない。どういうこと?
私はやはり 混乱していた。
事態が 事態なら警察にでも通報しなければならないかもしれない。しかし、もし そんな場合だったとしたら、彼女は自ら通報するはずではないのか?わたしに電話をする前に。
ならば・・・。
警察に言っても通報内容を信用してもらえないような、とてつもなく 奇異な事態であるとか?
手がかりが少なすぎた。全ての想像でしか成り立たない 想定だ。
わたしは、彼女の言う通り この場から逃げなければならないのだろうか?いや、そもそも彼女がこの場が何処なのかを知らないのだから、この場にいることが 逃げることなのなのかもしれないけれど。
恐怖 が襲ってきた。
どういうこと?
有難う御座いました。