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逃げて  作者: 瀬田川 廡輪
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第一章〜逃げて

よろしくお願い申し上げます。

アイメイクどころではなくなった。わたしはマスカラのブラシを睫毛まつげに当てて、くるくるとしていたところなのであるが再び、

「え」

となって固まってしまった。

不可解な電話であった。

まだ考えがまとまらず、漠然ばくぜんとした不安にさいなまれるだけだったけれど。 

ふと見ればスマートフォンには現在の時間と、通話に掛かった時間、そして勝海のスマホ番号とが表示されていて、その下にむなしく通話終了という文字が、不必要に大きく出ているのであった。

終了といえ文字は、後戻りできない現実を冷たく告げているようであった。

現在の時刻は、ちょうど午前八時となるところであった。

わたしはある違和感いわかんを感じてならなかった。

わたしは大学の前期の期末試験を終えたばかりで、早速 、羽根を広げて街までショッピングに出かけようと思っていたところだったから、出鼻でばなをくじかれて悔しい思いでもあったのだけれど。

勝海はさっき、

「逃げて」

と言った。確かにそう言った。

でも、わたしには家でなければならない者、 ことに心当たりなどなかった。それが違和感 の第一の原因だった。確かに、

「助けて」

なら、ありがちなパターンに思える。が、勝海は確かに逃げて、と言ったのだ。

どういうこと、って思いながら、どういう事ってどういうことで自分にも問いかけた。

答えはあるようにも終えた。でも、まったく思いつかなかった。

逃げて?

わたしら一体、何から逃げなければならないというのか。わたしは何かに追われていたか?いや。そんなはずはない。わたしは怖めて平凡へいぼんで退屈な日常を送っていたから。

今日は日曜日で、大学の講義 もなかった。たまたまだけれど、アルバイトも入ってはいなかった。だから、考える時間はありそうだった。しかし、彼女の切羽せっぱ詰まった言いようからすれば、時間はないのかもしれなかった。

逃げるべきか 逃げざるべきか、それが問題だった。

逃げると言っても、どこに逃げればいいのかもわからない。勝海だってはさっきの通話内容からすれば私の現在位置を知るはずもないのだから、もしかしてこの自宅に逃げろという意味なのかもしれないし。だとしたら、ここから出るのは逆に危険だということになる。

逃げるって何から?それは人間?あるいは人ではない何か?後者だとしたらどう 逃げよう があるというんだ?

分からないことがわからないことを呼んだ。

わたしは混乱して行った。


お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。次、書きます。

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