呵呵大笑
夢を見た。
咲茉が出てきた。
今の今まで一度たりとて、表に出した事がない日緋色金の翼を肩甲骨の辺りから、雄々しくも繊細に空へと広げていた。
やおら羽ばたかせていた日緋色金の翼を徐々に速度を上げて勢いをつけ、地面から足が離れて浮遊したかと思えば、一気に飛翔した。
地から距離を離した咲茉は、一度地に立っていた己を振り返って深々と頭を下げては、一切合切の躊躇なく背中を向けて、彼方へと飛び去って行った。
呵呵大笑した。
そうだそれでよい。
どこどこまでも自由に、力強く、孤高の気高き存在として、飛翔していくがよい。
「咲茉。戻ってこなくてさみしくないの?」
「咲茉。戻ってこなくてさみしくないか?」
「クハッ。さみしいか。だと?戯けが。咲茉は必ず戻ってくるわ。思いもよらぬ成長を遂げて」
「「………おまえ。寛大すぎ。咲茉がドクターを止まり木に選んでも、どうせ喜ぶんだろう?」」
「クハッ。ハッハッハッ!そなたたち。面白い事を抜かす」
「何故こんな状況になっている?」
咲茉は激しく混乱した。
このような状況に至るまでの記憶が一切合切なかった。
「何故、マスターと詩と昴と横に並んで寝ているのか?」
(2024.8.30)




