ティータイム
青と灰の左右非対称の髪型、橙の丸型のサングラスを身に着ける細身で長身の男性、通称ドクター、名を祇園と言う。
紅の竜をマスターと呼ぶ人造人間、外見は少女、咲茉に身体の機械化を依頼されて以降、定期的に咲茉のメンテナンスを行っていた。
基本的に咲茉が祇園のアジトへと赴き、メンテナンスを行っているのだが、祇園が出張メンテナンスを行う事もあった。
「呼ばれて飛び出てじゃんじゃじゃーん。俺様が来てやったよ~ん」
「まだそなたのメンテナンスの日取りではないが。まあよい。ちょうどティータイムである。馳走になって行け」
「ラッキ~。今日のティータイムのメニューは何だ?善」
善と呼ばれた無精髭で骨太で体格が逞しいオッサン、もとい、人化した紅の竜は、白桃クリームのカンリーノ、白桃ゼリー、白桃とレアチーズのタルトと言った。
「おお。桃尽くしか。季節のものだもんな。うんうん。楽しみだ。貴様の手料理はどれもこれも美味いからな。いや~。咲茉はいいところに住み着いたものだ。そのおかげで、俺様もこうやってご相伴に預かれるというわけだ」
「そうだな。吾輩の手料理をその腹に収められる事ほど誇れるものはない。咲茉が居てこそ。そなたは咲茉への感謝の気持ちを形にするべきだな。例えば。メンテナンス代を生涯無料にするなど。な」
「はははははは。今日もまた冗談が冴え渡っているな」
「クハッ。ハッハ。そうであろう」
「はははははは。目が怖い怖い」
「ハッハッハ」
「はははははは」
(2024.8.8)