抱っこ
「咲茉はさ。この森が危険だって知っててよく来たな」
「咲茉はさ。この森に何の生物も住み着かないし足を踏み入れないって知っててよく来たな」
ドクターこと祇園のアジトから帰って来た咲茉が岩の家に帰ってきてすぐに、善と昴、詩に一緒に暮らすと言っては、抱き着いてきた昴と詩に崖へと連れ出されてしまって今。
昼のメンテナンスが終わって祇園のアジトに行っては帰って来たので、支障はないかと考えた咲茉は、飛翔の訓練として崖の頂から樹海の森へと飛び降り続けていた。
「何の生物も居ない方が訓練に集中できると考えた」
「「怖くないの?」」
崖の下に広がる樹海の森で待っていた昴と詩に尋ねられた咲茉は、怖くないと答えた。
「「何で?この樹海の森に食べられちゃうかもしれないんだよ?」」
「逃げ切れる自信があるから大丈夫だ」
「俺たちからは逃げ切れなかったくせに」
「私たちからは逃げ切れなかったくせに」
「あなたたちは特別だ」
「俺たち、とくべつ?」
「私たち、とくべつ?」
「ああ」
「「えへへへへへ」」
ぴょんぴょんぴょんぴょんぴょんぴょこりん。
昴と詩は咲茉の周囲を跳ね回った。
「ほら。崖の頂に跳躍するから少し離れていろ」
「なあなあ。抱っこして」
「ねえねえ。抱っこして」
「「抱っこして跳躍して」」
「………一度だけと約束できるか?」
「「うん!」」
咲茉が片膝を地面に着けて両腕を広げると、昴と詩が抱き着いてきたので、そのまま二人の背中に両腕を回しては、行くぞと言い一気に崖の頂へと跳躍したのであった。
(2024.8.26)




