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得体のしれない存在




「貴様は本当に俺様を頼りにしているのだなあ」


 ドクターこと祇園ぎおんのいくつかあるアジトの内の一つにて。

 まさか一日空けてもうアジトに来るとは思いもしなかったドクターこと祇園は、しみじみとしながら咲茉えまを見下ろした。


「すまない。ドクター」

「で?その未知なる双子はどこに居るのだ?俺様も見てみたい!」

「マスターが見てくれている」

「ははあん。詰問しているのだろう。貴様の傍に本当に置いていいのか見極める為に。はははははは。面倒な事をするなあ」

「マスターが何を考えているのか。わからないが。わかる必要もないだろうが。不甲斐ない。こんなにも優柔不断とは思いもしなかった。もう、ドクターに頼るなど」

「うんうん。存分に葛藤せよ。混沌の感情で発生させては血肉を湧き躍らせよ。うんうん。青春だあ」

「………ドクターはどう思う?樹海の森は、生物は居ないと聞いていた。飲み込まれて帰っては来られないので、人間のみならず、他の生物も危険を察知して、足を踏み入れてはいないのだろう。確かに、生物の気配はなかった。双子は迷い込んだだけだろうか。それにしては、困惑や悲哀などの感情は発生していなかった」


 祇園はいつまでもアジトの出入り口に立ったままの咲茉を奥へと移動させて、イ草で作られたアームチェアに座るように勧め、祇園自身はイ草で作られた座椅子に胡坐をかいた。

 これで目線の高さは大体同じになった。


「俺様を頼ってくれた貴様の期待を裏切る事になるだろう。俺様も貴様の判断を尊重する。何も言葉は与えない」

「………そう。だ。な」

「そんな悲壮感たっぷりの顔になるな。簡単な事だ。マスターと二人きりの生活を邪魔されたくないか、邪魔されたいか。どちらかを選べばいい」

「………マスターの手を煩わせたいか、煩わせたくないか。か?」

「まあ。どちらでもいい。どうだ?」

「マスターの手は煩わせたくない。が」

「が?」

「あの双子を放り出す事もできない」

「ふむふむ。己の頑張りを認めてくれたからか?」

「………私も。あんな。目をして。マスターに願い出たのかと思ったらどうしても。私も衝動的に願い出たので。気持ちは。わかる。わかるからこそ。拒めない。私はマスターに受け入れてもらえた。私も得体のしれない存在だ。双子と同じ。何故、私が、私と同じような存在を拒めるのか。世話ができるのか。危険な存在だった場合どのように処置するのか。考えなければならない事は山ほどあるのに。そう。わかっているのに」

「ふうむふむ。答えは出ているではないか」

「………不甲斐ない。私は、ドクターに背中を押されなければ、判断が下せない」

「俺様はドクター冥利に尽きるがな。はははははは。いいぞいいぞもっと頼るがよい」

「ドクター。ありがとう。恩は一生を懸けて、返し続ける」

「はははははは。ぜんにやきもちを焼かれそうな言葉をもらってしまったな。はははははは」











(2024.8.26)




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