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お昼寝




 威風堂々たる吾輩の羽ばたきの前では、如何な生物でも無生物でも、吾輩に音を届ける事は叶わず。

 吾輩は偉大な紅の竜。

 吾輩が飛翔している時、世界を、音を、響きを支配する。

 もう一度言おう。

 吾輩の羽ばたきの前では、如何な生物でも無生物でも、吾輩に音を届ける事は叶わない。

 はずだった。




『お願いだ!私を空へと導くマスターになってほしい!』




 一音も欠かす事なく、吾輩に届いた。

 言葉として。吾輩に届けたのだ。あの童は。生物の血肉を僅かに残す、童の姿形をした機械生命体は。


 クハッ。

 吾輩は歓喜に打ち震えた。


 よかろう。よかろうよかろう。

 吾輩の羽ばたきに打ち勝った唯一無二の存在よ。

 そなたの願いを叶えてやろう。






「マスター。一日に三度も、しかも、マスター自ら私のメンテナンスをする必要はない。ドクターに一か月に一度依頼しているので大丈夫だ」

「吾輩のように気高く飛翔したければ、吾輩の言葉を素直に受け取るがよかろう。うむ。ほれ。昼のメンテナンスは終わった。異常はない。次は夜のメンテナンスだ」

「………必要ないと思うのだが」

「必要あるからしているのだ。うむ。お昼寝の時間ぞ。吾輩と共に寝ようぞ」

「………必要であるならば」

「必要だ。何度も言っておろう」

「………わかった」











(2024.8.8)




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