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ひらりひらひら




「己の肉体に兵器を組み込んだとて、貴様が完璧な存在になったわけではない。そもそも完璧な存在などこの地上に存在しない。完璧に見える俺様とて完璧な存在ではない。己の心情を言語化できない事もあれば、己の心情に己の肉体が振り回される事もある。他者の言動により己の心が、肉体が振り回される事がある。生きとし生ける者の宿命だ。それを。はあああああ。咲茉えまよ。ぜんを案ずる貴様の想いはまことに尊いが。気にする必要は皆無だ。か・い・む。あいつは、善は、俺様が貴様に組み込んだ兵器を全部放出したとて、兵器をどれだけ変容させて強力にさせたとて、無傷。とは言わないが。めっちゃへっちゃら。腹立つけどめっちゃへっちゃら。あいつは貴様のすべてを受け入れる」


 胸を張って告げた祇園ぎおんの言葉に、けれど、咲茉は浮かない表情のままだった。

 やれやれ。

 祇園はやおら首を左右に振ってのち、俺様の言葉では貴様の憂いを和らげる事はできないなと元気満々に言った。


「すまない、ドクター。とても、力強く、その通りだと。ドクターの言う通りだと、わかっている。のに。私は。本当に。怖い。ドクター。私は、私が、怖い。私は………私は、マスターが、怖い。怖いと思う私が、ひどく。わからない」

「ふむ。そうか。ならば、暫く善の傍を離れて、俺様のアジトに滞在するか?」

「………」

「ふむふむ。怖いが離れたくない。離れたくないから、離れる為に、自分を殺そうとした。殺せなかったから、俺様を頼った。だが、俺様に断られた。俺様のアジトに滞在するかとの申し出を、貴様は断るか受け入れるか悩んでいる。さてさて。どうしたものか」

「………私は、ドクターに甘えているな」

「甘えていいぞ。存分にな」


 咲茉は口の端を少しだけ上げた。


「………ありがとう。ドクター。身体が軽くなった。消えかかっていた飛翔したい想いが甦った。マスターの元へ帰る」

「いつでも来てよいぞ」

「感謝する。ドクター」


 祇園の明るさに救われた咲茉は深々と頭を下げた。

 気にするな。

 ひらりひらひら。

 祇園は手を軽く振ったのであった。











(2024.8.22)




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