憂い
(時間が経っても、不要な思考が消去されない)
夜のメンテナンスが終わり、咲茉は善とメンテナンス部屋で別れて、自室へと戻り、寝台で横になって眠りに就いた。
あらゆる種類の兵器が使用可能な事。
メンテナンスが必要な事。
それ以外は人間と同じように生活できていた。
食べる事も、寝る事も、排泄する事も。
翌朝。朝食前に行われた朝のメンテナンスを終えて、台所で咲茉は善と共に朝食であるサンドイッチを作っていた。
サボテンの花の揚げ物と蜂蜜、ハムと卵とキュウリの組み合わせの二種類のサンドイッチであった。
「異常はないはずだが。顔色が優れないな。何か、不安な事があるのか?咲茉」
「いや。問題ない」
「そうか。それならば、よいが。何かあったら、吾輩に遠慮なく申せ。力になる」
「………マスター」
「うむ」
「私は、マスターのように、飛翔、できるだろうか?未だ、私は、飛翔できてはいない。ただ、高く飛び跳ねているだけだ」
「そうか。それが、不安だったのか」
「ああ」
「クハッ。咲茉。吾輩はそなたにとってどのような存在だ」
「私を空へと導いてくれるマスターだ。天上無敵の、マスターだ」
「そうだ。吾輩がそなたの願いを受け入れた時点で、必ずそなたは吾輩のように飛翔する事が確定された。心配は無用。ではあるが。不安な気持ちは今のように吐き出してくれ。溜め込むと身体に悪い。どのような事でも、吾輩は咲茉の言葉を受け止める。受け止めたい。言葉を返したい。寄り添いたい。そなたの憂いを消したい」
「………マスター。感謝する。私は、必ず、飛翔する。どうか、これからも、指導を頼む」
「ああ。吾輩こそ、これからもよろしく頼む。傍に、居てくれ」
「はい。マスター」
(2024.8.17)




