第9話 初等学院への準備?①
お久しぶりです。最近になってやっと慣れてきたので再開したいと思いますが、今学校行事の準備で忙しくて終わったら定期考査があるのでまたしばらく止まるかもしれません。
後半はクルス視点です。
ま、魔力測定があるなんて、わたしこの人生も転生から数日で終わった・・・いや、ちょっと考えれば分かったことだけど、考えないようにしていたという方が正しいかもしれない。
魔力測定は、水晶の魔道具に触れるとそれぞれの属性を表す色に光って、魔力の量が数値化される。だから、わたしが魔力測定を受けてしまうと光属性がバレて、中途半端な魔力だったら奴隷みたいな訓練が・・・
「僕はもう測ったけど、ミナの測定が急遽決まったから父上が2週間後に予約したって3日前に聞いたけど」
「え、そんなに早いんですか!?」
マズい・・・思ったより余裕がない・・・
「なるべく早く測って、僕の従者として僕と一緒に初等科の学校に連れていきたいんだってさ。僕たちが怪我したりして、もう入学式には間に合わないみたいだけどね」
「そ、そうなんですか・・・」
もう諦めて受けるしかないのか・・・というか、入学式に間に合わないの実質わたしのせいでもあるから申し訳ないです。
「10日後までに間に合わなかったら来月以降になっちゃうけどね」
10日後ですか・・・さすがに魔力測定は避けられなさそうですね。はぁ・・・
「最悪魔力測定しなくても学校に連れて行くらしいけどね」
・・・それ、ヤバくないですか?
わたしが行った初等科の学校、入学式に自分と使用人の魔法自慢大会なるものがあってみんなすごい人連れてくるんですけど・・・そこに行ってお前の使用人はどうなんだとか言われて万が一魔法が使えないとか光魔法だなんて知られたら・・・
「はぁ・・・」
「どうしたの!? そんなこの世の終わりみたいな顔で溜息ついて!?」
「いや、何でもありません・・・ええ、なんでもないですよ」
「今の間がとても気になるんだけど・・・10日後に行けるようにしっかり休んでね」
「はい」
「それじゃあ、また来るね」
「はい」
わたしは笑顔で手を振ってくるクルス様に笑顔で手を振り返した。
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「ふう・・・階段を上がっただけなのに、結構疲れたな・・・」
僕はミナの部屋から出て、自分の部屋に帰ってきた。2階から3階に来ただけなのに、すぐに息が上がった。まだゆっくりしといたほうがいいかな・・・と思い少しフラフラしながらも自分のベッドに腰掛けた。
「あと3日くらいすれば魔法の練習も始まるし、しばらくはゆっくりしておこうかな」
コンコンコン
「? はい」
「ネルです。入っていいですか?」
「ん? ネルか。ちょっと待ってね」
まだ少し疲れているけど、立ち上がってドアを開けに行った。
「いらっしゃい。どうしたの?」
「お兄様とお話がしたくて遊びに来ちゃいました。駄目ですか?」
「いや、大丈夫。入って」
「はい! お邪魔します!」
ネルは僕より2歳年下で、いつも元気に遊んでくれと僕にせがんできて、そして何よりかわいい。鏡よ鏡、世界で1番可愛いのはうちのネル以外認めないぞ。それに駄目ですか? なんて上目遣いで頼まれちゃぁこの疲れも吹っ飛ぶってもんよ。
「お兄様?」
「ハッ・・・いや、何でもないよ。わざわざ部屋にまで来て、どうしたんだい?」
いけないいけない。まだ僕は優しくて頼れるカッコいいお兄様でいたいぞ。
「そうですか?・・・もしかして、まだしんどかったですか? わたしが来ちゃったから?」
「そんなことないよ。僕はネルが来てくれて嬉しくて疲れが吹っ飛んだからね」
「そうですか? なら良かったです!」
「それで、何をお話しようか?」
「わたしも、ミナさんと仲良くなりたくて、それで、お兄様にミナさんはどんな人なのか聞きたくって」
「そうか。でも、僕もあんまりミナのこと知らないよ? 優しい女の子で僕の命の恩人だね」
「そうなんですか? わたしも仲良くなれるかな?」
「ネルなら誰とでもすぐに仲良くなれるから大丈夫だよ」
「じゃあ、今度お兄様がミナさんの部屋に行くとき、一緒に行ってもいいですか?」
「あぁ、もちろん。明日も行くから一緒に行こうか」
「やったぁ! ありがとうございます! お兄様!」
いいんだよ、僕はネルの満面の笑みが見れて嬉しいからね!
それから僕たちは小一時間とりとめない話をした。
「あ、そろそろお勉強の時間です! 遅れたら怒られちゃう! お兄様、それじゃあわたしは部屋に戻りますね!」
「もうそんな時間か。またあとでね」
「はい! またあとで!」
はぁ、帰っちゃった。まぁ、夕食でも会うことになるし、いつでも会えるんだけどね。
ネルが来てくれて疲れが吹っ飛んだとはいえ、まだ本調子じゃないし、夕食まで寝ていようかな。
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コンコンコン
「クルス様、夕食の準備が整いました」
「んっ・・・わかった、今行くよ」
結構寝てたからだいぶすっきりした気がする。うん。
少し身だしなみを整えてから部屋を出て、食堂に向かった。久しぶりに家族でご飯を食べられるから楽しみだ。部屋で一人で食べるの寂しかったし、メイドに食べさせてもらうのも恥ずかしかったから、食堂に向かう足もこころなしか軽い気がする。
食堂についたら、すでに全員揃っていて、僕が遅れてやってくる形になった。
僕が来て全員揃ったこと確認すると、父上が食前の祈りを始めて、それからみんなで夕食を食べ始めた。
しばらくは母上と父上が体調はもう大丈夫なのかと色々聞いてきて、ネルは食事のマナーを間違えないように頑張っているからかさっきから一言も喋っていない。頑張ってるところもかわいい。
僕が8割ほど食べ終わった頃に、父上が部屋に来るように僕に言って自分の部屋に戻っていった。
僕は夕食を食べ終わった後に一度部屋に戻り、少し休憩してから父上の部屋に行った。
コンコンコン
「はい」
「クルスです」
「クルスか、どうぞ」
「失礼します」
僕を呼び出してどうしたんだろう、と思いながら中に入り、父上に促され椅子に座る。
「どういったご要件ですか? 父上」
「そんなに固くならなくていいよ。お父さまって呼んでいいんだよ?」
「・・・お父さま、どういったご要件ですか?」
「そうそう、クルスが初等学院に通い始める日が決まったよ。5月の3週目の月の曜日だ」
「そうなんですか? じゃあ僕はそれまでに色々勉強しないとですね」
ちなみに月の曜日は一週間のはじめの日で、一週間は月、火、水、風、土、闇、光、安息の曜日の8日で、1ヶ月は4週間で32日まである。1年は12ヶ月の384日ある。
一週間で休日は安息の曜日だけだが、学院は光の曜日は午前中だけの授業だから休みは2日みたいなもんだ。
「そうだけど、魔法の先生の授業が始まるまではゆっくり体を休めておくべきだぞ。決して軽症じゃ無かったんだから」
「分かっていますよ。でも、皆さんに追いつけるように頑張ります!」
「頑張るのはいいが、忙しくなるぞ? 寮に連れて行くメイドの選別、持って行く荷物、ミナの魔力測定などなどたくさんだ。荷物はメイドに準備してもらえばいいけど、ほかはクルスもやるんだぞ」
「うっ・・・頑張ります・・・」
「はぁ、大丈夫かねぇ・・・まぁ、今日はもう寝る用意をして寝なさい。明日もゆっくりするんだよ」
「はい。おやすみなさい、お父さま」
いや~クルス様のシスコンが判明しましたねぇ
自分にもこんなお兄ちゃんか妹がいればなぁ