第7話 一件落着
助けを呼んで叫んでいたら、クルス様が来てしまった。助けに来てくれて嬉しいけど、この医者の目的はクルス様を殺す事。だから、それを知らせないと!
「ふるふふぁま! ふぃふぁはめ!」
「おや? そっちから来てくれるなんて、嬉しいですね」
「はぁ、はぁ、なぜ彼女を拘束しているんですか」
「そりゃあ、彼女は私の依頼を邪魔をする存在ですからね。終わるまで監禁してようかとも思いましたけど、消したほうが早いですから、今準備をしているところですけど、まぁ、あなたより先に彼女を殺してしまわないと回復されちゃいますからね。 まぁ、準備をするので大人しくしていてくださいね。」
「お前ッ・・・」
「フンッ」
「ぐぁっ」
「ッ!」
医者はクルス様に近づいて、クルス様を殴り飛ばした。クルス様はそれで気を失ったのか、ピクリとも動かない。うるさくしたらわたしも殴られると思い、怖くて黙り込んでしまった。
でも、少しするとクルス様が動き出して、ゆっくり近づいてわたしの縄と口もとのタオルを解いてくれました。
「クルス様っ」
「手を縛られているふりをして静かに聞いて。今から、こっそりドアに近づいてそのまま逃げる。バレたら僕があいつの気を引くからきみは逃げて助けを呼んできて。わかった?」
「ダメです! わたしが気を引くので、クルス様が逃げてください!」
「僕は大丈夫だから。・・・行くよ」
「はい・・・」
狙われているのはクルス様なのに、クルス様が気を引いてわたしが逃げたりしたらクルス様殺されちゃう・・・
「おや? 目が覚めていたのか。やっぱ縛っといたほうが良かったな」
「ッ! 逃げろ! ミナ!」
「でも!」
「早く行け!」
「そうはさせません、よっ!」
「危ない!」
―――ドンッ
あのときと同じように誰かに突き飛ばされて、後ろを振り返ると、医者がチュウシャキと言っていた筒を腕に当てられているクルス様がいた。
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医者が液体が入った筒の先についている針をミナに刺そうとしていて、ミナを突き飛ばしたら、腕に針を刺されて、体の中に液体のような何かが入る感覚がした。
「クルス様ッ!」
「う、おぉッ!」
「なっ!?」
だんだん力が抜けていくなか、最後の力を振り絞って医者を突き飛ばすと、医者は机に頭をぶつけて気絶した。
それと、刺されてから息がしづらくなってきて、ベッドで寝ていたときより苦しい。
「ぅ・・・ぁっ・・・」
「クルス様! クルス様ッ! しっかりしてください! 今助けますから!」
ミナはそういって僕の手を握って力を入れて、しばらくすると手のひらから光が溢れ出した。
「ミ・・・ナ・・・」
「! はい! ミナですよ! クルス様!」
「・・・ぶ・・・じ?」
「えぇ、クルス様のおかげです! だから、しっかりしてください!」
あぁ、ミナが無事で良かった・・・
何かが僕の頬にあたっている。泣いているのかな。
「そ・・・ん・・・なに・・・なか・・・な・・・いで・・・・・・」
「クルス様?」
「・・・・・・」
「い、いや、クルス様! クルス様っ! し・・・りして、・・・様!」
もう、視界もぼやけて何も見えない・・・ミナが何を言っているかもわからなくなってきた・・・
ミナが必死に何かを言っているように見えるけど、何も聞こえなくなって・・・そこで僕の意識は途切れた。
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ずっと治癒魔法を掛けているのに、目を覚ましてくれない。なんで? どうしてわたしの周りの人はわたしを守って死んでいくの?
クルス様が倒れてからずっと名前を呼びながら治癒魔法を掛け続けている。魔力がどんどん抜けていって、もうすぐ底をつきそうだ。魔力を使い過ぎると命の危険があると言っていたけど、私の命なんてどうでもいい。だから、早く、目を覚まして・・・
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「・・・様ッ! ク・・・様!」
誰かが僕を呼んでいる・・・それに、手のひらがあたたかい・・・
「・・・ルス様! クルス様!」
少しづつ息苦しさがなくなってきて、聞こえてくるようになってきた。
「お願い・・・目を覚まして・・・」
声をかけたいけど、くちびるがかすかに動くだけで喋れない。
「クルス様・・・」
僕が目を覚ましたら、ミナが僕の手を握って泣いていた。
「・・・ミ・・・ナ?」
「クルス様! 良かった・・・」
それだけ言うとミナは僕の横に倒れてしまった。泣き疲れてしまったんだろうか。
あたりを見回すと、医者がまだ気を失って倒れている。今起きてきたら大変だ。早く部屋を出ないと。でもミナは眠っているし、僕の体は言うことを聞いてくれない。
コンコンコン
「お医者様! いらっしゃいますか! クルス様がいなくなってしまって、一緒に探してもらえないでしょうか!」
「ルーナ!?・・・たす、けてっ・・・」
「今部屋に居ないのか・・・探しに行かないと」
!? せっかくルーナが来てくれたのに、声が届かなくて行ってしまった。くっそ、今のが最後のチャンスだったかもしれないのに・・・
僕はいつ医者が起きてしまうのかという恐怖に襲われながら助けを待った。
コンコンコン
「お医者様、いらっしゃいますか? 居るならあなたと話がしたいのですが」
「父上!・・・たすけて・・・ください・・・」
声が届いているとは思わないけど、お願いだから気づいて・・・
「いらっしゃいませんか? ・・・入りますよ」
―――ガチャ
「!? クルス!」
「! ちち、うえ!」
「なぜここに居る? それになぜミナも医者も倒れているんだ?」
「医者が・・・僕とミナを・・・殺そうとしてきて・・・」
「いや、今のでなんとなく分かった。話は後で聞くから、クルスはもう寝ていろ。疲れただろう? クルスたちは僕がこいつを縄で縛った後で部屋に運んでおくから」
「・・・・・・」
「・・・もう寝てる・・・よく頑張ったな、クルス」
父上がなにかを言った気がしたけど、僕は睡魔に勝てなくて眠ってしまったから、良く聞こえなかった。
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医者を縛って、クルスたちを部屋のベッドに寝かせたあと、医者を地下牢に運んでいつでも尋問できるようにしておいた。
翌日、地下牢を見に行くと、頭に包帯を巻いてこっちを睨みつけている奴がいた。
「やっとお目覚めか」
「くっそ、もうちょっとで大金が手に入ったのに」
「・・・それはどこからの依頼だ?」
「・・・暗殺者ギルド経由だよ。だから依頼人は知らねぇ」
「一応聞くけど、依頼内容は?」
「オールハイド家の長男、クルス・オールハイドの暗殺。報酬は金貨200枚」
「200枚!?」
金貨が200枚もあれば、平民の3人家族でも働かずに4年は暮らせるぞ!?
「そんなに大金を払ってでも殺したい理由があったのか・・・?」
「そんなの俺だって聞きたいよ・・・まぁ、こうして失敗しちまった。殺すなりなんなりするといい」
「あぁ、お前は犯罪奴隷として王国に送る」
「そんなんでいいのか? 甘いな、お前」
「じゃあ王都で裁判を受けて公開処刑とはいかなくても裁きを受けるか?」
「犯罪奴隷送りで頼むよ」
「まぁ、僕にも裁判してられる時間ないからね。じゃあ、僕の用は終わった。あとは騎士たちに任せるよ」
「お任せください!」
金貨を200枚も払ってでもクルスを殺したいなんて、どんな理由があるんだろうか。
ルーカス様は庶民的な考えの持ち主のようです。
ちなみに金貨200枚は2000万円くらいですね。
追記:ちゃんと計算したら5年暮らせましたけど、まぁ、この世界は税金が高いんでしょうね




