第3話 メイドになりました
ちょっと物語が思い浮かばなくて・・・いや、ごめんなさい、作者のスキル〈三日坊主〉が発動して遅くなってしまいました。お待ちかねの第3話です。
「え・・・?」
「と、盗賊どもめ! 無抵抗の女の子を、き、傷つけるなんて、ぼ、僕が許さない!」
「あぁ? 何だとクソガキ?」
「ヒッ・・・う、うおぉ!・・・うわっ!」
「あぁ? 威勢はいいがそれだけか?」
「ぐぁっ・・・」
もう・・・もうやめて・・・わたしに近づくとあなたまで死んじゃう・・・
「おらっ、反撃してみろ、っよ!」
「ぐっ・・・げほっ・・・」
あぁ、目の前の男の子が盗賊たちに殴られたり蹴られたり、剣で斬られたりしてどんどんボロボロになっていく・・・
「そこの盗賊ども! クルス様から離れろ!」
男の子が来たのと同じ方向から騎士の男の人が走ってきて、盗賊を斬りつけた。というか、この目の前にいる男の子クルス様って言うんだ。
そうこうしているうちに、駆けつけてきた騎士が盗賊をすべて撃退していた。
「クルス様! あぁ、ひどいお怪我をなさって・・・あれほど先にいかないでくださいって言ったじゃないですか」
「うぅ・・・そこにいる女の子は、大丈夫?」
「え・・・あ、はい。大丈夫です。まもってくれて、ありがとう、ございます」
「本当に大丈夫ですか? ならいいんですけど・・・クルス様! 襲われている馬車がいても、勝手に飛び出さないでくださいよ!」
「うっ・・・ごめんなさい、シーク。でも、僕と同じくらいの女の子が怖がっていたから、たすけなきゃと思って・・・」
「そういうのは私達に任せてください! クルス様は自分の身を守ってください!」
「あ、あの~」
「うん? どうされました?」
「く、クルスさま? はもう寝てますけど・・・」
「えっ!?・・・まぁ、結構な大怪我をされていますし、ここじゃあ応急処置くらいしかできないので早く屋敷に連れて帰りましょうか。あなたも屋敷に一緒に行きましょう。疲れていると思いますし、きっとルーカス様も奥様も許してくださいますし」
「え・・・あっ、おねがいします・・・」
それからクルス様たちが乗ってきたと思われる馬車に乗ったら、緊張が解けて眠ってしまったのか、その後は覚えていない。
―――――――――――――――――――――――
「ん・・・ここは?」
「目が覚めましたか? ここはルーカス様のお屋敷ですよ? 覚えてないですか?」
目が覚めたら見知らぬメイドさんが優しく話しかけてくれた。ルーカス様・・・あぁ、思い出した! 助けてくれた騎士の人が言ってた人のことですね!・・・あっ!
「あのっ! く、クルス様は!? クルス様は大丈夫ですか?」
「クルス様はまだお目覚めになっていません。なにぶん怪我がひどかったようで・・・」
「ッ!・・・わたしの、せいだ・・・」
「いいえ、あなたのせいではありませんよ。話はシーク殿から聞いております。ですが、クルス様が助けに入らなければあなたは死んでいたとおっしゃっていましたよ。ですから、あなたはクルス様にごめんなさいではなく、ありがとうございますというべきだと思いますよ」
「え・・・でも・・・」
「それに、クルス様も謝られるより、感謝される方が嬉しいと思いますよ」
「・・・はい。ありがとうございます。わたし、もしできたらでいいんですけど、クルス様のこと、看病したいんですけど、だめですかね? わたし、助けてくれたクルス様に、わたしにできることをしたいんですけど」
「もう少し休まなくても大丈夫ですか? できればもう少し休んでいる方がいいと思いますけど」
「わたしは大丈夫です! だから、お願いします!」
「・・・わかりました、ルーカス様に聞いてきますので、私が帰ってくるまでゆっくりしていてくださいね」
「ありがとうございます!」
それからしばらくしたら、さっきのメイドさんがクルス様と同じ水色の綺麗な髪をした男の人とやってきた。
「君がシークが言っていた女の子だね。名前はなんて言うんだい?」
「か・・・じゃなくて、ミナと申します」
「そうか、私はルーカス・オールハイド。このあたりの領主で、クルスの父だ」
「! 助けていただき、ありがとうございます。それと、ごめんなさい! わたしのせいで、ご子息に大怪我をさせてしまいました!」
「いや、謝ることはない。クルスは危険なのはわかっていただろうし、そんな中盗賊たちに立ち向かって人を助けたんだ。父親として誇らしいよ。ただ、護衛の騎士もいるのに勝手に飛び出していったのは、後で目を覚ましたら叱っておかないと」
「あの、あんまり怒らないであげてください。わたし、クルス様に助けてもらっていなければ、今頃どうなっていたか・・・」
「まぁ、そうしてあげたいけれども、侯爵家の長男として、あまり危険な行動をしてもらっちゃ困るからね。大丈夫だよ、叱ったあとはたくさん褒めるから・・・おっと、本題を忘れていたよ。ミナ、君、クルスの看病がしたいんだって?」
「は、はい! クルス様に助けていただいたお礼が、なにかしたくて・・・」
「いいよ、全然」
「え・・・いいんですか?」
「あぁ。でも、服は着替えてもらうよ。というか、もしよければうちでメイド見習いとして働かないかい? もちろん、衣食住は保証しよう」
「ほ、本当にいいんですか?」
「あぁ。・・・いやかね?」
「いや、じゃないです。ここで働かせてください!」
「よし、そうと決まればまずは着替えてもらおう」
こうして、わたしはクルス様の看病だけでなく、ここで働かせてもらえるようになった。
「あの・・・このメイド服、変じゃないですかね?」
「全然そんなことないわよ! とっても似合ってる!」
「あ、ありがとうございます」
「ほんとはメイドとして掃除とか洗濯とかを教えたいところだけど、ルーカス様からクルス様の看病を一緒にするようにと仰せつかってるから、クルス様のお部屋に行きましょうか」
「は、はい!」
「あ、でもその前にこのお屋敷のことを案内しておきましょうか」
「はい! お願いします!」
「じゃあ行きましょうか」
「はい!」
それからこのメイドさん・・・ルーナさんに屋敷の部屋を案内してもらった。応接室や騎士の部屋、執事たちの部屋は1階らしい。
「ここがあなたの部屋よ。好きに使ってね」
「あ、ありがとうございます」
以前メイドの部屋は王宮のものだから広いけど普通もう少し小さいと聞いていたけど、王宮のメイドの部屋と同じくらいの大きさをしていて少し驚いた。・・・まぁ、私の部屋より狭いですけど、檻の中より広いですし、とってもありがたいです!
そして2階はメイドの部屋と騎士長室があって、それだけなのにたくさん部屋がありました。空き部屋も多いそうですが、掃除は自分たちで自分の部屋を掃除するのでメイドの部屋の掃除はあまり大変ではないのだそうです。2階に他の使用人の部屋がないのは男女同じ階にしていざこざが起きないようにするためだそうです。
そして3階はルーカス様、奥様、クルス様、妹のネル様のお部屋、ルーカス様の執務室、食堂、厨房、それと客人用の部屋などがあるようです。このあたりの掃除はしっかりするようにと言われました。
「じゃあ、案内が済んだからルーカス様のお部屋に行きましょうか」
「はい!」
「・・・びっくりしないでくださいね?」
「? はい」
なぜだろう? びっくりしないでくださいと言われてしまった。ルーナさんは何にびっくりしないでと言っているんだろう?
コンコンコン
「失礼します。メイドのルーナとミナです」
「あ、し、失礼します!」
「あぁ、メイドさんですか。どうぞ、入ってください」
部屋に入ってきてから薬湯のきつい匂いに思わず顔をしかめてしまいそうになったが、びっくりしないでくださいとはこのことだと思って、何とか顔に出さずに済みましたが、その後に見た光景にハッと息をのんでしまいました。
―――クルス様が上の服を脱がされて、全身傷だらけで苦しそうに意識を失っているところを。