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第2話 わたし、転生したかもしれません

今後の話のことを考えて、主人公の年齢をほんのちょっと変更しました。

7歳→2月に7歳になる

「ここは・・・?」

「ん、起きた? ミナ? ここは見ての通り相変わらずきったない(おり)の中だよ〜 現実逃避してる?」

「お前、さっきあいつに殴られて気絶してから全然起きねぇから心配したぞ・・・こいつがな」

「はぁ?あんただって心配しておろおろしてたじゃない」

「あぁ?お前だって『ど、どうしよう、ミナが全然起きないよ〜』って泣いてたじゃないか」


 この人たちは何を言っているんでしょう?わたし、ミナじゃないですし、ボロボロの服を着ているうちの国にはあまりいない黒髪黒目の目の前の2人はわたしと友達みたいに接しているけど、存じ上げないですし・・・って、私も服がボロボロなんですけど!? というか、なんでわたしたちは(おり)の中に入っているんですの? というか、お二人のお名前を聞かないと。


「あなた達はお名前はなんていうんですか?」

「「えっ・・・」」


 あれっ?わたしなにかおかしなことを言ったかしら?2人が固まってしまいましたわ。


「俺達、村が貧しくなって一ヶ月前から口減らしに奴隷(どれい)として売り飛ばされたじゃないか。覚えてないのか?」

「きっとあいつに殴られて記憶が飛んでるのね。あたしはミズキ。で、こいつがハルヒ。あたしとこいつもミナと同じヒノマル王国のヤマテ村出身で、今は東大陸から中央大陸に向かっているはずよ」


 ひ、東大陸!? ステカラ王国がある中央大陸からかなり遠いじゃないですか! まぁ、中央大陸に向かっているなら大丈夫ですわね。というか、ミナって誰でしょう? まるでミナがわたしみたいに話していますけど、まぁ、聞いてみればわかりますか。


「あの、ミナって誰のことですか?」

「えっ・・・」

「はぁ・・・お前、自分の名前も忘れたのか?」

「えっ・・・あ、い、今は魔法歴何年の何月何日ですか? あと、2人は今何歳ですか?」

「今は魔法歴857年の7月26日で、あたしたち3人は同い年で7歳だよ。・・・あ、ミナは2月3日生まれだからまだ6歳か」

「えっ!?」

「お前・・・忘れすぎだろ・・・」

「おい! うるせぇぞ! 晩飯抜きにするぞ!」

「! ごめんなさい! うるさくしません! だから、それだけは・・・」

「・・・ふん、わかったならいいんだ。そら、今日の晩飯だ。さっさと食って寝ろ」

「・・・おい、忘れてるかもしれねぇから先に言っておくぞ。あいつには逆らうな。また殴られるぞ」

「わ、わかりました」


 それからわたしたちは黒くて硬いパンと少ないスープを飲んで肌寒い檻の中で地べたに寝転がり、わたしはみんなが寝たのを確認して考えていました。


「わたしはカーラ・アル・ステカラ。ステカラ王国の第3王女で、王宮にいて・・・! 革命軍と名乗る人たちにに襲われて、それで、お兄様がっ・・・」


 あのときのことを思い出すと泣きそうになるけど、さっき聞いた言葉がなにか引っかかるような・・・


「! あの日は魔法歴864年の7月24日で、お兄様は14歳だったから、わたしお兄様と同い年!? というか、なんで?」


 まぁ、もう会うことは無いと思いますけど・・・今の7歳・・・いや、お兄様は10月生まれだから6歳のお兄様は元気でいらっしゃるのでしょうか・・・


「というか、わたしも黒髪になっているんですけど・・・」


 お兄様と同じ綺麗な銀髪で気に入っていたんですけど・・・ということは、わたし、転生というやつをしたのかもしれません。なぜ過去に転生したのかはわかりませんけど、もし、また会うことができたら、今度はわたしがお兄様を守ってみせますわ!・・・まぁ、もう会えないと思いますけど・・・考えていたら眠くなってきました・・・おやすみなさい・・・



―――――――――――――――――――――――――――――――



 3人で話していたらわかってきたんですけど、元から貧しかったけど不作が続いてやっていけなくなったのか、わたしたちは丁度やってきた奴隷商人に口減らしに売られたようで、中央大陸に向かっていると分かっているのは、奴隷商人が『中央大陸で売ったほうが最終的に高値で売れる』と言っていたそうです。この檻の他にも、奴隷商人に買われた奴隷が数人いるようですけど、殴られるのが怖いのか話し声は全く聞こえません。

 10日も一緒にいると、仲良く話すようになったけど、ご飯は硬いしちょっとしかないし、お風呂は入れないし、髪の毛はボサボサになって、はっきり言ってここは最悪です。早く誰かに買われてこの暮らしからおさらばしたいです。


「今日も暇だな、ね〜、ミナ」

「そうで・・・そうだね~」

「チッ・・・何もやることなくて暇すぎるぜ。なんか楽しいことねぇかな」

「うおっ!? 何だお前ら! 俺の商品には手ェ出させねぇぞ!」

「ハッ! 殺して奪ってやるよ! 行くぞ! てめぇら!」

「「「「「ヘイ! お(かしら)!」」」」」


「なんだか外がうるさくない?」

「と、盗賊が来たんだ・・・俺達、殺されるかもしれねぇ・・・」

「何ビビってんだよ! もしかしたら、あたしたち逃げられるかもしれないよ!」


 殺さ、れる?

 みんな、お兄様みたいに、殺されちゃう?


「・・・なに固まってるんだよ! いつでも動けるように準備して、檻が開いたら逃げるよ!」

「お、おう・・・ほら、ミナも準備しとけよ」

「う、うん・・・」


 しばらく息を潜めて待っていたら、盗賊たちの声が近づいてきた。


「ん? あんまりいねぇじゃねぇか」

「こっちは男しかいなかったけどこっちは女が2人もいますぜ」

「「・・・ッ!」」

「ヒッ・・・」

「ほう・・・悪くねぇな、檻から出して連れて行け。男はいらない。さっさと殺せ」

「・・・今だ! 走れ!」

「うん!」

「おう!」

「あ、こら! 逃げるな!」

「男以外は傷付けるなよ!」

「「「「「ヘイ!」」」」」


 檻から抜け出してから、頑張って走ったけど、子どもの体力なんてあまりないし速くもないから、追いつかれるのは時間の問題だった。


「おい、こら! 逃げるな!」

「ちょうどいいな。おい、見せしめに男を殺せ」

「わかりやした!」


・・・ドスッ


「え・・・ゴホッ・・・!」

「ヒッ・・・」

「止まっちゃだめ! ミナ!」


 わたしはあの日聞いたのと同じ嫌な音を聞いて一瞬止まってしまったが、ミズキの声で再び走り出した。

 けど、足取りは鉛のように重くなってしまった。ハルヒが殺されてしまった・・・つぎはわたしが殺されるかもしれない・・・


「おい! 止まれ! じゃないと、もう一人こいつのように殺すぞ!」

「ッ!・・・」


 もう、誰も殺されたく、ない・・・


「だめ! 盗賊に耳を貸しちゃ! どうせ向こうに捕まってもいらなくなったらすぐに殺されちゃう! 一緒に逃げ切って一緒に暮らしましょう!亅

「・・・! うん!」


 それからも逃げ続けたが、もう疲れて足が動かなくなってきたし、盗賊たちもすぐそこまで来ている。もう、だめかもしれない。


「チッ、もう一人殺してしまおう。女が1人生きてさえいればいい」

「! 危ない!」

「え?・・・亅


・・・ドスッ


 後ろから突き飛ばされたような気がしたと思って後ろを振り返ったら、背中に剣が刺さっているミズキがいた。

 それを見て、わたしは頭の中が真っ白になった。あぁ、また、わたしのまわりから大事な人がいなくなっていく・・・お兄様も、ハルヒも、ミズキも、みんな、殺されてしまった・・・ミーナにも裏切られた・・・もう、どうでもいい。殺すなら殺してくれ・・・


「・・・はぁ、もういい、絶望しきったやつをいたぶっても面白くないから殺しておけ」

「わかりやした! お(かしら)!」


 視界の端っこで剣が振り上げられるのが見えた。もう、殺すなら早くして・・・


・・・キンッ


「ッ! このガキ!」

「フッ!」

「グハァ!」

「君、大丈夫かい? 立てる? 走れるなら早く逃げて!」

「え・・・?」


 そこには、わたしと同じくらいの、見知らぬ男の子が震えながら剣を持って立っていた。

今後は多分次の話が出来次第投稿すると思います。不定期の更新で三日坊主で終わらないように頑張ります!

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