わたしが愛した飛竜の子
【王国歴37年 理想郷の月 山湯の節気】(※10/17)
霜降些細な不幸や不調をいともたやすく最悪っていう人は思考力が足りない。
いきなり深く物事を考えずに良いこと悪いことまとめて一番悪いことと断じてしまう習慣がつく。
そもそも語彙力がない。
と、お姉さまは以前かようなことをおっしゃっていました。
婚約者である王太子から婚約破棄され、太陽王国から流れてきた議会設立派の暗殺者たちに狙われ、本来彼女を庇うべき教会は修道院で手籠にして殺す算段をつけ、進退極まったお姉さまは護衛もつけることもならずにチビデフブサイクと評判の田舎騎士に嫁ぐこととなりました。
物語において悪役となるご令嬢が王子に婚約破棄される歌劇が上演されたり、婚約破棄を行うために競売に売られる態度の悪い貴婦人の歌が流行ったり。
彼女の人となりを知る家族としては複雑な思いです。
お姉さまの御境遇に対しては『最悪』と表現しても許されるのではないでしょうか。わたしなら下品と言われてもそう言いたくなります。
お姉さまはかような評判を耳にしてしまうわたくし如きではおよそ想像もつかないほどの逆境にあるはずなのですが、お手紙を見る限りとても楽しそうで、無理矢理そのような手紙を書かされているのではと心配です。
多分お姉さまは過去に最悪と安易に口に出すのはやめなさいとおっしゃったことを忘れざるを得ないほど、辺境泊だか辺境騎士だか名乗る田舎騎士に口に出すのも悍ましい境遇に貶められて、お辛い目に遭っているのではないかと。
そうです。わたくしと幼い弟は姉が大好きなのです。
えっ。家族の仲が良いのは貴族には珍しいですか。
わたくしたちは少し変わったおうちですし、王国は新興国ですから。
我らが侯爵家の始祖であるわたくしたちのおじいちゃんたちはなんと仙郷の海賊だったそうですよ。
仙人が住まう国にも海賊がいるのですね。
わたくしの好きなミカちゃんのお父さんおじいちゃんはわたくしにとてもここには書けない表現をたくさん教えてくれました。
時々面白いから入れておきます。
事例としてはこのスケーとか。これは侮蔑の言葉だったようですが仙郷からこちらにきた時、悪口をまず覚えるのはどうかと思います。
ええ。申し遅れました。
わたくし『村神美鞠』とかいてミマリ・ムラカミと申します。こう見えて16歳なのです。
大人なのですよ。理解しましたか。
以後お見知りおきを。
数え年ですけど。
ごめんなさい少し見栄を張りました。
ほんとうは今年で14歳です。
何を笑っているのですかちびすけ。
あなたなんて嬰児(※3歳までの子どもの意味)のくせになまいきなのです。
ところであなたには礼をせねばならないのですが、生憎先程あのようなことになってしまいました。
手持ちがないのでわたくしの髪一房でお許しを。
これはあなたの短剣のシース(鞘)に編み込んでください。わたくし未熟にして自分で編み物ができないのです。
お姉さまは得意ですけどなんでも得意不得意はありますわ。
あなたの名は?
フェイロン? 変わった名前ですね。
飛竜という意味だと。
ほほほ。そは古き英雄の名前。
子供たちの守護者。
天をも穿つ紫電の槍の使い手。
その幼子の姿で剛毅ですこと。
私の弟より幼いあなたがあそこまでの活躍をするのは驚きでしてよ。
それよりあなたはどうして一人で旅を。
ちちよははよは何処やに。
あやかし。いないと。
これはあやしき。汝鬼の子かえ。“蓑虫、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれも恐しき心あらんとて…、『ちちよ、ちちよ』とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり”と翅をもがれたまま生まれる蛾のものがたりを祖父の国の女が書いておりますが。なにを笑っているのです。
あなたほどの年頃は言葉など拙くたどたどしいのが普通なのです。
でも毛布は感謝します。
べつに霹靂(※へきれき。雷のこと)が怖いわけではないのです。でも手を握っていてください。
ひどい雨ですよね。そう思いませんか。
【王国歴38年 最初剣の月 夏夢の節気】(※2/16)
あら。お久しぶり。
お姉さまはご無事かしら。
なにニヤニヤしているのですか。
嬰児ゆえ大目に見ますが無礼でしてよ。
以前わたくしの名前の文字を見たでしょう。
二度も書いて差し上げません。
え、覚えた。
嘘おっしゃい。書いてみなさい。
はじめてです。わたくしの字を正確に書いたかたは。
え。わたくしもニヤニヤしているですって。
淑女にニヤニヤなんて下品なことを宣うなんて許しませんことよ。
ええ。姉は『鞠華』と書いてマリカと呼びます。
まさか童にまで名前を覚えられているとは。
え。心配だというから会ってきた?
マリカもリュゼもよくしてくれると。
巫山戯るのは感心しませんね。
あの半島は海を越えねばならないのですよ。
え。泳いだ。ばかばかしい。
あの極寒の海を泳げるはずがありません。
お姉さまのお手紙にはこの世には海に浮き上がるまさに帆舟があるそうですけどね。
まぁうちにも幾人かは昔から歳を取らない子供がいますが、あなたもそうなのかも知れませんね。
へぇ。お姉さまもそうだけど、常識を疑い不思議を喜ぶものにしかそれは『そういうもの』と感じてわからない筈だと。
ふふ。あなたの妄言は少し信じても良いですよ。
ところであのとき手が震えていたのはすこし寒かったからです。
もう手を離しなさい。
でもあなたは愛らしいですね。
しかし従業員がいる宿屋に自ら火を放ち保険金をせしめんとするなんて世の中には悪人もいたものです。
当面設備点検のため休業という宿屋で過ごすだけというアルバイトと思いきや、わたくしが不注意で宿を燃やしたことにしてしまう予定だったと聞けば心胆を寒からしむものを感じます。
え。侯爵家の女の子が何故市井のアルバイトをと。
うちは少し変わったおうちなのです。
ええ。ちょっとお姉さまのところに行ってみようとお小遣いを。
え、いくら掛かるか知っているのかって。
流刑民になりたいと同僚は漏らしていましてよ。
案外安いのではないのですか。
あと二ヶ月くらい市井のものたちを見ればいずれ。
なんですがそのバカにしきったおもては。
無礼ですよ改めなさい。
あなたこそ何故ひとり旅を。
墓参りですか。
しかも毎年必ず花を持っていくと。
あなた3年も生きていないように見えますけど。
ええ。冗談ですわ。
あなたはきっとわたくしが及びもつかないほど長生きなのでしょう。その方が羨ましいですこと。
あなたに助けられるのはこれで二度目ですが、もし三度目があるならば良いものを差し上げますので以前渡したわたくしの髪の毛をお返しくださいな。
……まさかなくしたりあらぬことでしょうがをとめの髪を捨てているなどないでしょうね?
【王国歴39年 車輪絆 金脚の節気】(※12/18)
あらご機嫌よう。
ねね、フェイロン。
わたくし今日十六歳になったのですよ。
このドレスを見てください。お姉さまから届いた最新式のものなのです。
この星座を模したシンプルな宝石使いが素敵でしょう。
しかもとても動きやすくて一人でも着ることができるのです。
あなたは相変わらず嬰児のまま。
きっとわたくしがおばあちゃんになってもそのままなのでしょうね。
……わたくし、そんなに待てませんわ。
いえ戯言です。
フェイロン、もう少し近う寄れい。
ふふふ。あなたはとても愛らしいですが、瞳の奥はとても寂しくて暖かいものがありますね。
この瞳でどんなものを見てきたのですか。
わたくしのようなひとはいましたか。
え。子供なら何人も育てた。
そういうことではないのですけどまあ良いでしょう。
金鷹にそらとびくじらに王鯱。
かばやぞうという珍しいけもの。
雲の上高きやまに棲むヤクという生き物。
雪を掻き分けて泳ぐように猛進するカリブ。
あるいは梟熊と呼ばれるちっとも動かない怠け者と字名される珍獣。
有翼人に人魚。魔族に妖精。
王に女王。賢者に将軍。そして英雄たち。
すごいですね。想像もつかないです。
あなたは熱い国冷たい国楽しい国悲しい国あらゆる国のあらゆる子供達に会ってきたのですね。
で、あなた結婚はしましたか。
え。知人ならした。
あなた自身はどうなのですか。
その育てたという子供たちも実は知人に押し付けましたね。
正直に言いなさい。
今日ならばお月様も黙っていてくださいますわ。
【王国歴40年 神守巫の月 慈雨の節気】(※6/1)
ご機嫌よう。
フェイロン。わたくしあなたも存じていることと思いますが婚約しました。
ええ。今年で十七歳ですからね。
お姉さまにあんなことがなければわたくしよりも相応しい総代になったでしょう。
学園は飛び級しました。
わたくし、お姉さまほどではございませんが優秀でしてよ。
もう少し近くに寄ってください。
わたくしあなたに贈り物があるのです。
わたくしの大好きな、小さな小さな飛竜の子に。
うごかないで。
わたくしもはじめてなんです。
あなたのほうは。
いえ、わたくし聞かないことにいたします。
もう来てはなりませんよ。
お姉さまたちの近況は……わがままですけど続いてお願いしますね。
【王国歴41年 夕玉草の月 虹橋の節気】(※7/8)
フェイロン!
久しいですね。墓参りはどうでしたか。
ええ。あなた。この子はわたくしのお友達です。
フェイロン、あいさつしてくださいませ。
もう。ごめんなさいあなた。
この子はいつもはこんな感じではないのですけど。
あら、あなたどちらへ。ええ。行ってらっしゃいませ。
さて。わたくし今年で十八歳になります。あなたは相変わらずのようですね。
どこからかまたフェイロンが子供を拾ってきたとお姉さまからお困りのお手紙をいただきましたわ。あら、目を逸らして耳を塞いでも無駄ですことよ。カーテンから出てきなさい。
フェイロン、あなたもこれから弟か妹が生まれますね。
もっともあなたにとってはいつものことなのかもしれませんけど。
あなたが今までに出会った英雄や賢者そして将軍や貧者や愚者のものがたり、これからもっと聞かせてくださいませ。
わたくし彼らの知恵なくばこれからの国難を乗り越えていける自信がないのです。
ええ。おなかのこの子がこれから生まれるこの世を、少しでも安心できる国にしたいのです。
ーー幾年かすぎてーー
あら。フェイ。
どうしたの泣いちゃって。
お母様のところに来なさい。
え、『おまえなんか嫌いだ』『あんな男の子供なんて守ってやるもんか』って知らない子に言われたですって。
ふふふ。もしかしてその子はこのような姿では。
ええ。お母様はなんでも見通しでいるのです。
……何事。貴様わきまえよ。
至急ですか。良い耳元に近う寄れ。
うふふ。あはは。
なるほどなるほど。
それほどの手だれどもが小さな槍と思しきもので全てですか。
一人は晴天の霹靂により屠られたとしか思えぬと……。
フェイ。来なさい。
ほら、お母様にもっと強く抱きついていいのですよ。
怖かったでしょう。泣いていいのですよ。
そう、その子は強くて優しくてそして……かっこよかったですか。それとも悲しげでしたか。
紫電の槍を振るいて星をも墜す。
あなたは英雄の夢に助けられたのです。
そう、今生きているこの世こそ夢。
本来のあなたは尸となっているのかもしれません。
生まれ変わったと思って民に尽くしなさい。
ーー夢はうつつ、うつつは夢。げにこの世は胡蝶の夢ぞーー
あらフェイロン。
今日は寒いですね。
来てはくれないあなたのために寒さ堪えて編んだ甲斐がありました。
なかなかお似合いですよそのミトン。
編み物は苦手だと言ったはずですって。
幾年前のことを申しているのやら。
ふふふ。わたくしはかつて編み物をアップルから師事したのです。
いいでしょう。
なんですかもう。
確かに顔くらいしか取り柄のないとのがたですがあんなのでもわたくしの夫なのです。
でもちょっとだけ教えてあげます。
あの方、隠そうとなさっておいでですが、お腹が少し出てきたのですよ。
来年はかわいい姪のため帽子を編んで差し上げます。
きっと来てくださいね。
ちゃんと届けないと……”激おこぷんぷん丸”とか申すようにいたします。ふふ。
ーーさらに星巡りてーー
フェイロン……。
フェイロンどこですか……。
くす。あなたの薬は本当によく効きますわ。
医者どもが驚いていましてよ。毒がまるで効いていないとね。
良いのです。
わたくし天命は果たしましてよ。
願わくばフェイが立派な……いえ、難しいですね。
どうして毒を飲むのかですって。みんなまとめてやっつけてやると。嬉しいですわ。
ふふ。どうしてでしょう。飲まねばあの医者どもが殺されますからね。そして人質となっている人たちも。
助けてやる。その敵も味方もまとめて。
そうですね。そうした方が良いでしょうね。
でもそれはそれで癪ですわ。
わたくしはあのかたがたのため毒を飲んでいるのです。
その分苦しんでください……これはあなたにしか言わないわがままです。
わたくし、これでも母親ですから、彼ら彼女らの気持ちが少しはわかりましてよ。
あなたは知らないでしょう。ずっと嬰児なのですから。
でもそれはわたくしよりお辛いでしょう。
あなたはそのひとみのまま、幾人を看取りましたか。
あなたは狂うこともできぬこころと不滅の身体にとじこめられ何百年を過ごしましたか。
英雄アルダスのところに、勇者ファルコの御許へあなたが旅立たなかったのはなぜですか。
もしその理由が、もうこんなしわくちゃのわたくしだったら……。え。聞こえなかった。
少し元気が出ました。殴って良いでしょうか。
ーー数年が過ぎてーー
なんとかなってしまうものですね。
フェイロン。最近とても調子がいいのです。
ほら、車椅子にも慣れたのですよ。
今のわたくし、つばさがはえたみたい。
すべてからときはなたれたかのような、すてきなきもちです。
孫たちとも最近仲良しなんですよ。ふふ。そんな顔をしないで。
あら、押してくれるのですね。
ふふふ。どこに行きましょう。
とはいえ、お姉さまが広めた四阿くらいしか行けるところは。
騒ぎになってしまいますからね。
このままわたくしをあの白く輝く大きな山の頂まで、雲を越えてさらっていってくださいますか。
冗談です。そんな顔をしないで。
あなたは盗賊の真似事も得意ですから、そういうこともできてしまうのでしょうね。
ーー時は残酷にて慈悲深き夜の使者ーー
お姉さまどこ。
ミカちゃんどこ。
あなただぁれ。
あ、そうそう。
フェイロンちゃんだったよね。
うんうん。大好き。
ねね。今日は何をして遊ぶの。
お姉さまとミカちゃんはどこかな。
ーーLe vent se lève, il faut tenter de vivre(さあ生きやめも、風立ちぬ)ーー
ここは。
身体が軽いですね。
まるで十四のむすめにもどったかのよう。
こころもどこかうきたってきて、気持ちも限りなく冴えています。
この花畑はきれいですね。
あら、フェイロン。なぜ泣いているのですか。
え、ここまでしか送れないと。
この川面に立てばわたくしどこまでも踊れるのにずいぶんつれないこと。
こんなにぴちぴちして可愛く素敵なわたくしとのデートをすっぽかしてどこに行くというのですか。
そうですか。フェイたちとその子たちを嫌だけど守ると。
マリカたちの子供たちはかわいいと。
そういえばかように無理を強きましたね。
ふふふ。ここでは忘れておりました。
そんなに拗ねないで。
でも、母としての気持ちは本当でしてよ。
あなたには申し訳ないのですが、すえながく子供たちをわたくしや姉たちと思って見守ってくださいな。
そうすれば、わたくしがいなくても少しは……こいつの子供でもあるから嫌だと。
あらあなたいたのですか。
ふふふ。あなたって嫉妬できたのですね。
フェイロン、ここまで本当にありがとうございます。
わたくしたちここでおいとましますわ。
ごきげんよう。
ーーひとびとの想いよめぐれ幾星霜ーー
ねえフェイロン。
あなたはこの書を読んでいますか。
わたくし、なるべく長く保つように保存の術を勉強したのですよ。
この書をあなたが読むのは数年後かしら。
だとしたらちょっと恥ずかしいですね。
それとも意図した通り700年くらい経っているのかしら。
わたくしの子供たちは生きているでしょうか。
お姉さまの、弟の子供たちは元気でしょうか。
わたくし、あなたに呪いをかけました。
あなたの気に入らないという、わたくしの夫の子でもある子供たちをあなたに託しました。
それをまず詫びるのが筋というものでしょう。
でもあなたも嘘ばっかり。
墓参りとかではなかったのでしょう。
最初からあなたは。いえ過ぎたことです。
ねえ。フェイロン。
わたくしあなたが大人になるのを待てませんでした。
いえ、あなたはもともと大人になれないひとです。
うらやましくて、苦しくて、そして憎かった。
自由で、いい加減で、憧れた。
好きで愛してそして憎みました。
あなたはわたくしと同じ時を生きてくれないひと。
それでもわたくし、あなたのどこかにいたかった。
みじかいいのちのわたくしが、あなたがいない時つねにあなたの勇姿を、やさしさを、かなしみを、そしてよろこびをこころに刻んでともにして、力にしていたように。
永遠のあなたをあなたの時間から奪ってやりたかった。
あなたはわたくしを恨んだでしょう。
憎んだでしょう。
わたくし、勝てたと思うのです。
定命のわたくしがあなたと共に歩んでも、あなたはいつしか忘れてしまっていたでしょう。
あなたがいつかまたいにしえの英雄にかわり、神々の剣を振るいて全ての悲劇をなくしてしまうとしても、わたくしのことは消せないようにしたかった。
どうです。
怒りましたか。
やーい。ざまぁみろと言ってやります。
へっへーん。いーだ。
これくらい言ってやらないと気が済みません。
このメッセージをあなたが読むとき。
帝国は滅んでいますか。
それともわたくしたち王国が、人類が滅びた後でしょうか。
どちらでもいいのです。
あなたがこの書を読んでいるという事実があるなら。
呪いというものは解かれるもの。
お姫様の呪いは王子様のキスで解かれるもの。
わたくし、あなたの呪いを解かねばなりませんね。
愛しています。
出会った時から。
ずっと。ずっと。
死んで土に還ったいまでも。
灰が風となり涙が海になった未来でも。
フェイロン。
行ってください。
あなたはもう自由です。
本当はずっと縛っていたかったのですけど、見つかっちゃいましたね。毎年同じ日に、わたくしの命日となる日に花を捧げないと、あなたが毎年来たとしても700年くらいはこの書は手に入らないようにしたのに。ざんねんです。
フェイロン。
紫電の槍。晴天の霹靂操る戦士よ。
偉大なる英雄にして未来の子供達の守護者よ。
わたくしのかわいい鬼の子、あわれ風に揺れ泣く蓑虫の子よ。
わたしが愛した飛竜の子。
あなたの目に映る空はいま、何色ですか。