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新婚初夜に『トロフィーワイフ』と暴言吐かれて放置されました  作者: 鴉野 兄貴
辺境にきたご令嬢、領地改革に着手する
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悪役令嬢、人食いむすめに気に入られる

「あっはっはっは!」


 まさに呵呵大笑。

 思わず二人の世界に入りかけていたわたくしどもをこの場に戻したのは赤銅色に輝く美しい肌の女性でした。



 装いは奇抜ながら王宮でもお母様を除いて彼女ほどの佳人はありませんことよ。


 何よりわたくしより背の高い女性は初めて見ましたが、後にリュゼ様から伺いましたところ、わたくしの背丈は成人男女の背丈が変わらない彼女の部族ではむしろ標準とほぼ変わらないということです。


 力を入れなければ赤子の柔肌のように柔らかそうなのに、細身に見えて強靭でしなやかな身体を持ち、豊かで形の良い胸を惜しげもなくほぼ露出する紐のようなものをつけ、そしてどのように貼り付けたのかわからぬまっすぐした糸束のようなもので下半身の局部ぎりぎりを。

 さらに木繊維でできた背中までしかない肩掛けをまとっています。


 黒髪は直毛で彼女の腰飾り同様にミスリルのように虹色の構造色の輝きを持っています。


 わたくしも自らの亜麻色にはある程度は自信を持っていますが、わたくしより美しい烏の濡れ羽色を持つミカでも感嘆し得るかもしれません。


 意匠は初めてみるものの身体中に刻まれた紋様がセクシーでかっこいいかもしれません。


 おそらく彼女の紋様は魔導理論に基づいており『身体強化』『感覚鋭敏』『狂乱』『淫蕩』を自らにかけていると思われます。

 お腹周りはわたくし並みに細くも、腹斜筋まで彫刻を思わせるほどにしなやかに。


 ドレスを着ていらっしゃればたとえ壁の花をしていても殿方たちが放っておかないほどの美貌と言って良いのではないでしょうか。


 もちろんその美貌はくりごとながらわたくしの知る最も美しくかわいい女性であるミカほどではありませんけれども。



「(良い! 良いな貴様! 我々を無視して夫婦漫才には殺してやろうかと思ったが)」

 なんとなく意味は分かりかねますが、わたくし共が全面的に失礼なことを、むしろ今すぐ謝ったほうが良さそうなことをしていると思しきことを彼女はおっしゃり。


「(わかる! わかるぞ! ガの民のむすめもまたこの男のような益荒雄(ブサイク)が好みだからな! わたしはグのむすめガグガだ。我が良き恋敵よ以後……)」

 ガグカ(?)さんですか。いま、リュゼ様を『ぶさいく』と表現しませんでしたか。他の女性には言わせませんことよ。



 彼女は無遠慮にわたくしに近づこうとしてリュゼ様と他の蛮族二人に止められました。


 ちなみにベッポはわたくし同様よくわかっていなかったようです。



「マリカ、今すぐ髪か爪か身体のどこかを切れ!」

 はてさてリュゼ様なにゆえあやしき。

「ガは良き敵の肉を口にすることで友情を示す!」


 なにゆえかのむすめ、げにおぞましきことを。


「(ガが自らグと名乗ったときは特に気に入られた証)」(※これは後に教えていただきました)

「(身体の一部を奪うまでは地の果てまで追ってきます)


 後で知ったことですが彼女たちは目玉をくりぬきあるいは腕や脚をもいで本人の前で食べ憎まれることで友隆ともちかとするそうです。



 ……多少の揉め事の末、指の先から抜い針で出したわたくしの血を不満そうに舐めつつ、『おろかでふけつならんぼうむすめ』(ガグカ)という幼名を持つ彼女はわたくしの背中を楽しげに、そして痛いほど叩いています。実際ものすごく痛いのですが。


 彼女は妥協としてわたくしに唾液の交換(舌の噛み切り合い)を求めてきましたので代わりとの事です。



「(小指の先くらいなら上手く切れば生えてくる。大酋長よ頼む。よしなに計らえ)」

「(今は許すが私の妻には指先ひとつ触れてならん。ついでに、繰り返し繰り返し言うが、街中では胸当てを外すな)」


 彼女は人体におけるもう一箇所の再生する場所をわたくしに提供しようとしていたようです。

 指先や髪の毛や爪はさておきこれはわたくしも存じませんでした。


 後に彼女からガ族が持つ外科医術の講義を受けたことがあります。

 独特の観念や宗教的説明は理解し難くも、麻酔技術や術後措置の衛生法、土着アリの再生激痛毒顎を用いた縫合術には薫陶を受けたことをここに記しておきます。



「あー。つまらんつまらん! 大酋長は胤もくれぬし女心がわかっておらん!」



 わたくしたちの言葉を話せるのですか。

 そして後半は概ね同意しますわ。


 わたくしが彼を睨め付けますと彼は「三年前から付き纏われている」と明かしてくれました。

 それならばお父様たちにお手紙を書かずに済みますね。



「(わたしこそが妻に相応しいと思ったが、第二でもいいや)」


「……(第二も第三も嫌です)」

「(よ、よん?)」

 あなた三までしか数字を存じないのですか。


 わたくしが返事をしたので彼女は脹脛(ふくらはぎを温めるための藁巻がついている以外は何もつけていない綺麗な脚と腕の動きをやめました。


 つまりわたくしが下着と思っていたものは。


 いえ、これはわたくしの覚書にして、ガ族と名乗る彼女たちの服飾文化につきましては民俗学か何かの専門家にお任せします。



「孫の歳ならさておき、自分の意に沿わないからといって美しいひとが地べたで何をやっておる」



 ベッポが彼にしては珍しく叱る中、彼女は安楽座スカーサナで知らん顔。

 正面から見えてしまったものにわたくしは思わず扇子を半開きにして目を逸らします。

 げに美しきはメデゥサ。



 ベッポを無視するガグカ嬢は唐突に彼に告げます。


「おまえ、敵じゃない。

 おまえのはなしわたし聞かない。


 老いたおとこ老いたおんなだいじ。


 みな飢えた時肉くれる。

 平和な時畑耕す。

 戦のときはこどものせわをする。


 いつも知恵をくれる。

 年寄りはながいきしろ」


 独特の老人福祉論を展開する彼女に気を取られていましたが、この場にいる蛮族には『先程から一言も発していない』かたがいましたね。


 いえ、『名乗ってくださった』ングドゥ氏にも紙面を割いていません。



 あまりにも彼女、ガグカ嬢の印象が強烈だったのです。

 皆様にもご理解できることと存じます。



「ところで、約束してほしい」

「リュゼ様なにを唐突に」


 戸惑い続けるわたくしに彼は釘を刺し、正気に戻してくださいます。


「私は彼らの大酋長だ。

 君は思うところ多々! あるであろうが! それでも! 今後彼女らを『蛮族』と呼んではならぬ。


 私は君に対して知識には偏見を持たない人物と評価してきた。

 彼らは等しく私の民だ。君も書の知識のみならず私の支配する人にも偏見を待たずに居続けてほしい」

「未熟でしたわ」

 わたくし、未だ偏見から逃れられない愚か者なのです。


 でもガグカ嬢と仲良くできるかは少々疑問です。


 コリス嬢の教育ですら苦労致しましたから。


 その果てが教会派が支持するわたくしを狙い議会派の暗躍によって行われた婚約破棄騒動でございます。


 コリス嬢は巻き込まれてたいそう狼狽しておりました。しかしながらそれはもはや過去のこと。

 今は彼に話すべきです。



無知で愚かな者(ングドゥ)、あなたとはお話した事はありませんね。

 以前大道芸をしていたのは目端にいれていますが」



 彼はわたくしたちが街で視察でぇとしたとき、魔導人形に愛らしい女物の服を着せて複数を同時に操り踊らせ(アイドルダンスさせ)ておりました。


 つまり彼は王都でも貴重な杖なし魔導士です。

 蛮ぞ……彼らの学問のレベルは想像以上のようです。



「おや。第一夫人は目端が効きますね」


 リュゼ様に伺った話ですが、ン族は大道芸を得意とし独自の宗教結社でもあるとのことです。

 当地に教会の宣教師が定着しないのは彼らの存在が大きいのでしょう。


 彼らの薬学知識と癒しの奇跡は王都の腐敗した教会が派遣する宣教師以上だというのですから。



「第一夫人はよしてください。わたくし嫉妬深くてよ」

「(それは良い! では二人目の夫を持つなら私を)」

 え。いま何か巫山戯ふざけましたか。



「ならん。ングドゥ。それ以上マリカに近づくな」

 くすっ。


 リュゼ様ったら冬支度前の栗鼠みたいですこと。

 そのまま蓄えを忘れて泣きついてきてくださらないかしら。わたくしあなたのストゥブになりますわ。


 おそらく彼らは多夫多妻制なのでしょう。

 婚約破棄すら苦労する教会の教えに縛られたわたくしどもから見れば一周回って先進的かもしれません。



 ングドゥと呼ばれた彼は鳥の巣を思わせる白い蓬髪ほうはつに白い肌を持ち、赤い瞳を黒水晶の眼鏡の端から覗かせて楽しそうに笑いかけてきます。


 彼も簡潔な装いで、ゆったりした布の服をまとい、脹脛と三の腕を温める巻藁、大量のアクセサリーを身体中に巻きつけ、動くたびに大きな音を鳴らしています。


 彼の容貌は……ミリオンやフェイロンに似ています。

 おそらくングドゥは後に話した限り三十代後半のはずなのですが、小柄で細身にして十代半ば以下に見えるほど童顔かつ衰えがなく年齢がわかりません。


 わたくしたちが以前見かけた時は、わたくしたちの一般的な女性大道芸(アイドル)の装いをしており、また全く性別を感じませんでした。


 彼もまた紋様を身体に描いていますが染料によるもののようです。

 この紋様はガグカ嬢のそれとは少し違いますが、どちらも独自の魔導理論に基づいていますね。

 おそらく『鎧』『機敏』『地水呼吸』の魔導と見ました。



「我々は女性優位社会で、女一人に男の通い婚が普通なのですが、大酋長を男が勤める時は別です」

 つまりングドゥ、ガグカ嬢はあなたたちの大貴族のようなものなのですね。



「おまえたちの血まずい。この女の血最高に美味い、しかしもっともっと茶と砂糖を控えるべき。この女わたしたちのように歯をよく磨く。運動もする。よく息を吐き汗を流す。これほどいいことない」


 健康には気をつけていましたが、かような評価基準は人生初です。

 それに『汗を流す』はわたくしたちの文化では淑女を褒める言葉ではございません。



「(我々は『守護者』です)」


 未だ『発言していない』青年には紋様はありません。彼は自らと他二名を指して足を軽く鳴らして口笛や手振りを見せました。


「(私には敵より送られし名はまだありませんが『喉詰で死ぬ恥者(ンガッグック)』とでも呼んでいただければ幸いです)」


 彼はちいさく踊りつつ自分を指して『ンガッグック』と喉を詰まらせました。


 均整の取れた男性的な肉体美に魚の鰭でできた穂先の槍を持ち、投石器を兼ねているベルトを持った青年はいにしえの巨人に石を持って挑む少年像を思わせる美貌です。

 彼だけは身体を覆う紋様がありません。



 リュゼ様が教えてくださったことですが、彼らの貴族は民主的に決められ、一代限りの身分としてさまざまな特権とともに部族間闘争や事件解決義務を負う必要があるそうでそれを『守護者』と呼ぶそうです。


 彼らはかつて帝国に朝貢ちょうこうを行っており、彼等三人の『守護者』の帝国における格は侯爵相当だそうで、わたくしの実家と同格です。

 むしろ大酋長でなくばリュゼ様より上になります。



 その『守護者』なる貴族制度はもともとはンガッグックたちパ族の制度でしたが、最近は三族から一人づつ出してわたくしたち『外よりきた者』や帝国との問題に対応するようになったそうです。



「彼らは言葉……いや発声による語彙が少ない。

 音声言語は存在するが太鼓や口笛を必要とするものが多い。


 特にパ族の男は喋らない。


 ンガッグックは唸ることしかできないが彼等の語彙数は我々が扱う王国帝国標準言語以上と思われる」


 王国が独立して以降、新生児たちに一定数現れるようになった『おし(?)』というものでしょうか。

 100年ほど前の記録やフィリアス・ミスリルの日記には登場しますが。


 そうとしてもほぼ単語とその応用である彼等の言語体系が持つ語彙数が我々の言葉以上などあり得……るのでしょうか。


「『読書を含めた幼少期の語彙数が人間の知性を決定することから、いわゆる蛮族を我々が教導せねばならない』という教会や学会の意見を適用するなら……個人的に彼等の平均的な知性は我々以上だと思う」


 まさか。そんなこと。

 いえ、あり得ますね。

 検証せねばならないとはいえ、リュゼ様の説明は宣教師が当地にて何も成果をあげることができない理由への強力な仮説になり得ます。


「さらに彼らの社会には声を出せないことを不利と考えたり蔑む単語が存在しない」


 わたくしが存じていた古単語はかつてことばを話せない方を蔑む意味もあったらしいのです。

 もっとも、貴族制度のあるわたくしたちの言語は彼等のそれと決定的に精神構造が異なることを後にわたくしは知るのですが。


「彼等は音声言語を踊りや口笛や太鼓などで代行している。発声言語には重点が置かれていない。

 彼等の学術用語にはまだ我々が知らない単語や概念が豊富にある」


 リュゼ様の補足を受けて納得致しました。


 確かにンガッグックは他の二人と時折あやしげな踊りをしていました。あれは言語でしたか。


 よらぬ戯言ですが、手話は人間の脳の言語を司る場所、ジェスチャーは別のところが司ると後でガグカから教わりました。

 脳とその外科技術については彼女たちの方が詳しいようです。


 わたくしも古の英雄シーラ ・カンスは舞踊魔導の使い手という記述を見たことがありますね。


 魔導に必要な情報量を考えると想像以上の語彙を彼らの舞踊は持っているようです。

 これは後で学友カラシ君にお手紙を書かねばいけません。



 リュゼ様は彼等三部族の説明もしてくださいました。


 パ族は中庸で、ン族のように諜報員の真似事をしたりガ族のように強盗行為を是としたりせず、山間部で耕作を行っているそうです。

 ただその耕作には要塞的な要素があるそうですが。



「(いとかたき『守護者』の皆様ご機嫌よう。わたくしはムラカミのむすめマリカと申します)」


 彼らの言語や作法は極めて難しいのですが、おそらく通じたのではないでしょうか。

 礼はこちらのカーテンシーにてご容赦を。


『(汝の行く手に茜と山査子(さんざし)の棘があるように)』


 彼らは一様に武器を捧げてきます。

 よかった。通じたようです。


 ーー『礼法は形式に在らず。誠意なり』ーー


 わたくしとミカが師事したディーヌ伯爵夫人。ありがとうございます。



 以下、語彙が少ない彼らに代わりリュゼ様から翻訳していただいた彼らの抗議内容とその後定めたことになります。紙面も少なくこれより箇条書きにて退屈でしょうが皆様ご容赦くださいませ。



 ところで内容は厳重な抗議です。

 抗議なのです。


 わたくしはもちろん彼らの抗議をたとえ理不尽と思えども相応の態度で聞かねばなりません。


 わたくしミカから『文法礼法はあえて間違えなさい』『全部本当の書いてどうするのです』『文章が固い』『報告書や論文ですか』『あとお嬢様は世界一美しい方です! 奥方様を差し置きわたくしなどが一番なんてとんでもない!』などの理不尽な抗議を受けつつ最後だけは全力で拒否してこの書を残しておりますが。


 これでも文法や言語については初見の言語を推測できる程度には人並みには学んでいますし、何より王妃教育の最たるものは『如何に負けてもマシな条件で和平を結べるか』に尽きるのです。


 わたくしが回りくどいことには重ねて謝意を示すとともに、その上で以下を読んで判断してくださいませ。



 彼らの言葉、いえ音声言語の語彙は少ないことは述べた通りです。

 彼等の言語は舞や歌や口笛や楽器の扱い方に重点が置かれております。


 そのため、軽く聞いて音声言語の語彙だけ推測する今のわたくしの状態では、音声言語と実際の意図に差異が発生します。


 すなわちわたくしにはかようにリュゼ様と彼らの会話は聞こえておりましてよ。



「(楽しい仲間がポポポポーン!)」



 また、音声言語に目を向けずに解釈いたしますと、実際はこのようにとても楽しそうな舞踊なので笑い出さないようにくるしゅうございます。


「ウッホウッホー!」

「わほいわかっはー!」

「んっぱぱうばうばうっばっ! ばぶあー!」


「ああ、私にも彼らの言語が少しわかります。お嬢様。わたくしお嬢様の弁護をいたします。アッパボー!」



 多少の理解ができるベッポまで参加したのでもう……もう……なんとかおぞましきことを避けました。


 繰り返しますが、彼らの音声言語は補助であり、重点は手話や身振りや踊りなどです。


 しかし今しがた彼らの言葉を聞いて意味を推察しているわたくしめには、恩人たるわたくしへの弁護を必死で行うベッポと、本気でわたくしに抗議し続けている三人、そして無表情になんとか翻訳に勤めるリュゼ様の会話は。


「(森の木陰でドンジャラハイ!)」


 このように聞こえましてよ。


 王妃教育とは如何なる不利な時にも余計な表情を出さずそして全く違うように振る舞うことも求められます。


 わたくし、リュゼ様とミカ以外にはそれは容易だと愚考致しておりました。



「(ありがとう兎!)」

「(こんにち犬!)」

「(こんにちはワニ!)」


 いっそ殺してくださいまし。



 げに笑ってはいけない儀式ほどおかしきもの。

 ご理解頂けると思われます。


 ありがとうございますディーヌ伯爵夫人。



 つまらぬことに貴重な紙面を割いてしまいました。

 彼らの抗議内容に触れねばなりませんね。



 まず、紙です。

 これはパ族が馬鹿(GONZO)と呼ぶ草を極限まで梳いて作る窓材(※窓水晶のように透明なのだそうです)の元となっており、ないと困るのにわたくしの暦本事業で勝手に採取するものが増えたということ。



「あんな出来の悪い紙を作るなんて許されぬ」「透けないではないか」「ものをかたる板はゆるされぬ。しかし星めぐり図については呪い師たちに掛け合いカプァを解こう」


 彼らの価値観独特の抗議ですが、彼らは文字を使うことを宗教的に忌々(ゆゆ)しう扱うようです。


 彼らはわたくしたちよりたくさんの言語を覚える過程で読み書きも3言語以上できるにも関わらず文字はあえて使わないのは不思議な話ですね。



 ガグカ嬢はものをかたる板のカプァを解く条件として、わたくしの持つリュゼ様の似姿の原画五枚を要求し、リュゼ様もあろうことか彼女に渡そうとしたためわたくし泣いて駄々をこねてしまいましたが、これはみなさんご内密にお願いしますね。

こちらのメートル法での身長差

リュゼ167センチ。

(むしろこの世界の男性としてはやや高い。男性165センチ女性163センチと極めて誤差)

マリカ182センチ。ヒノモトひとには珍しく脚の長さ92センチ。

ミカ162センチ。脚の長さ82センチ。


ガクガ184センチ。脚の長さ94センチ。

(ガ族も身長差は2センチほどしかない。男180センチ女178センチ)

ングドゥ158センチ

(ン族男性の平均よりやや高い)

ンガッグック178センチ

(やや高い程度。パ族も背丈に男女差はほとんどない)

ベッポ176センチ。この世界ではかなり大柄。


忌々(ゆゆ)し……素晴らしい、恐れ多い、ひどい、不吉だ、甚だしい。神聖なものをあえて遠ざけるカプァをマリカなりに翻訳している。


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