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第十九話「風雲シズル城」③

 でも、改めてこうやって、意外と健闘してたってのを告げられると満更じゃない気もする。


 お姉ちゃんも交代した時点で、もう交代するのって感じで割と余裕あったのは、わたしが意外と頑張ってたってのもあるんだろうな。


 もっとも、あの時は完全に追い込まれてたって感じだったんだけど……。


「そうですね……。消耗戦になったら、とても追い付かないってのは、土地に満ちてる魔力で明らかでしたからね。だからこそ、マキ姉にはとにかく強気で行けって指示してたんです……。なにせ、こちらのMPは有限……シズルさんは、私から見たら、無限に近いほどのMPを持ってましたからね」


 わたしはわたしで、消耗戦になると踏んでケチってたし、そもそもわたしは、コップの水が半分減って、まだ半分あるじゃなくて、半分しかないって嘆くタイプ。

 

 まぁ、この辺はしょうがないよ……。


「なんだ、苦戦してたと思ってたけど、そうでもなかったんだ。つまり、わたしが本気出して、ここを要塞化するだけで、空から空襲でもしない限り、王国は手出しもできなくなる……そういう事なんだね」

 

「そういう事ですね。もっとも実際の城郭、要塞のたぐいも航空機の発展で終わりを告げましたからね。……動けない城塞の弱点は、空からの攻撃ってのは明らかなんですよ。なので、空の敵を想定してるか確認したんですよ。すみません、なんだか順番がメチャクチャでしたよね」


「確かに空からの敵ってヤバいよね……。上から一方的に爆撃されるとか、気が付いたら、あちこちに兵隊バラ撒かれるとか、対応に苦労しそうだね……」


「はい。なので、対空防衛を充実……それだけで死角は一気に減ります。対空防衛となると、基本的には広域早期警戒と対空攻撃の二本柱となりますね。シズルさんは、遠隔視のマジックアイテムとかって作れます? 要は自分の視点を飛ばすって感じです……私の水晶でお手本見せますよ。まずは解りやすいところで、サテライト偵察を実演しますね」


 そう言って、ユキちゃんが手をかざすと、氷の結晶みたいな物がフヨフヨと浮かんでいく。


「これは、私の独自エディット魔術「サテライト・ICE」の偵察応用……と言うよりも、これが本来の用途ですね」


 次に、水晶玉を取り出すと、そこに映像が浮かんでくる……俯瞰視点、空から下を見てるような感じ。

 

 もっとも、今は夜だから、焚き火の明かりが見えるだけ。

 ランタンの光を空へかざすと、ゆらゆらと揺らめくのが見える。

 

「……あれだね。ドローン中継みたいな?」


「そうですね。これが一番魔力コストもかからず、お手軽な偵察手段です。もっとも、欠点としては、サテライトは上を見れば、そこにいるってバレちゃうってことなんですが。こんな感じで自分の視界とゴーレムの視界をリンクとかさせれば、偵察監視ゴーレムとか作れるんじゃないですかね。とりあえず、サテライトをひとつ……差し上げますので、是非解析して自分のものにしちゃってください」


 そう言うと、今度は雪の結晶がわたしの手のひらの上に降りてくる。

 

 視界に「譲渡承認」とか出て、OK、キャンセルって……。


 OK押すと「「サテライト・ICE」をアイテムバッグに転送しました」ってメッセージと、ゴーレム「スカウターアイズ」を製造可能になりましたとか、出てる。

 

 んっと、お試し生産……? 

 地面からモコモコと、なんと言うか……30cm位の目のついたトゲボールみたいなのが湧いてきた。

 

「……なにこれ? ユキちゃんのと全然違うのが出来た……と言うか、可愛くない」


 なんだこれ? 如何にも刺さりそうなトゲ、やたらリアルな目玉付き……全然、可愛げがない。

 どうやって移動するのか思ったら、トゲトゲが伸びて、それを支えにして、目の高さくらいまで上がってくる。


 視界の端っこに小画面みたいなのが出て来て、わたしの姿が見えてる……これがサテライトの視点?

 

 ……なるほど、こんな感じなのか。

 こっちこいって念じたら、トゲトゲを触手みたいにこっちに伸ばして、わたしの頭の上にシュパッて感じで移動してきた。

 

 このトゲトゲを触手みたいに使って、移動すると……なんとも怪しげな代物が出来てしまったよ。


「これは興味深いですね……。私の「サテライト・ICE」って、要は偵察用ゴーレムみたいなもんなんですけど。同じものをシズルさんが作ろうとしたら、これが出来たと……。あの……空って飛べそうですか?」


「飛べってやったら、こうなった……」


 レンガの壁とわたしの間で、触手伸ばしてくっついて、一応浮かんでるけど……なんか違うよ、これ。

 

「……飛行能力はそもそもない……ということですか。私は水属性の適正が高いんですけど、その辺もありそうですね。シズルさんはどの属性が適正高いんですか?」


「よく解んない……意識してなかったよ……そんなの。一応、属性の話は聞いてはいたけどね」


「ゴーレムとかレンガの防壁、湯水のように錬成してたから、シズルさんって、あれじゃない? 土属性とかそんな感じっぽくない? ちなみに私は風でサキ姉は火なんだって……なんか割とイメージ通りなのよねー」


 マキさんが苦笑しながら、そんな事言ってくる。

 

「ああ、マキさんの言う通りだよ。シズルは多分土属性……ちなみに、風属性とは相性悪いんだよね。実際、シズルの身体だと私の自前の風魔法も全然使えなくて、参ったさー」


 お姉ちゃん情報……確かに、いくらか自前の風魔法使えるって言ってたし、わたしの身体が魔術適正が高いって言ってた割に、全然使ってなかったのは、そう言うことか……。

 

 ……そんなんで、良く風の魔剣なんて錬成できたね。

 あれか、MP1000とか突っ込んだから、それで相性問題も帳消しになったのかも。


 ……うん、MPストックもっと増やそう。

 MP量って、いざって時にはそのまんま、わたしの力になるんだからね。


 せっかくストックチャージとか便利なことが出来るんだから、有効活用しないと。


 ゴーレムもクレイゴーレムなら、いくらでも作れそうだし、レンガが地面から湧くような感じで錬成できたのも、土属性だったからか……今度から、その辺、意識して、独自魔術開発してみるようにしてみよう。

 

「とりあえず、自分の視界とリンクする遠隔視点がこれで用意できるようになったと。多分、慣れが必要でしょうけど、これを多数付近に配備すれば、広域警戒網くらいは作れますね。そうなると、後は対空攻撃……そっちの弩の勇者がいれば、その辺は問題なさそうですけど、数が多くなると厳しいかもですね……」

 

 確かにユウキくんなら、空の敵への対応は可能。

 

 キマイラも飛行能力持ってたけど、ユウキくんは無造作に翼を撃ち抜いて叩き落とした。

 その上で、足を狙って、身動きを取れなくした上で……とまぁ、ユウキくん、容赦なかった。

 

 わたしが敵を捕捉して、ユウキくんが殺る。


 いつものスポッターとしての仕事が捗りそうだ……むしろ、通信魔術とかそっちを開発しないとだなぁ……このトゲボールゴーレムも、通信機能とか持たせられないかな?


「そうだね……ユウキくんの索敵範囲外から来られると、厄介だったけど……。このスカウターってので、警戒網を張っとけば、対処は断然楽になる……欲を言えば、もう少し対空火力がほしいところだね」

 

 理想としては、ユウキくんを量産するような感じ?


 と言うか、弩の勇者のスキル構成って、どうみても空の敵とも戦うことを想定してるんだよね……。

 索敵能力もだけど、ホーミング弾みたいなのだってあるって言ってた。


 どのみち、投石機なんかもとても当てられないだろうから、長射程の攻撃魔術を組み合わせた対空迎撃専門の戦闘用ゴーレムとかどうだろう。

 

 ……お姉ちゃんの使ってた風弾ウィンドバレットなんかは、初級攻撃魔術だけど、早い弾速、おまけに見えないから見切られにくいと、意外と使える攻撃魔法らしいので、そう言うのを撃ち出せるゴーレムとか……なんとなく、作れそうな気がする。

 

 多分、融合素材……水レンガとか、魔剣作る時のエンチャント魔法の応用で行けると思う。

 

 ココらへんは、今後の課題……ゴーレム兵による遠距離攻撃での防衛システムって考えは多分、間違ってない。


 でも……わたしが土属性って考えると、風魔法とか駄目っぽいぞ。 

 そうなると……やっぱり、火薬を使った銃砲火器?


 そもそも、こっちは攻撃魔法の専門家じゃない……けど、銃砲火器なら、魔法関係ない。


 土属性なら、それはそれで、むしろ、冶金……金属扱ったりとか、そう言うのに向いてるっぽい。


 やはり、禁断の物理テクノロジー……銃砲火器の登場ってやるしかないか……。

 

 まずは、火薬と大砲。

 錬成術で作り出す次世代兵器としては、やっぱこれでしょ!

 

「対空火力となると、風系の攻撃魔法とかが最適なんですが……。私もシズルさんも攻撃魔法は使えないですからね。独力で覚えるって手もありますけど。なかなか難しいんですよね……」


 なんか、ユキちゃんまで一緒になって、わたしの拠点の要塞化を考えてない?


 でも、こう言うのってちょっと楽しい。

 

「そこはそれ……別に攻撃魔法に頼らなくたって、大砲とか作っちゃえばよくない? 火薬も大砲もわたしなら、多分作れるよ」


「……じゅ、銃砲火器ですか? でも、確かにシズルさん、この世界に召喚される事が事前に解っていて、色々準備してたみたいですからね……。当てはあると……そう言うことですか?」


「そう言うことだね……。錬成術って、土の山から硝石なんかを精製することだって出来るから、黒色火薬くらいなら調合式も覚えてきたから作れる。大砲なんかも極端な話、鉄の大筒みたいなのが出来れば、迫撃砲くらいなら作れるしね」


 そう、硝酸カリウムってのは、そこら辺の土に微量ながら含まれてる。

 土の山から、それだけを結晶化して錬成とか、不可能じゃない。

 

 実は、その辺の実験も密かにやって、成功させてるからね……準備は抜かり無い。


「……この世界、銃や大砲どころか火薬すら無いんですけど……。そ、そうなると、シズルさんは戦争の様式すら変えそうな勢いですね……。いや、悪くはないです。シズルさんは、間違いなくこの世界の勢力図を書き換える存在になる……そんな風に思ったんですけど、いえ……それがたった今確信に変わりました」


 やっぱり……絶対、凶悪な組み合わせだもん。

 要塞は動けないけど、ゴーレムは動けるし、素材変えてもっと頑丈で長持ちすれば、超強い。


 さらに大砲背負わせて、数に物を言わせれば、お城とかだって余裕で落とせる。

 軍勢なんていくら居ても余裕。

 

 戦いは火力だよ、兄貴……って、セリフもあったよね。

 銃火器とゴーレムの組み合わせって、地味に凶悪かもって思ってたけど、こりゃ想像以上かもしれない。

 

 となると、必要なものは資源……魔石や鉄も良質なのがあればいくらでも欲しい。


 木炭なんかも、量産するとなると人手が欲しい。

 素材集めも地味だけど、人手かあれば……奴隷とかむしろ、欲しいっ!


 世界征服とか興味なかったけど、人、物、お金……そう言う観点で考えると、それも悪くない。


 私の最終目標の為にも、邪魔くさい奴らを黙らせて、リソース集中って考えると、全部まとめて従える……これが一番楽な気がする。


 決めた……ひとまず、獣王国と手を組む……いや、手始めに獣王国を従えちゃおう!

 こうなったら、わたし、世紀末覇王ルートで行きます!

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