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第十九話「風雲シズル城」②

 多分ユキちゃんが王国軍に伝えたのは……。


 王国お抱え勇者と野良勇者のわたし達、勇者同士の戦いは、完封負け……姉二人が人質に取られて、ユキちゃんも隷属の首輪ハメられて、伝言係以上の事は出来なくなった。

 

 こちらは、王国を明確に敵視してて、何をするか解らない上に、要塞みたいなのを築き上げて、ゴーレムが山程いる……野戦軍で挑んでも、獣王軍が味方になってる可能性もあって、ボロ負けするのが関の山とか、そんな事を吹き込んだんだろうね。

 

 これらは一応、事実……人質って割には、なんかもう打ち解けまくってるし、隷属の首輪だって、ユキちゃんを信頼するってことで、ただの首輪状態なんで、機能なんてしてないんだけど……。


 そもそもお姉ちゃん二人を置いて、裏切ったりしないだろうって、前提でそうしたんだけど……。


 その提案自体は、実はユキちゃん本人の提案……。

 メッセンジャーになるってのも、独力で流星を使えるのはユキちゃんだけってのもあったけど、これもやっぱり本人が志願。

 

 獣王国軍がわたしらの拠点の間近に迫ってるってのも、多分、事実ではあるんだけど。

 味方どころか、まだまだ接触もしてない。

 

 クマさん達が戻ってこないのも、獣王国軍と合流して、道案内とかしてる……と思いたいんだけど。

 獣王国がまともな対応をせずに、問答無用で二人を捕縛してる可能性だってある。

 

 この辺は、どう転ぶかまだ全然解らない……けど、獣王国軍はもう目鼻の距離にまで来ているのは間違いない。

 

 わたしにとっては、ここで王国と獣王国が戦争始めるなんてのは、回避したいところだった。


 ライブラさんのミッションとやらも、まさにそれだけど、自分たちを巡って、盛大に人死が出るとか御免こうむりたい……わたしにだって、良心ってもんがある。

 

「なるほど……そうなると、王国軍の撤退は、ユキちゃんの機転でってのも大きいってことだね。まったく、やるねぇ……わたし、そこまで気は回らなかったよ。勇者が負けたんだから、軍勢でってのも無駄って、普通に解るって思ってた」


「そうでもないんですよ……数を揃えて、消耗戦を挑めば勝てるって、思ってるフシはあります。実際は、持久戦となると難があるってのは、こっちも解ってるんで、容赦ない一方的な殲滅戦となると思いますけどね……。ところで、この拠点もちょっと時間かけるだけで、要塞化位できますよね?」


 むー、ユキちゃんが何考えてんだか、良く解かんなくなってきたよ……。

 この拠点を要塞化って……対軍勢用の要塞化ってことかな……?


「もうちょっと領域を広げて、防壁やらを増築しまくった上で、オートマチックの投石機を追加で100機くらい並べるとか、それくらいは出来るかも……ゴーレム兵も今はクレイゴーレムだけど、素材を変えれば、もっといいのは作れるね」


 領域化した面積を増やすのは時間さえかければ難しくは無い。

 この辺くらいまでが私の領域って意識してれば、ジワジワと領域が広がっていって、そこで止まるようになってる。


 どこまで広がるかは、解かんないけど、割と際限無いのかもしれない。

 

 なにせ、土地から得られる魔力と領域維持コストのバランスで、コストが上回ればそこが限界なんだろうけど、まだまだそこに到達する様子がない。

 

 うーん? 今の時点で大体百メートル四方くらい?


 日々、意識せずともジワジワ広がってるから、土地を均すのが追い付いて無いんだよね。

 なので、ジャングル状態のまま、領域に食われてる所もかなり多いのですよ。


「投石機100機とはまた豪勢ですね……。それだけの数で一点集中なんかされたら、近づくのもままなりませんね……。なるほど今の時点でも、真っ当な軍勢では、勝ち目は薄いですね……。ワイバーン級の大型モンスターや、特殊部隊の空挺降下奇襲攻撃も、来ると解ってれば、対処は可能でしょうか? どちらも王国が持つ戦力ではあるんですが」


 ……要するに、ユキちゃんは、わたしのこの領域化と拠点作成の能力が、どの程度かを知りたいって事かな?


 今後、再戦を挑む可能性があるから?

 いやいや、そんなんだったら、バカ正直に聞いてくる訳がない。


 大型モンスターもキマイラ戦は結構楽勝だったし、ワイバーンに空挺降下……。


 なるほど、そう言う戦術を使う部隊も王国にはあると……こんな情報を流してくる時点で、ユキちゃんはわたしと敵対する意志がないって事だった。


 むしろ、この城塞で通常軍に勝てるかどうか、勝てるにはどうすれば良いか、一緒に考えてくれるとか、そんな感じっぽい。


 確かに、あくまで個人で、短期決戦型の勇者にとって、軍勢ってのは、間違いなく厄介な相手。

 消耗戦に持ち込まれたら、かなり危ういと思う。

 

 けど、オートマチックで敵を撃退する自動迎撃城塞ともなると、軍勢で挑んでも歯が立たない。

 

 実際、今の時点でもゴブリン、オークがダース単位で来てもあっと言う間に溶ける。

 あの分だと三桁来ても、たぶんなんとかなる。


 わたしの仕事も、撃ち方始めのコマンドオンと、戦闘後のメンテナンスと、魔石拾いくらい?


 ゴブリンはともかく、オーク辺りになると、人間よりも強いらしいので、オークの群れをが余裕で殲滅ってなると、人間の軍勢でも正面から力攻めなんてやると、同じ結果になるって事か。


 人間の軍勢は、もうちょっと小賢しいし、ルーチンワーク自動対応とか舐めプやってたら、落とされるかもだけど。


 細かく対応すれば……空堀とかもガンガン作れるし、シンプルに壁で分断、レンガ爆撃とか……やりたい放題。


 攻める側から見たら……あれ? ……何気に無理ゲー臭くない?

 大勢で突撃ーとかやっても、壁作られて足止めされて、分断されて、レンガの雨が降ってきたら、皆死んじゃう。


 バラけて、攻めるってもそうなると統率も何もってなるから、一度崩れたら総崩れになるだろうし……大きいだけのハッタリゴーレムでも作れば、それだけで士気崩壊しそう。


 ……確かに自動要塞って、この世界の軍勢相手なら、めちゃくちゃ強いかも。

 

 なんだ、わたし……軍勢相手なら、むしろ勇者最強かも?

 国家の力の源泉……軍勢が相手にならないって事は、わたし……国に従う必要なんて無かったんだね。


 ああ、ここに来て自分のヤバさが解って来た。

 

「確かに、今の時点でそんなのにいきなり奇襲されたら、対応は難しいけど。空挺にせよ、ワイバーンにせよ、そう言うのいるって想定でなら、対処は可能……いわば、対空防衛システムを構築すればいいって事だよね。あの……ユキちゃん。……わたしも色々考えたんだけど、軍勢相手なら最強な気がして来たんだけど、どうだろ?」


 ユキちゃんが挙げてるのは、あくまで特殊な事例。

 城塞を陥落させる可能性のある王国側の戦術ってところかな?


 ちなみに大規模広範囲攻撃魔法とかも脅威じゃない。


 射程も1キロくらいあるみたいなんだけど、大仰な儀式を何時間もかけてーとかそんな調子らしい。

 ウチだと、ユウキくんおねやすで、余裕で潰せる。


 対竜魔法って言う、大型モンスター用の魔法もあるみたいなんだけど、タイマン魔術戦って、要するにMP勝負なんだよね……。


 なにせ乗っ取られたら、どんな強力な魔術でも瞬時に無力化する。

 だからこそ、大魔法は出来る限り、MPを乗せる……そう言うものなんだけど、MP保有量に関しては、何気にここに居るメンツと比較しても、ダントツトップ。


 まず、人間の高名な魔術師とかでも500MPとかそんなもんらしい。

 勇者なら、どのクラスでもそれ位は余裕で超えてるので、人間の魔術師なんてのは、勇者相手だとほぼ無力。

 

 ちなみにわたしは……勇者モードで、2500MPくらい?

 レベルアップに伴って、なんかゴリゴリ増えた。

 領域化補正ってのもあって水増しされてるけど、はっきり言って破格のMP量。

 

 生産系勇者は元々MP高めって言うクラス特性もあるんだけど、わたし自身が割とMP高めらしい。


 実は勇者モード抜きでも300くらいある……レベルとしては、中級。

 魔法学校の先生なんかでもそれ位が普通で、この時点で一人前を名乗っていいくらい。


 日々、寝る前とかに土地にMP溜め込んでるから、そのへんも総動員すれば、軽く万単位とか行くかも。

 うーむ、わたしが最強ヒールの「至高の癒やし」使えたら、五回くらい使ってもお釣りが来るね。


 まどかさんは、当初1200で1500まで上ったとか言ってて、ユキちゃんも1500位らしい。


 戦闘職になると、MP三桁超えはまず行かなくて、お姉ちゃんですら800とかそれくらい。


 なにげに、わたし……MPおばけだった。

 この辺はお姉ちゃんも知らなかったんだけど、このおばけMPって、わたしの強みなのは間違いない。


 ユキちゃん戦では……消耗戦になったら、キツいと思ってたから、色々ケチってたけど。

 蓋を開けたら、むしろ消耗戦になったらヤバいとユキちゃんも認識してたらしい。


「そうですよ、軍勢相手なら、城塞化すれば、どれだけ数がいても話にならない。仕掛けの全容知ったからこそ言えますけど、今の時点ですら、一万の軍勢でも落とせるか怪しいですよ?」


「うん……真面目に人間の軍勢相手にって考えて、色々本気出したら、難攻不落の要塞くらい作れるかも……。けど、今のここ……そこまでかな? はっきり言って、そこまで御大層な防御力なんて無いよ?」


「確かに野良モンスターの群れ相手を想定してるって言ったましたからね。それでもあの自動迎撃システム、相当厄介でしたよ……範囲もまた狭かったから、領域に踏こまずに済みましたけど、あれでkmとか広かったら手に負えませんでしたね……。この辺は実際に踏み込んだ人のほうが解ってると思います」


「確かに……実際、シズルちゃんとやり合った身としては、自在に壁生やせて、ゴーレム無限湧きってマジでキツかった……長丁場になって逃げ回られたら、絶対ヤバいって思ってたからね。だから、こっちはもう必死でユキの索敵範囲とかアピールして、逃げ回っても無駄ってハッタリかましてたのよ」


 マキさんがうんざりしたような様子でため息をつく。

 実はあの時、わたしは二人に勝てないって思ってたけど、ユキちゃんもマキさんも、余裕なんて全然無かったんだとか。


 わたしも駄目駄目かと思ってたけど、思った以上に頑張ってたらしい。

シズルちゃんの魔王思考発動中。


他人に色々振り回されて、いい加減ムカつくし、どいつもこいつも勝手ばっかり!

もう全部、ぶん殴って、わたしフリーダム……これよくね?


まぁ、こんな感じの思考だったりします。

この辺、お姉ちゃんそっくり。(笑)

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