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第八話「異世界サバイバル始まった!」②

 ……お留守番要員と言っても、毎日遊んでる訳じゃなく。

 錬成術を着々と鍛えてる所ではある。

 

 錬成術……これはランタンの勇者の専売特許的なスキルで、原材料さえ揃えれば、完成品をイメージするだけで何でも作れるってチートな代物なのだと、判明している。

 

 つまり、砂鉄の山と木の枝とかを元に、剣を作ったり、動物の毛皮から皮の鎧ーとか。

 小麦粉だけでパン作ったり、お米に近い雑草の種から、ほかほかご飯のようなものを作るとか。

 

 要するに、完成品のイメージさえあれば、いい加減に集めた原材料を元にそれっぽいものが作れる。

 ……割と、とんでもスキル。

 

 もうひとつの生産特化の薬師は、そこまで汎用性高くなかったそうで、鍛冶師も武器防具制作や金属加工限定って感じらしいので、もうお姉ちゃんもびっくりなくらいのチート職!


 ただし、その運用はかなり難儀だってのは、想像に難くない。

 

 汎用性が高いってのは、その分、運用の選択肢が膨大って事でもある。


 要するに、覚えることや理解する必要のあることがモノすご~く多いって事。

 何より、応用力とかひらめきとか、そう言うのも要求される……間違っても初心者向けじゃない。

 

 なお、先代のランタンの勇者はゲーム脳で、自前で作った長剣片手に先頭切って突撃するような方で、始まって三日くらいで、ゴブリンの毒矢を受けて、あっさり落命されたそうで、お姉ちゃん情報は皆無。

 

 最期の言葉は「大丈夫、すぐにリスポーンされるからっ!」

 

 お姉ちゃんのお仲間のメイスの勇者が全MP注ぎ込んで、解毒しようとしたらしいんだけど。

 死んで復活したほうが早いとか言って、拒絶……結果、そのままお亡くなりに……。

 

 ゲーム脳ヤバイ……そういや、あのヲタク三人衆は元気だろうか?

 あの人達も大概って感じだったから、舐めプかまして、野垂れ死に……とかなってなきゃいいけど。

 クマさんみたいに、サバイバル知識なんてなさそうだし……さすがに心配になってくる。


 リナさんとかちょっと仲良くなりかけてたから、どっかで死なれてた……なんてなってたら、とっても悲しい。

 

 とにかく、錬金術師……十分使えるクラスだと思うんだけど。

 本人とジョブのミスマッチが起きてると、そんな風に不幸な結果になる……。

 

 生産と支援特化なんだから、守られ役で良しとするなら、それなりに役に立つと思う。

 戦闘に巻き込まれたら、無理に戦わないで、他力本願で逃げ回るってのでもいいと思うんだよね。


 ちなみに、土塊や砂鉄の山から、レンガとか剣やナイフなんかを、作れるようになった。

 形とか大雑把だし、強度とかはイマイチだけど。

 クマさんにもナタとかクワ作ってあげたら、とっても喜ばれた。

 

 でっかいお鍋とか、まな板に、包丁なんかも自作。

 果物ジュースの入ってる陶器のコップとかも、わたしが錬成術で作った!

 

 かまどもレンガを組み合わせて、それっぽいのが出来てる。


 まどかさんが焼いてくれたどんぐり塩パン……とっても、美味しかったです!

 バターとかあれば、もっと良いんだけど……ヤギとか拾って来てくれないかなぁ……。

 

 レンガは練習兼、経験値稼ぎって事で、日々自重せずMPの続く限りの勢いで、ボコボコ作った!


 日付変わる直前に変身回数余ってたら、変身してランタンフルパワー状態にして、ひたすらレンガ大量生産するってのは、もう日課。


 お姉ちゃんの影響で、剣とか自作錬成なんてのもやってるけど、まだまだ出来はいまいち。

 順調に失敗作が増えていっている……。


 とりあえず、レンガ・ブロックが大量に出来てしまったので、広場のあちこちに壁を作る……その程度のつもりだったんだけど……。


 日々数百個単位で作られていくので、もはや、要塞のように到るところに壁が作られて、住処と言える家もレンガ造りでご立派なものが出来ている。


 ちなみに、拠点の広場も日々拡張してる……まぁ、植物伐採して地面均して……この辺の力仕事はクマさんがやってくれてる。


 うーん、クマさん……何かと頼もしい! 大きな男の人ってやっぱ素敵だね!

 

 とりあえず、家は……2LDKくらいの広さの一階が出来て、現在、二階を増築中。

 二階はどんがらで何もない状態だけど、屋上が出来たので、見張り場兼、くつろぎスペースになった。

 

 結構立派な感じで、めっちゃ快適。

 

 ちなみに、暑さ対策は水属性を持つ青いレンガを作れるようになって、それを家の外壁に採用したら、壁自体がひんやりと涼しくなったので、いい感じ。

  

 材料はコップ一杯ほどの水と普通のレンガ……ひんやりとした氷みたいなレンガになれって、イメージしたらホントに出来た。

 

 逆に普通のレンガを火で炙りながら、炎が染み込んでいくイメージにしたら、いつでもほんのり温かいホットレンガが出来た。

 

 寒いところだと便利そうだけど、夜でも暑いここらでは……微妙。 


 ……錬成術……ガチで、なんでもありだった。 

  

 本来は、こんなレンガ組んで家作るとか、めっちゃ重労働なんだろうけど、ある程度ルーチンワークをこなしてくれるクレイゴーレムってのも作れるようになったので、単純作業はお任せ!

 

 でも、ちょっと複雑な作業になると、あっさりお手上げになる上に、要するに、粘土細工の人形みたいなもんなので、時間が経つと乾燥して動かなくなるし、ちょっとした事ですぐ壊れる。

 

 ……なんだかんだで、わたしが自分でキリキリ仕事してるのが実情。

 それでも、無いよりは全然マシだし、ゴーレムの進化もそのうち出来るっぽいから、乞うご期待?

 

 他にも薬草調合して、塗るだけで傷があっという間に治る回復アイテムや、虫除けや解毒剤、日焼け止めも作ってみた。

 

 割と日中の日差しが洒落にならないと気づいたので、そんなのを作ったんだけど。

 まどかさんからはとっても喜ばれた。

 

 薬草なんかについては、拾ってきてもらったのとか、近場を散策して拾った雑草やらキノコなんかを鑑定してると、中には、薬草(HP系)とかキノコ(MP系)なんて感じになるのがあって、その辺をすり潰したりして、「薬化」って新しく使えるようになったスキルを使うと、薬になるものが出来る。

 

 ……なんと言うか、雑。

 本来は、グツグツ煮込んだり、精製する過程とかいるんだろうけど。


 適当にすり潰しただけで、回復薬レベル1ってのと、解毒薬レベル1は作れるようになった。

 

 当然ながら、失敗作も大量に出来たけど。

 失敗作の中には、カレー風味の調味料みたいなのも出来て、意外と重宝してる。


 カレー風味って意外と何にでも合うので、最初は嫌で嫌でしょうがなかった蛇の蒲焼も今では、カレー風味で美味しく感じられるようになった。


 なんと言っても、なんだかんだでお肉は貴重……ヘビさん、美味しいですっ! ありがとうっ!

 

 ちなみに、カレー粉の作り方。

 カレーの匂いのする葉っぱと胡椒みたいにピリッと辛い小さな木の実を混ぜて、解毒薬を作るつもりで、錬精術を発動すると失敗して、カレー粉みたいなのが出来る……失敗の法則を見つけてしまったよ!


 システム上では、失敗作のゴミ扱いされるけど、これはカレー粉のレシピって事で良いと思うな。

 色が緑色とカレーのイメージと違うけど……味と匂いはまさにカレー。

  

 そんな数々の実験に加えて、クマさん達が取ってきたウサギっぽいのとか、イノシシっぽい動物の干し肉とか燻製にしたり、どんぐり的な何かのお団子を作って、乾かしたりとか……。

 食料もなんとか消費を追い越して、やっと備蓄できるようになってきた。


 はい、地味です……解ってたけど、リアル生産系とか、くっそ地味です。


 でも、こう言うの……なんか好き。

 例えマゾくたって、なにもない所から色々考えながら、色んなものを集めて、便利な物や美味しい食べ物とかが生み出されていくこの過程が、なんとも楽しい。


 まどかさんや、クマさん達のこんなのがあればいいのになぁって呟きから、始まる物作りクエスト。

 それなりに、楽しんでるのは確か。

 

 ちなみに、生き抜く上での懸念点だったお塩も、クマさんが岩塩を含んだ岩を拾ってきてくれた。 

 なんでも、動物達がペロペロ舐めまくってる岩がゴロゴロしてる所を見つけて、そこの岩を拾ってきてくれたんだけど。 その岩を割ったら、中に岩塩が混ざってたと言う。

 

 どうも、昔、塩湖か何かがあって、干からびたような感じらしく、植物なんかも全く生えて無くて、現地人が採取しに来てたような形跡もあったらしい。

 

 ちなみに、岩塩混じりの岩でも錬成術を使えば、不純物だけ取っ払って、精製……なんてコトも出来た。

 便利過ぎるでしょ……これ。

 

 服とか身体の汚れも、まどかさんが使える魔法で、清浄化クリーナーってのがあって、ソレ使えば、水も使わず、服とか下着も新品ピカピカになって、身体も水浴びしたくらいには綺麗になると言う……女子的には、素晴らしい魔法。


 なお、服着たままだと、服がピカピカになるだけで終わるので、身体を綺麗にする時は、服は脱がないと駄目。


 まどかさんは、仕事柄、男性の裸とか見慣れてるとかで、クマさんもユウキ君も容赦なく剥かれて、清浄化されてた……なお、わたしもやられた。

 

 まどかさん、脱がすの手際良すぎて驚きな上に、面倒くさいからって、服脱がして身体と服、まとめて、清浄化してくれるんだけど……。


 せめてわたしの時は、クマさんとかユウキくんの目を気にして欲しかったし、目の前で剥かれたユウキくんだって……。


 ええ、色々見ちゃったし、見られましたよっ! こんちくしょーっ!

 まぁ、ユウキくんは正真正銘男の子でした……は、初めて見たよ……アレ。


 ちなみに、たまにスコールとか降ると、水浴びタイム……みたいになってる。


 ダーッと降って、パッと止むから、大急ぎで服脱いで、外行ってーとかやってるから、最近裸になるのが抵抗なくなってきてる。


 ……慣れって結構凄いね。

 

 とにかく……そんな感じで、色々実験したり、色んな食材とか物を集めて、拠点みたいなのを作って、日々の生活に追われてるんだけど……なんだろ、異世界の冒険って?

 

 ちなみに、お姉ちゃんはお城スタートで、もうちょっと恵まれてたし、長距離移動は乗り物やら、色々準備してもらってたみたいで、こんな風に異世界サバイバルを始めるとか、お姉ちゃんも予想外で……。

 あまり、有用なアドバイスも出来なくて、ヤキモキしてるらしい……。

 

「……ふぅ、異世界野宿でサバイバル生活とか、最初どうなるのって思ってたけど、結構なんとかなるもんね!」


 隣にいつまどかさんが、麦わら帽子を編み編みしながら、楽しそうに一言。

 

 なお、最初の数日はナース服だったんだけど。

 暑苦しいの一言で、ナース服がミニスカ、タンクトップ風になって、最近では、このウサギ皮の腰巻きとブラという大胆な格好がデフォになってる。


 もはや白衣の天使の面影もないし、ちょっと恥ずかしいとか最初は言ってたんだけど、色々通り越したらしく、もう気にしてる素振りもない……最近では、もっと涼しい半透け素材とか無いもんかとか言ってる。

 

 確かに、この裸に近いカッコ……めっちゃ涼しいし、なんか癖になる……解る。

 

 ユウキ君なんかは最初は、すっごい恥ずかしがってて、そんなカッコ、止めてくださーいとか言ってたけど、慣れたらしく最近は、何も言わなくなった。

 

 クマさんは……いつもニコニコ穏やかな人で、女性の際どいカッコとかも、年食うとあまり気にならなくなるとかで、目の前で着替えてたりしても、無言で目線を反らしたり、黙って背中を向けるような、気遣いを見せるくらい余裕がある。


 なんと言うか……紳士だ。

 そう言う事をすると、決まってちょっとしたお説教が始まるんだけどね。

 

 ちなみに、毛皮とか布切れとかについても、動物の毛皮やら、葉っぱやらから、錬成できてしまった。

 わたしも、ワンピースで、腰紐でキュッとやるようなシンプルな服とかなら、作れるので、普段はそれを着てる。


 錬成術の応用範囲って、メチャクチャ広くて、砂利混じりの岩塩を精製塩にするとかもだけど、土から石英だけ抽出、精錬してガラス瓶を作るとか、そんな真似もできる。


 武器なんかも質が微妙だけど、いい素材が手に入れば、もっといい武器も作れそう……もっとも、本格的な剣とか槍ってなるとお手本がいりそうだけど。


 見てくれはともかく、エンチャント系魔術で切れ味抜群の剣とか、色々試してはいる。


 いかんせん、他の勇者と違ってランタンは武器にならないので、武器は自前で用意するしかない。

 せっかく、剣術少しは使えるんだから、浮気せず剣一本で、剣自体もそのうちすんごいの作ってやる!

 

 ちなみに、今着てる毛皮は、クマさんの持ってた革財布を見本にして、毛皮を作って、それをジャキジャキ切って作った。

 布も植物の綿毛を大量に集めてもらって、錬成術一発でピローンと出来た。

 

 質感は、木綿みたいな感じだけど、漂白剤とか無いから色は茶色い……汗拭きとかシャツとか作ったんで、夜寝る時とかに着てる。

 

 とにかく、こんな異世界ジャングル生活でも、生活用品とかは、錬金術で割と何とかなってしまった。

 

 暑いのも、まどかさんの使える防御魔術に、耐熱フィールド的なのがあったんで、ソレを使っとけば、結構凌げるし、水属性のひんやりレンガのおかげで、家の中でも快適そのもの。

 

 お姉ちゃんの話だと、本来はドラゴンブレスとか、イフリートだの、火を吹くような敵に対抗するためらしいんだけど。

 暑苦しい所で使う分にはめっちゃ有用。


 消費MPも相応なんだけど、まどかさん……MPの消費とか全然気にしない人。

 おかげで、MP回復のランタン大活躍です。

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