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新年企画3

アナベラ 「お待ちしていましたわ。…やっと私の元へいらしたのね、フォーカス様」


フォーカス「無理強いしたのはお前だろうが。しかも私の『よく知っている娘』を傷付けると言う脅しまで使って。何度も言うが私はもう貴族ではないし…『私のよく知っている娘』に手を出したら、彼女の兄に物理的に抹殺されるぞ」


アナベラ 「ふん、たかが一市民ではありませんか。その方の兄が高位貴族の私に等手出しは出来る筈ありませんわ」


フォーカス「だからお前は愚かだと言うのだ。調べるならもっと彼女の兄弟姉妹の事を調べるべきだな」


アナベラ 「まぁ、おかしい。たかが一般人如きが私に逆らえると言うのですか」


フォーカス「親の威を借る『愚かな狐』如きがよく調べもせず吠えるとは。その頭は飾りと見える」


アナベラ 「フォーカス様、今の戯言は聞かなかった事ことに致します。余程生活が落ちぶれて貧窮している故にお疲れに為ったのでしょう?まぁいいでしょう。本日は昔の栄光を懐かしんでゆっくり羽を伸ばすと宜しいですわ」


フォーカス「は。愚かな事を。幾ら幼いと言え、私のことを理解している君よりも遥かに年下のオルブロンが私には『いい女』に見えるよ」


アナベラ 「世迷い言を。8歳の小娘では世間体にも只の幼女にしかありませんわ。それに比べて私は13歳。三年後には成人を迎えます…言いたいことはお分かりでしょう?」


フォーカス「さあ、さっぱり分からんな。所詮他人事だ」


アナベラ 「いいえ、他人事では御座いません。何故なら貴方様は私に答えるべく貴族に戻るべきです。そしてこの私の…」


王弟   「アナベラちゃん、それは僕が許さないよ~。僕は君が『大』が付くくらいに嫌いだしね」


フォーカス「父上、いらしたのですか」


王弟   「うーん我が息子ながら動じないその姿勢嫌いじゃないけど、場の空気って知っている?此処が何処かわかっている?幾ら子供向けに会場に設えてある場所とは言え、入り口付近で口論していると目立ってしまうよ。ま、息子がワザとやっているのはわかるけどね」


フォーカス「父上も大概ですよ」


王弟   「えー」


アナベラ 「王弟様、『たった今』気が付きましたわ。お久しぶりですわ」


王弟   「うわーやっぱり君嫌い。大嫌いだよ。と言うか相変わらず人のコト名前で呼ばないよね、失礼な『霊場』だな~。おっと、発言間違えたな、令嬢だったな」


アナベラ 「ほほほ、困った方ですわね。到頭ボケましたの?」


王弟   「ははは、君に対する嫌味の一つだよ。所詮子供には僕の小粋なセリフなど理解出来ないしね。この馬鹿娘は放置して、息子『大事な幼妻』が来ているよ」


フォーカス「…幼妻って」


王弟   「誰がどう見ても幼妻だろうが、僕も認めているしね。その大事な幼妻ちゃんが向こうでお前を探していたぞ」


フォーカス「行ってくる」


王弟   「おう、行って来い。手はまだ出すなよ」


フォーカス「……しない」


王弟   「早く行ってやれ。慣れない場所なのに一人で居るのは可愛そうだぞ」


アナベラ 「まぁなんてこと呆れましたわ、王弟様。ワザワザ幼子を会場に連れてきたのですか」


王弟   「お~流石我が息子、早速見付けて保護しているって早いな~」


アナベラ 「王弟様」


王弟   「何度も言うけどね、僕の名前はヴィルだよ。それと君は僕に先に『挨拶』すべき下の者だと言うのは理解出来ないのかい?」


アナベラ 「…失礼致しました。王弟様、アナベラです」


ヴィル  「相変わらず下手くそだね。そして生意気だ。下の苗字は言えないのかい」


アナベラ 「フン。…所でいい加減背後にいる近衛兵を制して頂けませんこと?殺気が凄まじくて私、先程から全身が微かに震えていますのよ」


ヴィル  「へぇ君がね。それでは益々止める気は無いな」


アナベラ 「まぁ王の弟君とは言え失礼な方」


ヴィル  「その台詞そっくりそのまま返上するよ。君はいい加減性格を矯正されるべきだね。それとも…粛清されたいのかい?」


アナベラ 「まぁご冗談の通じないお方。未成年の粛清だなんて突飛過ぎて滑稽ですこと」


近衛兵  「失礼致します、ヴィル様。【コレ】引っ捕らえますか」


ヴィル  「僕今程この場に君が居て頼もしい事はないけど、同時に末恐ろしいね。親戚筋になるモイスト家にはこの上ない至宝だろうけど、僕個人は剣呑なのは苦手な人間なんでね。だけど今は甘受しよう。君が【コレ】扱いの子供に厳しく灸を据えてやるのも大人の仕事だよね。ね、どう思う『鬼神ちゃん』?」


近衛兵  「私は『鬼神ちゃん』ではありません」


ヴィル  「んじゃ、ジーニアスちゃん」


ジーニアス「『ちゃん』は付いたままなのですね…」


アナベラ 「失礼。貴方様が『鬼神』と噂の高い第二王子専属の近衛兵ジーニアス様、で宜しいでしょうか?」


ヴィル  「言っとくけどね、本来ならアナベラ如きが声を掛けていい男では無いのだよ。王家付きの護衛だからね。貴族位としては下と見下したらそれこそ君の父上は赤っ恥を掻くよ。…何せ元ガルニエ家の爵位は高位貴族なのだからね」


アナベラ 「…っ!」


ヴィル  「おお怖っ!今私を罵ろうとしたけど飲み込んだようだね?山猿がそれぐらいの知恵は付けて来たか。だがまだまだだね、忍耐の弱さは相変わらずと見える。ねぇ、アナベラの父君?」


アナベラ父「ヴィル様お久しぶりで御座います。相変わらずな様子で安心致しました。が、我が娘が『クソ』生意気な口を塞いで居なかったようで、大変申し訳ありません」


アナベラ 「あいたぁ!お父様酷いですわ拳骨を食らわすなんて!」


アナベラ父「我が『クソ娘』よ、私は此処に来る一週間前からずっと話していたよね?諭すように一語一句同じ言葉を重ねて話した筈だよ。それなのにもう忘れたのかい?その頭は飾りかね?それとも私の言葉を覚える程、脳ミソは詰まって無いのかね?」


アナベラ 「痛い!痛いですわ!何度も殴らないで!」


アナベラ父「いいや、今日という今日は止めないよ。更に言うと今日帰ってから一ヶ月毎日地獄の特訓をしようか。…帰宅したら即屋敷中の床と言う床を乾拭きしなさい。更に厳しいという先生を招いてみっちりとその腐った脳ミソを矯正させるから覚悟してくれ」


アナベラ 「そんなお父様っ!」


アナベラ父「もし誰かに手伝わせた、もしくは交代させたりしたら、その場で国内1厳しいという北方のゴードン教会に入れる」


アナベラ 「ひっ!」


ジーニアス「ゴードン教会?」


ヴィル  「ああ、ジーニアスちゃん知らないか。ゴードン教会は我が国の極寒の地、北方にある教会でね。貴族の間で問題行動が多いと強制収容される場所で有名でね。入れたが最後って事で、二度と俗世には出させて貰えないってワケ。ちなみに死んでも出させて貰えないって言うよ」


ジーニアス「成程」


ヴィル  「それぐらいの脅しでは効かないと思うのだけどね~」


アナベラ父「コレが出来なければ来年入る筈だった学園へは行かせられない」


アナベラ 「お父様!酷い!学園に入れなければ私、王都に居る貴族子女としては最低ランクだって言われて、お友達に笑われてしまうわ!」


ヴィル  「(お友達いるの?こんな性格なのに)」


アナベラ父「(ヴィル様、似たような者は集まるのですよ……………)」


ヴィル  「(苦労しているんだねぇ…)」


アナベラ 「ちょっと、二人で何をコソコソと話していらっしゃるのです。私に対して何か疚しい事があるのではなくって?」


ヴィル  「あるね~いっぱいあるね~ありすぎるね~」


ジーニアス「ヴィル様、流石にその言い方は」


ヴィル  「仕返しと言う名のイジメだからね~。兎に角、今後ウチの息子を呼び付ける真似は禁止。それと息子の幼妻にチョッカイ掛けたら、僕だけじゃなくこのジーニアスちゃんが君を脅すよ~。あ、脅すだけじゃなく半殺しにしとく?僕許可出しとくよ」


アナベラ 「何故ですの!それに幼妻って一体何処の泥棒猫ですか!フォーカス様は私と共に高位貴族の道を歩むのですわ!そし…」


ヴィル  「それは無い。息子も嫌がるだろうけど、何より僕が許さない。君さっき僕に言われたこともう忘れたのかい?『僕は君が嫌いだよ』」


ジーニアス「イジメを通り越して痛め付けているようにしか思えないのですがね」


ヴィル  「ジーニアスちゃん正解☆と言うより父親の君はどう思っているの?」


アナベラ父「私は止めませんよ」


アナベラ 「お父様!」


アナベラ父「生みの親の母親と同じ末路を取りたいと言うなら、私は止めないがね」


アナベラ 「…っ!」


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