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バレンタイン5

大慌てで護衛の為に追い掛けて駆け出して行ったコリンさんの背中を見詰め、コリンさん居たのかと思ったのは秘密。と言うか、兄さんまで「あ、良かったコリン居た。彼が居なかったら護衛にゴルボーンについて貰おうかと思っていた」ですって。



「あれ、今までオルブロンに護衛なんて居なかった筈だが?」



ニキ様が即気がついてディラン兄さんに質問をしている。


そう言えば変よね。今までなら一般市民と同じ様な格好をさせている時は特に護衛を付けたこと等無かったのに。



「それがねぇ…」



一つ溜息を付いて、兄さんは困惑した顔をし、



「不味いことにサイラス・リベラ・ポート様の娘、アナベラ様が『やらかしそう』だから警戒してくれって、サイラス様から連絡が来たのだよねぇ」


「やらかすって」



一体何を?


伯爵令嬢が?


うわ、ナニソレ。


驚いていると、ニキ様が「ああ、アイツか」と呟く。



「ニキ?」


「ほら、新年の時にフォーカス様とヴィル様アナベラ嬢で何やら言い合っていたろ?」


「そう言えば、そうかも…」



新年から幾日か経過し、記憶が薄っすらとしていてハッキリとは思い出せないけど、フォーカス様のお父様である何時もはニコニコしているヴィル様が、珍しくお怒りになっていたのは記憶している。



「あの時、フォーカス様は本来ならパーティー会場に来る気は無かったみたいなんだ。そもそもあの人は腹の探り合いをする貴族が大勢集まる席は苦手としているからな」



当人の希望でワザと貴族位から外れて市井に身を落としているものね、フォーカス様は。


お蔭で変わり者として『知っている』貴族達、特にフォーカス様の世代より上からは一見わかり難いけれど避けられている。



態度には出さないみたいだけど。


何せ王弟であり、公爵であるヴィル様の息子。兄弟は多いけれど、フォーカス様のお父様は勿論、上のご兄弟からも何だかんだ言って仲が良いらしい。


とは言っても、姿を見たことが無いから知らないけども。


フォーカス様のすぐ上のお兄さんなんて、高ランクの冒険者をして生計を立てている自由人だから尚更会えないけどね。



それはもとより。フォーカス様の容姿は王家に準じている家柄故か、人目を惹きやすい容姿のせいか。肉食系女子、もとい婚活に並々ならぬ力を注いでいる貴族の子女達にとっては、フォーカス様の本来の地位…王弟の息子等、王家から近い地位を得やすい地位の未婚男性等格好の獲物と言える。だからこそ『本来の地位』である貴族位に戻り、その空欄である『妻の座』を狙う肉食系女子は多い。


学園でも一部の女子達はコソコソと影に隠れて様子を伺って居るのを何度も見たコトがある程だ。ただ時折ハメを外した人が居るようだが、コッソリと粛清と言うか牽制されて居る。


学園の厨房(カフェテラス)でも何度か目にしたからね。


こわっ!


粛清、いや牽制?注意?しているのは何と、オルブロンとフォーカス様のことを応援している高位貴族達だ。普段温かい目で大人しく見守って居るので教師達も彼等のことは特に注意せず、見守ることにしているようで…と言うか、一緒に注意しているのだけど。


時折「オルブロンちゃん可愛いっ」と黄色い声…もとい、ドスがかかった低い声がするが、ロリコンじゃないことを祈ろう。


切に祈ろう。


ついでにその貴族男子に厨房で働いていた時に何度も眺められていたが、実害は無いから大丈夫だろう…多分。


本当にロリコンじゃないだろうな!?


この世界のロリコン前世で言う所の『ノータッチ』な『紳士』が居るかどうか分からないので不安なのだけど。いや、前世も人によって色々あるだろうけどさ。

ごにょごにょ。



学園では一部の生徒達からそんな状態でも、フォーカス様の事情を知っている貴族の子息達から『変わり者』『変人』等と影で言われていることを思い出し、思わず苦い顔をしてしまう。



「なら何故パーティー会場に来たの?」


「俺がヴィル様に後から聞いた話しだと、アナベラに強引に連れて来られたっていう事と、後はオルブロンだな」


「オルブロン?あの子が関係しているの?」


「ああ。アナベラはオルブロンを敵視しているから、いや、し始めたってコトかな?」



それはつまり、



「アナベラ嬢は、レナの妹であるオルブロンを排除したいと思っているってことだ」


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