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第5話 はじめての同盟

「おい、草原の王子、起きろ。


トルクは突然ビンタされて、目が覚めた。


トルク

「むむ、お前は赤の国の王子、フレアだったか。


短い赤毛、青い切れ長の瞳、青い丈の長いチュニックを着ている。

赤の国の王子フレアは冷徹で頭が良い。

すでに国政を握っているという噂もある。


フレア

「ラチェットはどこだ?


トルク

「ラチェットは賊からとりもどしたのだが、突然黒い霧のようなものがおそってきて

気がついたらこのザマだ。

くそ、いったい何が起こったんだ。


フレア

「ふむ-----。

ラチェットをかどわかしたのは、どんな奴らだ?


トルク

「若い身なりのいい男二人に---、そうだな。

山賊には見えなかった。

ラチェットも友人と呼んでいたしな。

確かグラインダーとかいう名前だったな。


フレア

「なるほど、これはかどわかしではなく、ラチェット自ら売春宿を抜け出したと考えて良さそうだな。

(グラインダー…どこかで聞いたような気がするが。)



トルク

「そ、そうか。

何故だ?


フレア

「知らぬわ!

僕は再三ラチェットを私の王国に誘っていたがまったく、来る様子は見られなかったのだ。


トルク

「我らはふられたということか?

一国の王子が4人して。


フレア

「ちっ、よりによってお前と同じ扱いとは。


トルク

「さっき会った時は別に私の事を嫌っているようではなかったぞ。

口付けても嫌がるそぶりは見せなかったしな。


フレア

「きさま----。


その時、部屋の隅の空気がうずまき、フードをかぶったマントの男が現れた。

フードの中でグレイの瞳がギラついている。

端正な顔立ちだがあまり食事を取っていないのか、頰はコケ目の下にクマができている。



「ラチェットは見つけたぞ。


フレア

「これは、魔導の国の王子レシプロス殿。

ラチェットの居場所がお分かりか?



レシプロス

「エルヴィア方面の街道沿いの宿場町にある、海とイルカ亭だ。


フレア

「さすが魔導師の情報網だな。


レシプロス

「ついてくるか?


トルク

「もちろんだ!


フレア

「まあ、行きますが、

しかし、おかしいとは思いませんか?

5国の王子が4人も一人のストリッパーに夢中になり、追いかけるとは。

そもそもラチェットの事をどうやって知ったのですか?


トルク

「確か王宮に貢物を持ってきた商人だ。

その商人がすごいストリッパーがいると言っていて、

私は興味を惹かれてラチェットの一夜を落札したんだ。


フレア

「ふん、僕もまったく同じだ。


レシプロス

「…同じだ。


トルク

「その商人は眼鏡をかけた長身の若い男だったが、今思えば初めて見るやつだった。


フレア

「あやしいな。


トルク

「そういえば、砂漠の王子はどこにいった?


レシプロス

「もう、宿に向かった。


フレア

「なんだって。あの変態王子がラチェットに何をするかわからん。

僕は知っている、あの王子に抱かれた後のラチェットを。

私はラチェットがデビューして5番目の客だった。


トルク

「ああ、私は3ばんめだな。


レシプロス

「…2番目。


フレア

「そしてあの砂漠の国の王子が4番目だ。

僕がラチェットを抱いたのは奴の後、一週間後だが。

ラチェットは傷だらけだったよ。

まるで獣に襲われたかのように。

一体あの華奢な身体に何をしたのか。

あいつは何をするかわかったものじゃない。


トルク

「許せん----。すぐに行こう!


レシプロス

「…」




レシプロスは魔導の道を開いた。

その空間に入ると、一瞬めまいのようなものが起こり

その直後にはすでにまったく違う場所に立っていた。


しかし、そこは-------


トルク

「うわっ!っんだ?


フレア

「嵐だ!


轟く雷鳴、叩きつけるような大雨が3人を襲った。


トルク

「家の中に出れなかったのか?レシプロス


レシプロスが殺気を出して睨みつけた。


フレア

「贅沢を言うなトルク、さっさとそこの宿屋に入るぞ。


3人はバタバタと小さな宿屋に突入した。




レシプロス

「む-----


フレア

「ラチェット!


宿屋の中は荒らされ、客は一人もいない。

さっきまで、食べていたであろう、シチューやらパン、肉の料理はそのままになっている。


そして、店の奥の方には-----

ラチェットとその前にラチェットを守って二ブラと傷だらけのグラインダーが剣を構えている。


彼らが相手をしているのは------


恐ろしい化け物だった。


頭は蟹、のようだが体は背の低い人だ。

人間の子供のの体の上に蟹がポンと乗っているような奇妙な生き物が、

なたのような武器を持って、二ブラとグラインダーに切りつけている。


そいつは1匹ではない、うじゃうじゃいる。


普段のグラインダーなら楽勝だろうが、

毒がまだ抜けきっていない、立っているのもやっとの状態だ。


トルク

「なんだあ?こいつらは


トルクは身体を震わせながら剣を抜いた。


フレア

「レシプロス、援護を頼む。


フレアも剣を構えて、蟹人間に突っ込んでいく。


レシプロスは後方から、閃光弾のようなものを手から投げつけている。


トルクもフレアも剣の腕前はすばらしく、大量にいた蟹人間も数分で全て切り刻んだ。


「おいおい、君たち、邪魔するんじゃない。


店の厨房の方から、パンをかじりながら男がのそりと現れた。


フレア

「やはりな、ブロワー王子。

錬金術で奇妙な化け物を作っているという噂は聞いていたが。


ブロワー王子

「せっかく、ラチェットを取り戻して我が王国に連れ帰るところだったのに。


ターバンを巻いた少し小柄な男だ。

黒い癖っ毛、浅黒い肌、太い眉、くっきりとした濃ゆい顔立ちだ。

砂漠で採れる白い布でつくったチュニック、ショートパンツを履いている。


トルク

「まったく趣味が悪すぎるぜ!


ブロワー

「どうせ君にはわからないよ、この美学は。

それより、どうするんだい?この山賊たちは。


フレア

「まったく、トルクもブロワーも何故気づかないんだ。

その男たちの剣の紋章、見覚えはないのか?


ブロワー王子

「そういえば、それは---


フレア王子

「そうですよ、こいつらはエルヴィアの騎士です!


トルク王子

「なにい!?

なんだってエルヴィアが


その時、部屋の隅でバタンと何かが倒れる音がした。


ラチェットだった。



つづく


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