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第4話 はじめての仮面

ラチェットは気絶してしまっていたが、ようやく目を覚ました。

心配そうに男が顔をのぞいている。


カラフルな革紐を頭に巻いている。

茶色のふわふわした髪が肩まであり、明るいグリーンの瞳、精悍な顔つき、

草原の民だ。


「大丈夫か?ラチェット。


ラチェット

「トルク様-------。


トルク

「荒っぽくなってしまったな。すまない。


トルクは大事そうにラチェットの頰に触れた。


ラチェット

「う-----。グラインダーさんは、弓矢で打たれた方は---。


トルク

「ん?お前をさらった賊か?

じじいは殺し、一人は逃してしまったが、毒矢でいた奴は外で口を割らせているところだ。

もっとも、もう毒が回って死んでいるかもしれないが。


ラチェット

「賊ではございません。私のゆ、友人です。どうか、どうか助けてください。

トルク様!


ラチェットは半狂乱に泣いてトルクの皮の服をひっぱった。


トルク

「ふむ------。

おい!その男を中に連れてこい!


こやの扉を開けて、草原の男達がグラインダーを引きずって床に転がした。

グラインダーは縛られていて、あまり呼吸をしていない。

殴られたんだろう、顔を腫れ上がり、口からは血を流している。

すでに毒が回っているようだ。


ラチェット

「グラインダーさん!


トルク

「おっと。


トルクはラチェットを羽交い締めにした。


トルク

「どういう関係だ?

お前、この男に惚れているのか?


ラチェット

「惚れて?ち、違います。

でも、でも、助けてあげてください!


トルク

「ふん、解毒薬を飲ませてもいいが。


トルクは何かを思いついたのか爽やかにニコッと笑った。


トルク

「ラチェット、お前が俺のものになるなら、この男に薬を飲ませよう。


ラチェット

「わ-----わかりました。

今すぐ、お薬を!グラインダーさんに。


その時グラインダーがノロノロと顔を上げた。


グラインダー

「だ----めだ。俺のことは、気にするな。


ラチェット

「グラインダーさん!


ラチェットは顔をぐしゃぐしゃにしてないている。


ラチェット

「トルク様のものになります。なんでもいたしますから、どうか!


グラインダー

「ちくしょう----、ラチェット、やめろ!


トルク

「ラチェット、キスをするんだ。


ラチェットはすごい勢いでトルクの首にしがみついてキスをした。


ラチェット

「トルク様!しました!早く!


その様子がおかしくてトルクは笑った。


トルク

「よし、飲ませろ。


部下はグラインダーの髪を持ち上げると小瓶の液体を何滴か口に入れた。


グラインダー

「くそ----。


トルク

「その男を外で離してやれ。


トルクは部下に目配せした。


トルク

「俺はしばらく、忙しい。


トルクはラチェットを抱き上げると寝室のベッドにゆっくりおろした。

そして、時間をかけて情熱的にキスをした。


トルク

「最初は最高級のストリッパーを見てみるだけのつもりだった。

そう、話の種に。

そもそも男なんて抱く気もなかったんだ。

だが、お前を一目見た途端、止まらなかった。

お前を抱いてからはもう、お前のことしか考えられなくなって、

どんな女も俺を満足させられない。

困ってるんだ。

ラチェット、お前が欲しくてたまらないんだ。


トルクはラチェットの首筋に口づけた。


トルク

「ん…ラチェット、草の香りがする。


ラチェット

「草の香りですか?


ラチェットは自分の髪をクンクン嗅いだ。


ラチェット

「これが草の香り…


ラチェットは嬉しそうに微笑んだ。


ラチェット

「そういえば、トルク様も草の香りしますよ。お会いする時はいつも。


そういうとラチェットはトルクの髪に指を絡めて、香りを嗅いでいる。


トルク

「私は草原の民だ。草原で生まれ草原とともに生きている。

私の国にはどこまでも緑の草原が広がっている。

まるで海みたいに。

きっと身体に染み付いてるんだろうな。草の香りが。


ラチェットは目を輝かせた。


ラチェット

「緑の海…ああ、見て見たい!

馬に乗って、風を受けてどこまでも。


トルクはもう耐えられぬとばかりにラチェットに覆いかぶさった。


その時、外で争う声と音が聞こえた。


トルク

「なんだ?


トルクは図早く自分の曲刀を抜いた。


寝室のドアが勢いよく開き、何者かがトルクに襲いかかった。

剣の音が響く。

トルクの相手は黒いマント、顔には黒鉄の仮面を被っている。

仮面からは金髪ストレートの長い髪がなびいている。


トルクも素早い見事な剣さばきだが、仮面の男の方が一枚上手のようだ。

仮面の男が曲刀を飛ばすと、柄でトルクの後頭部をなぐり、気絶させた。


仮面の男は軽々とラチェットを肩に担いで颯爽と小屋を出る。


外で待っていた黒い鎧の馬に乗り、すごい速さで走り出した。


仮面の男がラチェットの耳元で囁いた。


仮面の男

「ラチェット、心配ない。私がついているよ。


仮面の男はラチェットを片手でぎゅっと抱きしめた。


ラチェット

「あなた様はいったい----。


仮面の男

「いずれわかる。


真昼の太陽を浴びながら、二人は走り続ける。


しばらくなだらかな丘を登っていたが、急に視界が開けた。


ラチェットが感嘆の声を上げた。


丘の上には白やピンクの花が咲き、下界にはずっと緑が続いている。


仮面の男は馬を止め、ラチェットを下ろしてやった。


ラチェットはあまりの感動に涙して、声も出せずにいる。


仮面の男はラチェットの頭にポンと手を置いた。


仮面の男

「この景色をお前にも見せたかった。


ラチェット、お前はやさしい、とてもいい子だ。

いいか、自分にももっと優しくするのだぞ。


ラチェットはとても温かい何かを感じて、仮面の男を見つめた。


ラチェット

「あの----もしやあなた様は----


仮面の男

「また会おう。


仮面の男はラチェットの頭を撫でると、一人馬に乗り、丘を下っていった。


二ブラ

「ラチェット様、お怪我はありませんか?


それと入れ違いに二ブラの馬が登ってきた。


ラチェット

「二ブラさん!


ラチェットは転びそうになりながら走り、二ブラの胸に飛び込んだ。


二ブラは赤面しながらぎこちなく受け止めた。


二ブラ

「ご無事でよかった。

グラインダーも宿で手当をしています。

さあ、行きましょう。





つづく





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