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第1話 はじめてのお外

第1話


騎士団長

「本当にこんな所に亡き国王陛下のお子がいらっしゃるのですか?」


宰相

「これは信用できる情報だ。

国王陛下のお手がついたここの娼婦が子を宿したと報告を受けている。」


ここは歓楽街の一角にあるストリッパーと呼ばれる娼婦たちがいる宿。


支配人に通された個室には

派手なカバーのベッドが置かれているだけだったので、

若い宰相は仕方なくベッドに長い脚を組んで腰掛けている。


鋭い切れ長の目が丸メガネの中でイラついているのがわかる。

スラリとした長身で顔もいい、頭もいい、三拍子揃ったにくい男だ。

騎士団長はがっしりとした腕を組んで立ち、壁のポスターを眺めていた。


-----ラチェット、今期オークション開催決定!

伝説の一夜、100万ゴールドから参加可能----------


騎士団長

「ちょっと待て!豪邸が2軒買える金額じゃないか!

しかもここからスタートでいったいどこまでつりあがるんだ?


その時静かに扉が開き、

小柄な少女がひょっこり顔を出した。


2人の男はその美しさに息を飲み込んだ。


腰まである透き通るようなプラチナブランドの髪、

完璧に整った小さな顔、

海色のきらめく大きな瞳。


華奢な少女は部屋に体を滑り込ませ、静かに扉を閉めると

すっと宰相に近づき、膝の上に座った。


そして、宰相の首の後ろに腕を絡ませ優しく口づけた。

宰相の瞳が潤み顔が紅潮している。

息遣いも荒い。


騎士団長

「二ブラ!」


宰相は我に返って立ち上がった。


宰相

「これ、何をする!娘よ!

わしらはそういう客ではない!

ラチェットというお方に会いにきたのだ。


クールな二ブラが完全に動揺している。


反動で床に落ちた少女は痛そうに顔を上げた。


少女

「私がラチェットでございます。

これは---失礼をいたしました。てっきりお客様かと。


そういうと頰を赤らめて俯いた。


宰相

「なんと。

ラチェット様は男性と聞いていたが。女性であったとは。


ラチェット

「私は男でございますよ。


そういうとラチェットはドレスの胸元を開けた。


なめらかで真っ白な肌だが確かに膨らみはない。


騎士団長はくらりとした。


騎士団長グラインダー

「わかった。もう結構だ。服を着てくれ


少女のようなこの男娼には妙な色気がある。


二ブラも大きく深呼吸をした。

宰相

「私はエルヴィアの宰相二ブラと申します。

これは騎士団長のグラインダーでございます。


グラインダーは騎士の敬礼をした。


宰相

「ラチェット様、あなた様の母上はエルヴィア王の寵愛を受けておられた。

あなた様はエルヴィア王の正当な後継者でいらっしゃいます。


ラチェット

「え-----?わ、私がですか?


宰相

「どうか、我々と一緒にエルヴィアへ来ていただきたい!


ラチェット

「え----と、ですが、私はこのような卑しい者です。とても王など無理でございます。


グラインダーと二ブラは顔を見合わせて首をかしげた。


宰相

「今、エルヴィアはあなた様の兄上である王を失い内戦がおきようとしています。

内戦になると多くの民が住む場所を失い、命を落とすでしょう。

ここにいらっしゃった事は徹底的に秘密にいたします。

どうか、エルヴィアの民をお救いください。

ラチェット様


ラチェット

「そんな------。


ラチェットは口に手を当てると瞳から大粒の涙を流した。


騎士団長

「あの----ラチェット様?


(何故なく!?わけがわからん。)


その時、店の一階から大声が聞こえた。

何か騒いでいる。


グラインダー

「ちょっと見てくる。」


静かに吹き抜けのホールを除いた。


「ラチェットは私のものだ。手を引け!


「それはこっちのセリフだ。


「私も譲る気は無い。絶対にな。


「きさまら、よくも。ラチェットは私が連れて帰る。


どうやら4人の男がラチェットを取り合っているようだ。


後ろから二ブラの小声が聞こえた。


二ブラ

「これは驚いたな。

下で騒いでいる男たち、みんな王国の王子たちだ。

4つの王国それぞれのな。


グラインダー

「マジか-----。二ブラ---行こう



二ブラ

「ああ、急ごう。裏口だ。


ラチェットは瞳を潤ませて不安そうにしている。

グラインダーが肩を掴むとビクッと身体を震わせた。


「ラチェット様、今すぐ決めてくれ。

俺たちと来るか?

それともあの男たちの誰かに抱かれるか?


肩は本当に華奢で強く掴むと壊れそうだ。


二ブラ

「おい、時間がない。急げ!グラインダー


グラインダー

「こればっかりは自分で決めるんだ。

俺と一緒に行こう!


ラチェットの青い瞳が初めて真っ向からグラインダーを見た。


ラチェット

「は、はうひ---。いくます


(もう舌がもつれて喋れとらんなこのお人形さんは。)


グラインダーはヘタレて座り込んでいるラチェットを

枕を持ち上げるかのように軽々と横抱きすると

裏口の階段から猛スピードで飛び出た。


二ブラ

「裏の路地を抜けていくぞ。ラチェット様を落とすなよ。


グラインダー

「ああ、何があろうと守るさ。騎士団長に二言はない。

このちっこくて可愛い王様は俺たちの希望だもんな。


走りながら、グラインダーはラチェットににっこり笑った。


ラチェットは顔を真っ赤にしてグラインダーにしがみついた。



つづく










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