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7

 胡散臭そうな男だな、というのが婚約者だという男を見た祐介の第一印象だった。

 その男は、アルバートを見ると駆け寄ってきた。

「カーライル!どうしてこんなところに?」

「やあ、マホニー。大変な目にあったね」

 ああ、と男は掌で顔を覆い、天を仰いだ。

「悪夢だよ。まさかメアリーが……私のせいだ」

「……そんなことはあるまい」

「いや、あの時メアリーを無理やりにでも引き留めておけば良かったんだ」

「……」

「ところでカーライル。そこの御仁はどなたかな?」

 男の目線が祐介に向けられる。

「彼は、里見祐介、東洋からの留学生だよ。ユウスケ、彼はアレン・マホニー、僕の友人だよ」

「里見祐介です」

「アレン・マホニーだ。そうか、君がカーライルが熱心に支援している東洋人か」

「……」

 どうやら貴族の中でも噂の種になってしまっているらしい。

 祐介はアルバートを睨んだが、アルバートは素知らぬ顔でアレンを見ている。

「まあ、彼は僕の助手だから気にしないでくれたまえ」

「助手?」

「僕がこの事件を解決してみせようと思ってね」

「君が!?」

 アレンの顔が驚きに染まる。

 そして不自然な程狼狽え始めた。

「わ、わざわざそんなことしなくても良いじゃないか」

「何か不満なことでもあるのかい?」

「い、いや、そんなことはないが」

 アレンは考えこんでいるようだったが、大きな声を出すのが憚られるのか、ぐっと低い声で言った。

「この事件は吸血鬼が関わっているような気がするんだ」

「吸血鬼?」

「ああ」

 アレンは神妙に頷く。

「そうとしか考えられないだろう。メアリーが……あんなに傷つけられて」

 アレンは俯いてそう答える。どうやら本気でそう思っているようだった。

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