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『オズ』  作者: ずんずん
1/3

1. エデンとオズ

 今日から夏休みだ。

夏休みがこんなに楽しみだったのはいつぶりだろう。


やっと、あのゲームを始めることができる。。

VRゲームなんて、もう出そろったと思っていた。

まさか高校二年にもなってこんなにゲームが楽しみだなんて思っていなかった。

ゲームの中では誰も傷つかない。


使い古した黒いヘッドギア・「トゥモロー2」を頭に装着する。

いつもは学校に行くために使うヘッドギア。

でも、今日は違う。

そう、ついに「オズ」を始める日が来たのだ!


そんなことを考えながら「トゥモロー2」を起動させる。

昨日の段階でもう起動すれば自動的にゲームが始まるように設定してある。


真っ白な画面にいつもの文字が現れる。




HELLO! AKIRA!


Lets Enjoy "Oz World"!!


ゲーム「オズ」を起動・・・・・・


チュートリアルを開始します・・・・・





こうして僕の夏休みが幕を開けた。


◆◆◆◆◆

21世紀後半、人類はついに「VR技術」を手に入れた。


当初、それはゲームの世界に実用化された。日本のゲーム会社「酒呑童子」がヘッドギア型のVRゲームを開発したことに端を発し、世界中のゲーム会社が我先にと「VRゲーム」というジャンルに進出した。

早い段階からVR技術に目をつけていた、米巨大資本「ゼネラルロボティクス(GR)社」のゲーム部門もその例にもれず、VRゲームに進出、技術力でどうしても「酒呑童子」に勝てなかったが、最終的に「酒呑童子」の技術開発部長、小津 勉を引き抜き、コアテクノロジーを奪うことでこのVRゲーム業界の頂点に立つことになる。彼らの開発したヘッドギア「トゥモロー」とVR空間「エデン」は瞬く間に世界に広がっていったのだ。


 ゼネラルロボティクス社はその勢いのままにVR技術を当時すでに利用されていた医療などの分野にとどまらず、教育、オフィス環境などの事業へと拡大。

現在では日本でも有名大学や有名高校は「エデン校舎」を持ち、大企業の多くは「エデンオフィス」を導入している。

居住地域などに関係なく学校や会社に通うことができるVR環境は人々の生活を大きく変えようとしていた。

都市部の人口集中や環境汚染問題を、都市そのものの働きをVR空間に移してしまうことで解決できるのではと、世界中がVR技術にひいてはエデンに注目を集めていた。


2092年に「酒呑童子」から引き抜いた技術開発室室長の小津が交通事故で無くなり、ゲーム部門の売り上げは低迷することとなったが、そんなものは主幹業界をピボットした彼らにとって焼け石に水だった。

この間、GR社は「トゥモロー ver.3」を発売、VRハード機シェアを97%まで押し上げ、世界中がVR空間「エデン」を利用し、つながる、そんな世界になってしまった。

今や「VR」という言葉は「エデン」と同義とまで言える。



 そんな中、新世紀の幕開けを告げる2100年1月1日。

のちに「オズのお年玉」と言われる事件が、このVR空間「エデン」で起こった。

22世紀記念セレモニーで、突然「エデン」の上空に巨大な球体が9つ出現したのだ。

その場にいた「GR社」の会長、ルーカス・トーレスを含め、誰もが予想だにしないことだった。


そしてセレモニーのスクリーンをジャックし、今や世界中でもっとも有名な日本人、エデンの根幹システムの開発者である、小津直樹の顔が映し出され、

「エデン」上空に浮かぶ九つの球体を舞台にしたゲームを一年後の2101年1月1日にリリースすることを発表したのだ。


「オズ」と呼ばれるそのゲームの特徴は2つ。

一つ目は、オズはゲームなので当然「死」が存在し、オズ内で死んでしまうとエデン内でのアカウントを失効してしまうこと。

二つ目は、ゲーム内で一定の条件を満たすと、「エデン」の通貨「マール」が手に入ること。




この特徴は世界中の人々を驚愕させることとなる。


一つ目に関して

エデンのアカウントはオフィスや学校が存在することもあり、厳正に管理されたものになっており、

一人の人間につき一つしか作ることができない。

(唯一、未成年(18歳以下)に関してのみ一度だけ作り直すことが可能となっているが。)

これからの時代、エデンに接続できないということは社会から隔離されてしまうことを現す。

つまりオズで死んでしまうと社会的に死んでしまうことと同義となってしまうのだ。


二つ目に関して

エデン内で世界中がつながっている現在、「マール」は実質、世界共通通貨となりつつある。自然災害などや各国情勢の影響を受けにくいという点でいまや世界で最も信用できる通貨となっている。

国連ではマールにより世界経済の真なる統一を図るべきという案まで出てきているのが現状だ。

それが、ゲームをやることで手に入る。

それは、とても魅力的なことだった。


 世界はこの発表の後、大混乱に包まれることとなる。

多くの企業は、社員がエデンにアクセスできなくなるリスクを考え、「オズ禁止令」を社内に告げることとなる。

エデン内に校舎のある学校も「オズ禁止」はほぼほぼ共通認識となっていた。


☆☆☆


 今は2103年の8月1日。そう、「オズ」が公開されて二年と半年が経過した。

 最初の混乱が過ぎると、オズは大きく二つのタイプのプレーヤーが参加するゲームとなった。

一つは、低レベルエリア(第一星等)で死の危険にさらされることなく、エデンの近未来的なビジュアルとは異なる大自然の景色などを楽しんだり、小さなモンスターを倒し、小銭を稼ぐグループ。

もう一つは、ゴリゴリのエデン攻略を目指すグループだ。この中には個人で趣味でやっている人もいれば、スポンサーの援助を受けたプロのハンターたちがいる。彼らはVR人生をかけて、お金を稼いだり、ゲームの攻略を心から目指しているのだ。

22世紀のこの文明社会において、旧時代の職業「ハンター」がこのような形で復活したのは皮肉なことである。

彼らはスポンサー単位や知り合い同士など様々な「ギルド」を構成し、時に反発し、時に協力しながらゲームを進めていった。

中には「ランカー」と呼ばれるエデンの全参加者に名の知られる有名なハンターもいる。

ランカーはオズの出現とともに突然エデンの中央に現れた電光掲示板に表示されているプレーヤーたちのことだ。

彼らはそれぞれが何らかの条件を満たし、彼らにしかないユニークスキルを駆使する。

これはうわさでしかないが、ゲームクリアが可能なのはそのユニークスキルを持つものだけで、クリアしたものはオズだけでなくエデンの管理者権限の一部を与えられると言われている。

まあ、信ぴょう性のない噂だが、GR社が躍起になって否定していることが逆に怪しいのも事実だ。


また、もう一つの特徴として、ハンターには未成年が一定数いる。

これは、未成年だけがアカウント再発行の権限を持っているからだ。学校の監視の目を潜り抜け、または学校の許可をもらい、オズの世界に僕らは繰り出していくのだ。


 この僕、櫻井明もこのたび、夏休みにようやく頑固で恐ろしい父さんの許可を得て、オズの世界に足を踏み入れることとなる。

僕の通っている「私立綾南高校」は高校二年の夏休みのみ、「最後の夏休み」だと言って、一度死ぬまでのオズ参加を認めた日本では数少ない高校だ。

僕は高岡 博人ら数人のクラスメートとともに、今日、8月1日午後14時から、「初ログイン」を果たそう、と約束していたのである。

友人、じゃなくてクラスメート、なのは、僕がクラスに友達がいないからである。

今回もクラスの中でログインするといったのが、高岡らと僕だけだったから、「せっかくだから」と高岡がグループに入れてくれただけである。


「ランカーの人たちに会えるかな?」

「バカ!あの人たちはハイレベルゾーンの攻略をしてるんだ。そこらをうろついてるわけないだろ!」

なんていいあっているのを聞きながら、みんなが集まる場所の相談をしているのを聞く。


「『死にチュー』だからってビビるんじゃないぞ!『逃げの明』!」


メンバーの中でも僕が参加するのに嫌な顔をしていた古賀直人が言ってくる。「逃げの明」とは僕のことだ。

みんなが軽く笑う。

落ち着け。切れるな、僕。

やっと見つけた「居場所」なのかもしれないので僕は黙ってへらへら笑っておく。


「おい」

高岡がいさめようとしてくれる。高岡は本当に優しい人だ。

彼がいなかったら誘われるどころか、お前はやるな、とまで言われたかもしれない。


「ちぇ、たかに感謝しろよな!」


古賀はそういって僕を小突こうとして、システム姿勢を自動で戻されてしまう。

エデン内で他人を傷つけようとする行為は自動的にキャンセルされるのだ。

姿勢の自動修正を反動にして古賀は教室から去っていった。


「逃げの明」

「しにちゅー」

新しい言葉が二つ出てきた。

前のは面倒だからまた今度説明する。

逃げるんじゃあない。面倒なだけだ。


オズには「しにちゅー」と言われる名物チュートリアルがある。


チュートリアルは3つの段階があり

1 戦闘とスキル、レベルアップ

2 アイテムと装備

3 戦闘と死亡

に分かれる。

1と2は普通のチュートリアルと何ら変わらず、弱いモンスターを誘導に従って、スキルを用い倒し、レベルアップミュージックが流れる。これで戦闘方法とスキルの用い方、レベルアップについて学ぶ。

次のフェーズで戦闘で消費した体力と、モンスターを倒し手に入れた新装備を装備するコマンドを学ぶのだ。

そして最後。フェーズ3.

チュートリアルの最後に、強力なモンスターが出現、文字どおり、一撃でやられてしまう。

それにより「GAME OVER」という文字が出てき、VR空間でアバターが破壊される感覚を学ぶのだ。


オズが、死んだらVR世界のアカウントを失効してしまうリスキーなゲームだからなのかも知らないが変なチュートリアルである。

リリース直後は実際に死んだと勘違いした人もいるぐらい、VR空間での死はチュートリアルでさえ、リアルであるといわれている。

まあ、まだやったことないからわからないんだけどね!


さて、もう13時58分だ。そろそろヘッドギアを装着し、準備するとしよう。


HELLO! AKIRA!


Lets Enjoy "Oz World"!!


ゲーム「オズ」を起動・・・・・・


チュートリアルを開始します・・・・・


こうして僕の夏休みが始まった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 はじめまして。ずんずんと申します。四月から社会人になります、学生(?)です。

この境目の期間はなんと名乗ればいいのか難しいですね。


まず、

この小説をクリックしていただき、

また、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。


先達の皆様がお書きになられたVR世界を舞台にした小説を踏襲しながら、自分らしさを出していけたらなと思っています。


何分、小説を書くのがはじめてなもので、表現や知識などのおかしい部分、決まりを破ってしまっている部分等あると思います。

なので

ご感想やご指摘をいただけると大変うれしく思います。



ちなみに

◆◆◆

↑このマークから、地の文章が主人公・明目線じゃなく、他人や、ナレーションになります。


四月から仕事がどうなるかわからないので、なるべく3月中に書き溜めして頑張っていきますので、よろしくお願いします。


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