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14-2 集団の力と、その盲点

14,2・集団の力と、その盲点


 しのんに求心力があるというわけではない。

 だが、人間と言うものは、その場の空気や流れというものに感化されてしまうものなのだ。

 この生放送を見ていた人々の中で、感化されやすい者たちが幾人も、しのんに同調した。

 内容は単純。

 綿貫という作家に対して抗議デモを行おうと言うのだ、

 不買運動をしよう、出版社に抗議しよう、じきに放送される彼原作の番組を見ないようにしよう、テレビ局へ抗議しよう。

 電話でクレームを入れよう、メールでクレームを入れよう、直接彼の家まで行って抗議しよう。

 流れが大きくなっていく。

 一種の祭りのようになったこの流れは、綿貫という作家を社会的に排除する方向へ向かう。

 じわじわと、彼の環境を侵すべく、集団の力、自己満足的な善意が暴走を始める……そのはずであった。


 集団という力に抗う術は、個人には乏しい。

 人は集団を作れば、その力に染められてある種の全能感を抱く。

 声を張り上げ、糾弾し、訴え、一体感を抱く。

 そうやって、本来サイレントマジョリティであった人々は、集団の力を使ってノイジィマジョリティへと変わる。

 何者も侵す事ができない、民衆の権利。

 圧倒的な力。


 ただ、時折人は忘れる。

 その力が根ざすのは社会性である。

 社会からの排除、社会からの弾圧によって、異分子を排除する。

 では、その異分子が社会よりも強い場合はどうなるのだろう。

 彼らの敗因は、何者を相手にしていたのかを知らなさ過ぎた事である。


 綿貫真崎による集団への蹂躙が始まる。

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