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第九話 百鬼夜行 前編  ☆




「先生! いつもどってたんですか!?」



 いつも通りに訓練場ですったもんだをしていた圭介と咲良、とそれを見学するアサギのところに、一ヶ月ぶりに片平が顔を見せた。

 片平はよれよれで汚れている作業服から異臭を漂わせており、流石の咲良も近寄っては行かなかった。ただ、顔の笑顔は崩さなかったが。



「ついさっきだよ。学園長と上役たちに報告をしてきたところだ。なんだかんだ言って、ちゃんと面倒見ててくれたんだな。それにどうやら『例の技』も教えるほど入れこむなんて」


「べ、別にそういうわけじゃ……! でも、そうでもしないと圭介は……戦力にならなさそうだから仕方なく教えたまでです」


「そうか。圭介君。随分放っておいてすまなかったね」


「いえ、大丈夫です」


「そう言ってもらえると気が楽になる。さて戻ってすぐで悪いんだが、片平教室に仕事が入った。これから十二時間後の二十二時にブリーフィング室に集まってくれ。え、と、アサギ君は……ああ、二階にいたか。遅れずに集まってくれ」



 臭いがキツイからお先に失礼、と言い残して去っていく背を見送りながら、ついに来た行動の時に圭介の心は熱く燃え上がった。

 圭介の気持ちを察したのか、傍らに咲良が寄って立つ。背をポンポンと叩きながら、



「落ち着きなさい。熱くなったら出来ることもできなくなるわ。感情に振り回されちゃあだめよ」



 忠告のつもりなのだろうが、そんな事は圭介にもわかっていた。彼女から教わった技は全てを支配していなければならない。それは感情も例外ではなかった。つまり、この揺れ動く激情に突き動かされてしまっては、折角身につけた対超能力者の戦闘術が意味をなさなくなってしまうと、そう言いたいのだろう。

 二人が揃って立つと、体格差が目立ってしまう。しかしこの小柄な女性は、隣に立つ圭介の師匠だ。咲良の弱点は圭介の弱点であり、圭介の利点は咲良の利点でもある。このアドバイスは精確だった。



「わかっている。……でもありがとう」


「戦いにおいて焦ったら負けよ。それは忘れないでね」



 咲良は上で見ているアサギに声をかけて、一緒に訓練場を出て行った。一時間後に圭介の用意を手伝って貰う約束をして、一旦解散となった。

 一応圭介も部屋に戻っては見たが、初めての作戦のため何を用意したらいいかわからなかった。大人しく咲良たちを待つことに決めて、今のうちに自分の心と向き合ってみようとした。

 早く二人を助け出したいという焦りの心がどうしても抑えられなかった。この一ヶ月、咲良の教えた武芸に打ち込むことでその焦りを一時的に忘れることは出来たが、作戦を前にしてその焦りが急激に膨れ上がってきたのだ。



(一ヶ月、一ヶ月もだ。あの連中は二人を欲しがっていたようだが、何をするかわかったもんじゃない。学園長の勅使河原は無事だと言っていたが、そんな保証なんてどこにもありやしない。早く、はやく……! いや、落ち着け。注意されたばっかりだろ)



 落ち着かせるために行ったものだったが、逆効果だったようだ。焦りを自覚すればするほど、居ても立ってもいられなくなる。

 煮え切らない想いの中、圭介はふと思った。この武芸を創った咲良も、今の自分のように感情を抑えきれなかったことがあったんだろうか、と。それとも最初から制御出来ていたのか。アドバイスが出来るということはやっぱり?

 師である咲良の事を考えていると、部屋のドアがノックされた。時間を確認すると既に一時間も経っていた。それほど長く考えていたのかと驚きながら、訪れた咲良とアサギを迎え入れた。



「ふ~ん。男の部屋の割に綺麗に片付いてるのね、以外だわ。まあ見たことはないけど」


「ここの物はほとんど触ってないから綺麗なんだよ。着替えだって必要かどうかだし」


「そうなの? でもベッドだって整えられてるけど……まさか寝てないの?」


「寝て、はいるけどベッドは使ってない。意味ないし」


「もったいないわね。こんなに立派なのに」



 部屋に入るなり、いきなり人の部屋を物色し始める咲良。男の部屋が珍しいのか、あちこち見て回っているが、あまりに生活臭がしないためすぐに飽きてしまった。

 咲良が部屋を見ている間、ついてきたアサギは部屋の隅で縮こまっていた。なんか可哀想だったので、適当に座ってくつろいでくれと言ったら、「い、いえ。大丈夫です……」と、拒否されてしまった。いつもの本を胸に抱いて、未だに隅のほうで固まっている。



(遠慮されて緊張されるより、咲良くらいうるさい方が気を使わなくていいんだけど)



 既に咲良は、シワひとつなかったベッドに腰を降ろしてくつろいでいる。



「それで、俺はなにを準備すればいいんだ?」


「ああそうだったそうだった。支給された戦闘服と、仕込み武器の点検、止血剤と痛み止めの確認かな。戦闘服は多分クローゼットに入ってると思うんだけど。アサギ、ちょっと見てくれる?」


「う、うん」



 クローゼットの前にいたアサギが扉を開き、中に備え付けられたタンスを開けていく。男の部屋の衣類をあさるという大胆なことを、無頓着に行っていく様子に止めるべきか迷ったが、また変に萎縮されては面倒だと思いやめておいた。変なところで図々しいというか、大胆というか。最初に恥ずかしがり屋と聞いていたのだが、最近はその認識が薄れつつある。

 アサギはタンスの中から黒い塊を引っ張りあげた。そしてそれを圭介に見えるように広げる。

 生地が分厚く、何かを編みこんでいるのかずっしりと思い。硬くゴワゴワしているのは、おろしたての柔道着のような頑丈さを思い起こさせた。



「これは私たちの基本装備よ。耐刃、耐弾、耐衝撃、耐熱に優れているの。軽いキズ程度なら血に反応してキュッと抑えてくれるから、止血も出来るわ。慣れないと一人でつけるのも大変だから、今私たちが手伝ってあげるね」


「えっ!?」


「え、じゃないわよ。何のために来たと思ってるのよ。アサギだって手伝いに来たのに」


「だけど……」


「なーに恥ずかしがってんのよ。機械の体なんだし、恥ずかしくなんかないわ。とっとと着てるのを脱ぐ!」



 恥ずかしさで戸惑っていると、あれよあれよという間にどんどん服を剥かれていってしまった。流石に局部は付いていないが、人間の肉体を再現するために『それなり』までには再現している。言うならば『臀部』とか。

 衣服を全部脱がしたままの形で固まる女の子二人。みるみるうちに赤くなっていく。



「あ、ちょ、これは……その、え? ここまで、え?」


「わたしはみてないですわたしはみてないですわたしはみてないですわたしは」



 圭介もまさこんな事になるとは思っておらず、職人気質の完璧主義者の祖父を、この時ばかりは恨んでしまった。

 その後、ギクシャクとした空気の中で圭介の戦闘服の装着が行われていった。終始目のやり場に困っている二人の様子に、本当に申し訳ない気持ちになっていく。

 緊張と羞恥に包まれた着替えは、ゆっくりとした時間のまま進んでいった。

 そして最後のベルトを締め終えると、ようやく着替えが完了する。



「あんまり感覚はないんだけど、いろいろな場所を締め付けるんだな。なんか引き締まった気がする」



 体にピッタリフィットするように工夫が加えられており、装着者の動きを阻害しないようになっている。体のあちこちをベルトやら何やらで締め付けていて、ちょっとした拘束具のようだ。



「体が大きいからそれ着てると威圧感が凄まじいわね。あ、あとその服あちこちに『隠し』があって、そこに武器を隠せるようになってるんだけど……いらないかな」


「多分とっさに使えないと思う」


「だよね。訓練ばっかりで、こういうのはちゃんと教えてなかったし」



 アハハと笑って誤魔化す咲良の横で、アサギは保冷庫を開けてなにやらこそこそしている。



「あー、と。アサギ……さん? あの、なにしてるんですか?」



 流石に気になった圭介は、なるべく威圧しないように目一杯優しく聞こえるように声をかける。

 その努力もむなしく、激しく飛び上がり早足で隅へ逃げていってしまった。床にはポーチと、なにやら液体の入った細いガラス状の筒が、入れかけのまま放置されている。



「これは……?」


「あ、それね。アサギにお願いして準備してもらってたの。それが止血剤と痛み止めよ。あなたには必要ないかもしれないけど、何が起こるかわからないもの。準備して損はないからね」



 咲良はアサギが準備した残りを手早くポーチに詰めていく。

 使い方は単純だ。筒の数だけ針があり、銃のような固定器に針と筒を合体させ、後は患部の近くに当てて引き金を引くだけだ。



「これは『ガン・シリンジ』といって、銃型の注射器ね。素人でもすぐに使えるように簡略化されたものよ。だから針も短くなってて使いやすいの。覚えておいてね。必ずしも自分に使うわけじゃないから」


「それって、つまり」


「あなたが仲間の生命を救うかもしれないってこと。注射するのは痛み止め。こっちの小瓶は粉末状の止血剤よ」



 ポーチから取り出して、小指ほどの大きさの黄色い小瓶を目の前で降ってみせる。これも幾つか中に入っているようだ。

 圭介が確認し終えると、咲良が圭介の腰にポーチを装着させる。あとは圭介が取りやすい位置に微調整して終わりだ。



「ふう。これで終わりね。じゃあ私たちは自分たちの着替えがあるから戻るわね。集合一時間前になったらまた迎えに来るから」


「ああ。咲良もアサギさんもありがとう」



 咲良は最後ににっこり笑うとアサギを連れて部屋に戻っていった。

 残されたのは一人戦闘準備を終えた圭介のみ。

 ブリーフィングまではまだ数時間ある。その間どうしてようか。



(余計なことを考えるな。……そうだ、武芸のイメージトレーニングをしておこう。どんなシチュエーションでも慌てず練習通りに動けるように)



 結局イメージトレーニングに熱が入り、数時間は瞬く間に過ぎていった。

 妄想の中でホワイトに二十七連コンボを叩き込んだところで、戦闘準備を終えた咲良とアサギが再び圭介の部屋に訪れた。

 二人の戦闘服には所々ほつれがあり、修繕されているのが分かった。つまり、それだけ戦いを経験しているということだ。



「ブリーフィング室はこっちよ。案内するわ」



 戦闘服を着て気持ちも引き締まったのか、いつもよりも三割増しでキビキビしている咲良が先頭を歩いてく。

 この服を着ていると、あの大人しいアサギでさえ頼もしく見えてしまう。いや、実際に普段のアサギの様子とはまるで違った。オドオドとした様子もなく、伏し目がちな顔は今はまっすぐ前を見ている。力強さと英気に溢れているのだ。これが彼女の覚悟した本当の姿というのだろうか。咲良が見た目で判断するなというのはこの事だったのかと、圭介は心中驚いてた。










 ブリーフィング室は地下一階にある。地下へ行くには階段とエレベーターがあるのだが、重量オーバーが怖いというのと、圧迫感があるという事で少し遠回りになるが階段で降りて行くことになった。

 ブリーフィング室の前。両開きの扉と、上にあるネームプレートが仰々しく三人を迎える。咲良が左側の扉をそっと開けて中の様子を伺った。



「まだ誰も来てないわね」



 中に入ると、U字型に広がるテーブルに肘掛け椅子、正面には巨大なモニターが備え付けてあった。

 圭介が見た印象としては、ドラマで見るような重役たちが集う会議室のようだった。

 咲良はアサギと一緒に最前列に陣取った。「広い場所だけど、集まる人数は少ないからいつも前の方でやるのよ」とのことで、手招きする咲良につられて、圭介も最前列のイスに腰を落とした。



「だいたい十五分前にはみんな集まるのよ。私はもっと遅くてもいいと思うんだけど、なんか早く来ちゃうのよね。先生は時間ピッタリにくるけど」


「メンバーって後二人いるんだよな。確か八木さんって人と森さんって人」


「八木健太さんと森ゆすらさん。二人共年上で頼りになるわよ。八木さんは真面目だけどマイペースな人で、アサギとも仲がいいの。森さんもマイペースなんだけど、どこかズレてるっていうか。黙っていればクールビューティーって言えるんだけどね。でも頭がよくて教室一の切れ者よ。能力もピカ一で凄いんだから」



 何故か咲良が自慢げにしてみせる。

 八木と森。二人は圭介がここに来た時から既に別の任務に付いていた。片平もすぐに二人の支援に赴き、一ヶ月目の今日まで外で活動していた。恐らくその任務がらみで進展があったから、直轄である片平教室が集められたのだろう。ただ推測は推測だ。超能力絡みの事件全般に対応しているから、あの秘密結社のものであるとは限らない。

 一人で悶々と考え込んでいると、時刻より少し早く片平がブリーフィング室へ現れた。背後に見知らぬ男と女を引き連れている。恐らくあれが八木健太と森ゆすらだろう。

 片平の右隣に立つ男は、片平よりも長身だが痩せぎすで、長身ゆえに細さが目立っていた。ただ鍛えられていないわけではないらしく、その佇まいは無駄を削ぎ落した鉄塊のようだ。目の下にくまができていて、あくびを必死に噛み殺している。

 男の反対側に立つ女は、ショートカットにした髪を金に染めており、八木と違って眠そうなのを隠していない。咲良が評した「黙っていればクールビューティー」というのも頷ける豊満な肢体が目を引くが、それと同じくらい表情はだらしなく緩んでいる。

 圭介が二人に抱いた印象は概ねそんなものだった。



「さて、ブリーフィングを始める前に、新しい仲間と簡単に引きあわせておこうか。健太、ゆすら君、彼が新しく教室に加わったメンバーの堂島圭介君だ」



 名前を呼ばれた圭介はその場に立ち上がり、二人に向かって頭を下げる。



「圭介君、こっちの男が八木健太。こっちが森ゆすら君だ。これから一緒に任務に就く事になる仲間だ。仲良くしてくれ」



 片平の両脇に立つ二人がそれぞれ歩み出て礼を返した。



「時間もないから簡単に自己紹介させて貰うっす。自分は八木健太二十六歳。能力は『雷撃』っす。よろしく圭介くん」



 八木は人懐っこい笑みで圭介の手をとって握手する。

 続いて森ゆすらが圭介の前に来て、優しく包み込むような握手を交わす。



「森ゆすら。歳は言わないよ。能力は『切断』。よろしくね」



 何がとは言わないが、近くで見ると迫力が凄かった。森自身はフワフワとした雰囲気を持っており、なんともつかみどころがない。



「堂島圭介です。超能力者ではありませんが、学園の好意で身を置かせていただいてます。よろしくお願いします」



 三人の軽い挨拶が終わったのを見て、早速片平が話を切り出した。

 手に持っていた資料を全員分配り終えると、暗がりの中モニターに何処かの病院が映し出された。周囲が木々に囲まれており、遠くには山が見える。敷地内には雑草が生い茂り、壁にはワダチが張っている。



「まず作戦の概要を伝える。この旧シラカバ精神病院に存在する、全ての抵抗勢力の無力化及びこの病院の制圧が、今回の我々の任務だ」

 

「いつも通りっすね」


「野蛮だよね」



 八木と森が茶化す。片平はそれを無視して説明を続けた。



「この病院は現在秘密結社『七支聖奠』の秘密プラントとして活動しているとの情報を掴んだ。既に閉鎖されて久しいが、諜報班の情報によると人が出入りした痕跡が発見されている」


「その秘密プラントとはなんのプラントなんですか?」



 咲良が腕を伸ばして発言する。片平が手元のコンソールを操作していくと、別の画像がモニターに表示された。

 赤黒く、腐敗した肉塊が画面いっぱいに表示された。思わず目を背けたくなるような気持ち悪さがあり、非常に生々しい。気丈な咲良も顔を背けている。



「これは健太とゆすら君がこの一ヶ月追っていた、秘密結社の痕跡を辿ってようやく得たものだ。この写真は地下施設に打ち捨てられていた遺体を撮ったものだ。この遺体は他のものと比べて体積が多く、骨も巨大で骨密度も通常の倍あることが分かった」



 画像がより近くのものに変わった。恐らく頭部とみられる部分だろうか。落ち窪んだ眼や鼻、口があるのがわずかに分かる。肉の崩れ方が激しく曖昧にしか分からなかったが、その頭部の写真に違和感があることに気がついた。額に妙な盛り上がりがあったのだ。最初は崩れた肉が重なったものかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。



「この額の部分の盛り上がりを見て欲しい。これは角だ。額から鬼のように突き出ている角がある」



 そう言ってまた画像が変わる。頭部から肉を除去した画像が映し出されると、そこには頭部から鋭く生える角があった。



「諜報班の協力の下、残されたデータを掬い出した所、ここでの研究結果と成果を別の所に転送している事が分かった。それがこの旧シラカバ精神病院」



 最初に映しだされた写真に戻る。

 まさかこの緑に囲まれた場所で、さっきのような凄惨な実験が行われているとは予想できなかった。荒れ果てているが、周りの環境のせいか穏やかにさえ思えてきたのだ。



「恐らくこれは巧妙な偽装だろう。超能力者を多数獲得している奴らのことだ、そういった事が得意な者も居るかもしれない。それにだ」



 モニターが消され、再び薄暗い空間に戻った。

 片平は言葉を区切ると全員を見回した。その目からは何も読み取れず、圭介は思わずゾクリと怖気を振るった。

 ひと通り見回すと、静かにそして言い含めるように警告した。



「罠の可能性も十分にある。今まで足取りがほとんど掴めなかったところに、これ程重要な情報が得られるなんて都合が良すぎる。しかし我々はそれでも行かなければならない。恐らく激しい抵抗に合うか、もしくはもっと不可解な事に遭遇するかもしれない。気を引き締めて任務にあたってくれ」



 概要説明が終わると、次にメンバーの組み合わせが行われた。二組に分けて強襲するというのだ。

 組み合わせは次の通りだ。森率いる圭介、アサギのグループ。咲良率いる八木のグループだ。



「それぞれがお互いをフォローし合うように。足並みを乱すなよ。この小型の無線機を渡しておく。常にオープンにしておくように。圭介は無線は使えるか?」


「その機能もあります。チャンネルは?」


「一八八.九一だ。ではすぐに出発する」



 ブリーフィンがあっという間に終わった。

 地下格納庫にある輸送車に乗り込むと、車はすぐに出発した。車は外見はバスのように偽装されており、内側は防弾装甲で包まれている。内装はある程度リラックスできるように作られているのか、意外と装飾が凝っていた。ソファやテーブルが置かれており、ドリンクホルダーなどもある。バスに偽装した装甲キャンピングカーといったところか。

 ただ情報コンソールや医療パックなどもあり、ある程度支援出来るようになっているようだ。片平はここで全員に指示を出し、全体を把握するのだという。



(映画とかだと武器とか入ってることが多いけど、超能力があるからいらないのか。その分内装に凝ったと)



 車の中と任務のギャップに戸惑うが、もう一度資料に目を通しておくことで落ち着きを取り戻そうとした。初めての任務だし、下準備に過ぎることはないだろう。

 各々が精神を統一していく中、車はどんどん目的地に近づいていく。




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