革命のヒント
「分かった?」
「ああ、ノーデットナイトメアは死なないって事だろ!」
キシルはもう叫びとも取れる声を上げた。
「ん? 違う違う」
「え?」
「ノーデットナイトメアはコアを抜いたら死ぬって事!」
「そりゃ、そうだが…」
「だから…私が抜けば……」
何かを言いかけて、ユナはその場に倒れた。
「ユナ?」
一応、念のためにキシルが話しかけたが、やはり何も返ってこなかった。
「ったく、さっきのはなんだ?」
キシルは誰となく呟いた。
「キシルさん」
「ん? なんだミラ」
「ユナさんはどうしたんでしょうか?」
「さあな。分からん」
というキシルだったが、一つ思い当たるフシがあった。そうあいつだ。変わった後の性格があいつにどことなく似ているのだ。
「正義感の塊…だな」
キシルはユナを見ながら寂しげに呟いた。
「おいユナ。いつまで寝てやがる。起きろ!」
ぺしぺし。キシルはユナの頬を叩きながら言った。
「んっ…。あ、あれ? キシル…さん…?」
「おいユナ、お前がいきなり倒れ込むから心配しただろうが」
「あ…ごめんなさい…」
「んで? 革命はどうするんだ?」
「やるしかないですよ」
絞り出した元気。そんなイメージを持ってしまう感じだった。
「そうか…。なら、作戦を実行に移そう」
「その前にキシルさん。一つ良いですか?」
「なんだ?」
一区間置いて、ユナはこう言った。
「私は闇もノーデットナイトメアも同じなんだと思うんです」
「どういう?」
「つまり、あれも元は人間なんだと思います」
悲しげにユナは言った。
「闇もか?」
あんなものになれるとしたら。そう考えるキシルだったが、どうにも分からなかった。
「闇は悲しい人です。いつも泣いて泣きながら人を殺していくんです」
「なんでお前そんな事わかんだよ」
「両親が殺されたのは、私の目の前でしたから」
「あ…。そうだったのか…。何と言うか、すまん」
「良いですよ別に。昔の話ですよ」
ユナは笑ってそう答えた。しかし、それがまたキシルの不安を煽っていた。
「ミラ、革命を始めるぞ」
しかし、そんな不安は革命には不必要だと心の中に封じ込めた。
「はい。分かりました」
キシルは作戦を片っ端から頭にインプットしていった。