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第二章

「というわけで、勇者パーティーから不当に追放されてしまったんですよ、魔王様」


『なにやってんのお前』


 町はずれの林にて、一通りの事情を話した俺に、そんな声が投げかけられた。


 声の主は魔王様。遠隔通話魔法で空間に穴が空いており、そこに魔王様の姿が見える。


 紫の立派な角と、巌のような肌がいかめしく、いつ見ても威厳たっぷりだ。


 そんな威厳たっぷりな魔王様の顔は、今やあきれ果てた色に染まっている。


『全然、というわけで、じゃないんじゃが。酷すぎるでしょ』


「マジでひどいですよね、あいつら! あんな不当な嫌疑で追放するなんて!」


『いや、嫌疑は正統じゃったろ。現にスパイなんじゃから』


 魔王様は、はぁー、とクソデカため息をついて、頭痛を堪えるように頭を抱える。


『大事な任務だから、絶対失敗するなって言ったじゃろぉー。もう、四天王お前しかいないのにぃ……。ていうか、お前、そもそも、なんで魔物の姿のままなんじゃ……。ワシが授けた変身スキルはどうした』


「あぁ、あのスキルですか! あのスキル全然ダメですよ! ハズレスキルですよ、ハズレスキル!」


『何? 何か不備があったか?』


「ええ。あれって、俺の想像力でどんな姿にでもなれるスキルでしょ?」


『そうじゃな。魔力消費こそ激しいが、想像するだけでどんな姿にもなれる。しかも、ドラゴンになれば、ドラゴンのと同じ力を、キングオークになればキングオークと同じ力を、というように、変身したものの能力まで扱えるとんでもない性能のスキルのはずじゃったが……』


「いやいや、自分の姿が変わる想像なんてできませんよ」


『なんて、使えないヤツなんじゃ……』


「いや、あれ、すっごい正確に想像しなきゃいけないんですよ? 逆に訊きますけど、魔王様は、自分の体が別の全く違う構造の生物になるの想像できます?」


『なんで、お前は、そんなに強気に反抗的なんじゃ……』


「ほんとに勘弁してくださいよ。なんでこんな、ハズレスキル俺に渡したんですか」


『普通に使えば最強スキルだからじゃ。ハズレとるのは、お前の頭のネジじゃ。というか、使えない時点で、そう報告しろ』


「いやー、せっかく授けてもらったスキル『使えませんでした』って報告するの恥ずかしいじゃないですかぁ」


『マジで終わっとるお前』


 はぁー、と魔王様は、再度クソデカため息をつく。


『普通の魔物の20倍の魔力があるからって、こんなヤツ四天王にするんじゃなかった……』


「そんな落ち込まないでくださいよ魔王様。誰にでも間違いはあります」


『なんなのお前マジで』


 魔王様は、両手で頭を抱える。


『お前マジで、状況わかっとる? ワシ、20年前に《始まりの勇者》を返り討ちにしたときに、《封印の剣》刺されて、玉座から動けんのよ? この状態で、お前が潜入してた現人類最強勇者パーティーが来たら、マジで死ぞ?』


「まさに、まな板の上のコイですね」


『黙れ』


 とにかく、と言って、俺は憤慨冷めやらぬままに口を開く。


「あの勇者パーティーは、マジで許せません。こうなったら……」


『ほう、何か策があるのか?』


「最強になって、あいつらを見返したいと思います!」


『器が小さすぎる……。というか、目的が個人的すぎるものに変わっとる……』


「とうわけで、まずは冒険者ギルドに行こうと思います」


『え? なんで?』


「いや、だって追放されたなら、無所属ですし、とりあず、冒険者ギルドで、新規パーティーとして登録しないと。追放されたら、まず、一にも二にも、それですよ。常識ですよ?」


『いや待て。意味わからんじゃろ。お前が新規パーティー登録するのは。潜入任務失敗したんじゃから、冒険者になる意味すらないじゃろ』


「いや、だって、冒険者として活躍しないと、あいつら見返せませんよ?」


『その、クソみたいな目的まず捨てろ』


「というわけで行ってきまーす」


『いや、待っ――』


 俺は、通話魔法を切って、冒険者ギルド本部へ向けて走り出した。


 絶対、最高の冒険者になってやるからなぁ!


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