表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/139

第139話 おまけ

「――お姉ちゃんは、母親のようでもありました。


 十二だなんて、小学校を卒業してしまうほどの年の差はとてもとても大きくて、私の知ってるお姉ちゃんは、はじめからお姉さんだったのです。


 叱られたことを覚えています。

 一番古いのは、そう、ビンタ。私が一人で勝手に出掛けてしまった時に、怒られた記憶です。

 あの時は、お姉ちゃん、ありがとう。私のことを想ってくれたの、すぐにわかったよ。今もずっと覚えてる。


 その時にお姉ちゃんと一緒に居たのが……琴樹お兄ちゃんです。


 今日からは、本当にお兄ちゃんです。家族として、お兄ちゃんを大好きな気持ちはお姉ちゃんにも負けません。


 実は、私はよく覚えていないのですが、お姉ちゃんとお兄ちゃんは、自分たちのキューピッドは私だと言います。それなら嬉しいなって思います。


 褒められたことを覚えています。

 小学校の時にテストで百点満点を取った時や、中学校でバドミントンで全国大会に出場した時、いっぱい褒めてくれたよね。

 私の自信は、お姉ちゃんとお兄ちゃんが褒めてくれるからだと思っています。だからもっといっぱい褒めてね?


 なので、琴樹お兄ちゃんは、本当にお兄ちゃんだと思っています。だって私の中でお兄ちゃんはずっと一緒に居るのです。

 お姉ちゃんとお母さんとお父さんがいて、お兄ちゃんも当たり前にずっと一緒に。


 それを、今はよかったと、心からよかったと、そう思います。……ご列席のみなさんにはご存知の方も多いと思いますが……お兄ちゃんは昔……すごく頑張りました。もちろん今も頑張っているけど……泣きたくなるような時に、頑張ることは、とても大変なことだったと思います。……自惚れになるかもしれませんが、その時に、琴樹お兄ちゃんと一緒に居られたことで、少しくらいは力になれたのかなって、私もちょっとくらい力になることが出来ていたのかなって、思ってます。


 暗い話になってしまいすみません。でも、私は、これは私たちにとって大事なことだと思っています。お姉ちゃんと、お兄ちゃんにとって、すごく大事なことだって。

 でもやっぱり今にして私には難しいお話でもあります。なので一言、言ってこのお話はおしまいにしたいと思います。


 お姉ちゃん! ……よくやった! グッジョブ!


 こほん。以上です。あ、以上じゃないです。


 えと……琴樹お兄ちゃんのエピソードを話したいと思います。

 琴樹お兄ちゃんはすごくカッコよくて、頭もよくって、スポーツも出来るしなんでも出来る……スーパーマンだと思っています。……今笑った仁さんは、後で私のところに来てください。

 琴樹お兄ちゃんは今や立派な建築家です。本人はいつも謙遜するんですが……みなさん、そうですよね? 琴樹お兄ちゃんはすごい建築家ですよね? ……ありがとうございます。

 そういうことです、お兄ちゃん。……お兄ちゃんが設計した博物館を観に連れて行ってくれた時に、私がどれだけ、お兄ちゃんすごい! を伝えても謙遜していたのを実はちょっと不満に思ってます。

 でもそんなところも謙虚でいいなぁって思います。


 何が言いたいかと言うと、私は琴樹お兄ちゃんのことが大好きだということです。

 今日からはお姉ちゃんはお兄ちゃんに、お兄ちゃんはお姉ちゃんに取られてしまうので、ちょっといじわるをしました。えへへ。


 寂しい気持ちは本当です。

 私は今日が来るのを心から待ち望んで、同時に、心のどこかで来ないで欲しいとも思っていました……。大好きな二人が、少し、遠くなってしまうのかなって……。


 こほん。長くなってしまいました。

 えー、最後に、最後なので、もう一度、ちゃんと言って終わりたいと思います。


 優芽お姉ちゃん、琴樹お兄ちゃん――


 ――ご結婚おめでとうございます。


 お、おめでとうっ、ございますっ。ほんとうに……ほんとに……私……うぅ、よ……よかったよぉ、よかった。ぐすっ。ほんとに、ほんとにおめでとっ、お姉ちゃん、お兄ちゃん。大好き。愛してる。ずっとずっと。大好きだから。おめでとう、おめでとうございます。ありがとう、結婚してくれて、一緒に、居てくれて、ずっとっ……ぐっ、ずず。……は、恥ずかしいとこを、お、お見せしました。ぐすっ。うぅ……とにかく、ほんとに、よかったんです……おめでとう、お姉ちゃん、お兄ちゃん。……い、以上で、スピ……スピーチを、終わります。ありがとうございました」


 会場を埋め尽くす拍手と、二つ分の温もり。

完結です! ここまでご愛読いただきましてありがとうございました!


評価ブクマ感想レビュー批評誤字脱字指摘等々、いただけると幸いです。m(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ