第 話
青年ふたりは、落ちる人影に目を凝らす。
「んー?あ?!」
大きな担架を手放した巻き毛の青年は、頬を両手で挟み、人影の落下点真下へ向かって走り出す。
落ちかけた担架を一人で握る虎耳の青年は、腕に血筋を浮かべて雄たけびをあげた。
「うおおおおおおおおおおおお!」
指先で空気を切り開くように、巻き毛の青年は腕を振り、ももを高く上げ、強く蹴る。
風に並ぶ速さで駆ける青年、止まった。その碧眼は、真上の人影を捉えていた。
妃を優雅に持ち上げるような腕を作り、にちゃりと笑う。
「さあここへ!」
青年は微調整をするように、ゆらゆらと脚を揺らす。
見上げる青年の上、人影は足を地へ向けた。
青年の額に着地するその人影。
「あだ!?」
琥珀色の髪がきらめいた。
琥珀の少女は額を蹴って少年から距離を取る。
着地。
少女は鞄から長布を取り出し、裏地を外向きにして顔に巻き付けた。
その幾何学模様、まるで一つ目のような薔薇型の正方形。
青年は凝視した。
口を開こうとしたように動くが、呻き声が出る。
追いついた虎耳の青年は、大きな担架をそっと石床へ下した。
「ん?何それてかどうやって入ったん?」
それを示すように少女は鞄から、青い肉塊の錠前と連結している、金属の鍵を取り出した。
青年ふたりは息を飲む。
少女は、担架の上で横たわる赤毛の男へ。
膝を折り、祈るように男の大きな手を、小さな両手で包み込む。
その大きな手を、心臓がある場所へ押し当てた。




