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憂鬱な時をすごしてました……初っぱなから、暗くてすみません
あと1ヶ月か……
俺は窓の外を見ながら、ため息をついた。
雲一つない秋空に、思わずチッと舌打ちをする。
今日の天気は最高だな、俺の気持ちとは裏腹に。
王宮魔道士たちが魔法の鍛錬をしているのを窓から眺めながら、ぼんやりしていると、ノックの音とともに側近のナクサスが入ってきた。
「王子、なにボケッとしてるんですか?」
物思いに耽っている俺に無遠慮に声をかける。
……ボケッとって……いや、間違いじゃないけどさぁ。
もう少し気を使えよなぁ。
主が思い悩んでいるんだぞ。
少しは心配しろっ。
「お前なぁ」
「王子、国王様がお呼びですよ」
物申してやろうと、俺が口を開くと、ナクサスは素知らぬ顔で用件を告げる。
はぁぁ、なるほど。
やっぱり、おいでなすったか。
「わかった。今、行く」
一国の王子らしく凛とした声を出したが、小さくため息が漏れるのは止められなかった。
ああ、憂鬱だ。