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エンディングノート  作者: 雨水 塩素
2/5

No.1 Hydrain

最初は、「アメフラシ」と呼ばれたバケモノの記録だった。


彼女の記録は、ある日を境にして何も記述されていなかった。

どこまでも灰色で、どこまでも空虚な世界だった。



自分の耳にはいつも雨の音しか響いていなくて、どこに向かって歩いているのかさえわからなくなっていた。


誰かと出会ったのかもしれない。誰かを傷つけてしまったのかもしれない。大切な何かを手放してしまったかもしれない。




そんな日々も今日で終わりを告げようとしている。



薄れゆく視界に、空の青さがだんだんと写っていくのが感じられる。


ああ、もう一度。もう一度だけ青空の下、もう思い出すことのない貴方と歩きたかった。




さよなら、私の太陽。

この雨を連れて、また遠くへ行くよ。



「その日の空の青さは、今までで一段と青かった」と最後に書かれていた。

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