憎悪
「佐藤、今日はどうするんだ?」
朝食を済ませた後、出かける準備を始める佐藤に問いかけた。
「私は早くこの戦争を終わらせたい。そのためにはフロースを倒すしかない。そして瑞樹は情報を持ってる。今日は青のフロースを倒したいと思うの。本当は紫のフロースを最優先したいんだけど、瑞樹から聞く限り、かなり慎重に動いてるし、居場所もわからないから」
艶やかで綺麗な黒髪に花の髪飾りを着ける仕草に見惚れつつ、
「それは僕も同感だ。瑞樹、青のフロースの性格な居場所までわかるか?」
「悪いけど正確な居場所はわからないわぁ。ただ近くに行ったらわかるのぉ。私は他のフロースよりも匂いで嗅ぎ分けられるから探すのはうまいわぁ」
「青の家は隣町か?」
「そうよぉ、私のお家も隣町なのぉ」
「そうか。そういえば、瑞樹の服って……」
「これはねぇ、お姉ちゃんの小っちゃいころの服なんだってぇ」
瑞樹は僕に見せつけるようにくるりと回って見せた。今の佐藤からはあまりイメージできないような服だった。僕が佐藤を見ると顔を背けて恥ずかしそうにしている。
「佐藤、こんな服も着てたんだな」
「そ、それは私が小さいころに、お金を入れてくれてる祖父母がくれたもので私が買ったんじゃないの!」
僕が佐藤をからかっていると、瑞樹が「でもこのお洋服とってもかわいいわぁ」と無垢ゆえのフォローできてないフォローを入れ、ますます佐藤が恥ずかしそうにする。そして、それを誤魔化すように、
「ほ、ほら、早く準備なさい。置いてくわよ!」
佐藤のひとことでそれぞれ準備に入った。
町は時間が早いということもあり、人気が少ない。吹き付ける風が痛いくらいに冷たくて僕は思わず身震いしてしまう。吐く息がまるで雪のように白くて、隣では瑞樹が相変わらず水玉模様の傘を持って、はしゃいでいる。
「まずは隣町まで行くか」
「そうね。歩きでも電車でも行けるけどどうする?」
「私、歩いて行きたいわぁ。せっかくお兄ちゃんとお姉ちゃんと楽しく歩けるんだものぉ」
佐藤は一度僕に視線を向けてから、慈愛に満ち溢れた笑顔で、
「そうね。じゃあ、ゆっくり歩きましょうか」
都会とはかけ離れた自然豊かな街を抜け、少しずつ建物が増えていく。徐々に人も増えていき、学校に向かうであろう制服の人も見受けられる。冷えていた空気も時間が経つにつれ、凍えるほどではなくなっている。
「瑞樹、場所はわかりそうか?」
「性格な場所はまだわからないけれど、方向はこっちだわぁ」
瑞樹はあたりの匂いを嗅ぐような素振りをしてから南の方角を指さした。
既に佐藤の家を出てから二十分が経とうとしていた。僕は瑞樹が疲れてないかなと声をかけようとしたが走っている姿には、疲れた様子を微塵も感じられず、思わず笑みがこぼれる。佐藤も疲れた様子はなく、むしろ普段通らない隣町の景観を楽しんでいるように見えた。
「なんだか不思議な感じね。こんな戦いがあるっていうのにここはすごい長閑」
「そうだな。まぁ人がいないだけっていうのもあるけどな」
「私もこんな風にお外に出るのは久しぶりだわぁ」
「そういえば私達って瑞樹のこと全然知らないわね」
佐藤がしゃがんで、瑞樹の目線に合わせる。
昨日は僕と佐藤が瑞樹に質問されるばかりで瑞樹が自身のことを話す機会がなかった。
「昨日会ったばっかだしな。瑞樹はこの町に住んでるって言ってたけどこの辺りなのか?」
「お家はこの辺りだわぁ。でも私、病気でずっと入院してたのぉ」
「入院? でも今は全然元気そうだけど……」
「今は元気だわぁ。病院で夜に白い光を見たら急に治っちゃったのぉ」
瑞樹は「ラッキーだわぁ」なんていいながら笑っている。昨夜に薬を使っている様子もなかったから完全に治っているのかもしれない。
「この戦いのおかげってことなのかしら」
「そうかもな」
これもエネルギーのおかげなのだろうか。病気が治る代わりに殺し合いをさせられるとなったら僕はどうするだろう。
次に佐藤が瑞樹に質問した。
「答えたくなかったら答えなくていいけど、昨日、私の家に泊まったけど瑞樹のご両親は心配してないの?」
「私の両親は知らないわぁ。私が物心ついた頃にはおばあちゃんとおじいちゃんしかいなかったわぁ」
「……そう。ごめんね。つらいこと聞いちゃって」
「別につらくなんてないわぁ。最初からいないんだもの」
フロースの条件を花弁は世界を変えたいと思ってる人と言っていたが、やはりその他にもあるのかもしれない。僕と佐藤と瑞樹は全員、両親がちゃんといるわけではない。それらを突き止めたらこの戦争の真相が見えてくるかもしれない。
「あ、青の匂いが強くなってる……あそこのお家だわぁ」
瑞樹が指さす先には、何の変哲もない茶色い屋根の一軒家がある。その目の前に行くと、瑞樹ほどフロースに敏感でない僕でもフロースの気配が肌を刺す。佐藤もそれを感じ取っているようだ。
「インターフォン押すのか? 怪しいよな、僕たち」
「そうね。どうしましょうか」
「あ、お兄ちゃんたちぃ、裏口から誰か出て行くわぁ」
玄関の反対側からグレーのだぼだぼのジャージを着たぼさぼさの髪のだらしない男が走りだしていた。
「わかってると思うけど、そこのお兄ちゃんがフロースだわぁ」
「お、お前らやっぱりフロースか。くそっ」
ジャージの男は人の少ない街をスイスイとかけて逃げていく。
「瑞樹、走れるか?」
「あのお兄ちゃんに追いつく速さを求めてるならできないわぁ」
「わかった」
僕は瑞樹を抱き上げた。とても軽くて飛んで行ってしまいそうだった。
「追いかけるわよ」
ジャージの男が逃げた方向へ走りだす。この町は建物が多く、何度も男を見失ってしまう。そのたびに瑞樹に方向を教えてもらい、見つけるというのを繰り返した。男は戦う素振りを全く見せず逃げるばかり。
「もー、ちょこまかとイライラするわね!」
イラつき始めている佐藤を横目に僕は考える。
もうジャージの男を見つけてから三十分は追っている。それなのに一向に追いつかない。見つけても見つけてもすぐに見失ってしまう。この町を男は熟知しているのだろうがそれにしてもあまりに見失いすぎている。その原因は大きく二つ。一つ目は純粋に土地勘の差。二つ目は何かと不運なことが多い。一つ目はどうすることもできないから諦めるしかない。しかし二つ目は異常だ。明らかに数が多すぎる。瑞樹が指をさす方向に行くと道路工事。おばあさんが倒れていたり、信号は毎回止まっている。
そしてあの男は僕たちを見て、やっぱりフロースかと言った。おそらく以前にもフロースに襲われているのだろう。しかし男は戦うこともせずに逃げる一方。追い返すことをしていないということは、以前にもこのように逃げ切ったと考えるのが妥当だ。男の能力は逃げることに適した能力だろう。
「佐藤、あのフロースの能力は運を操るみたいなものかもしれない」
「なるほどね。だからさっきからこんなに止まらなくちゃいけなかったわけね」
そのあとも追い続けたが、幾度となく不運に見舞われる。それは男の能力が運を操るものと確定するのに容易い数だった。
大きな公園に着き、周りを見回しても、誰もいない。木々がこすれあう音だけがさみしそうに響いている。
とうとう瑞樹でも方向すらわからない距離まで離れてしまった。
「あの能力、逃げ足に関しては最強だな。次は対策が必要だな」
「そうね。でも不運にさせる能力に対策なんてあるかしら?」
「運ってどうしようもないんじゃないのぉ?」
「そうだな、あの男の能力による運の操作が収束するなら次はもう少しましになる可能性もあるけ
ど、多分収束しないだろうな」
「気づかれないで近づくのもできないわよね。私と栄君で挟むとかしかないかしら」
「そうだな」
「あ、お前は水使い! てめぇよくも殺してくれたなぁ」
突然、大声が聞こえる。声の方向を見ると、そこには見覚えのない大学生くらいのチャラい男がいた。髪は染め、ピアスをつけて、タバコを吸っている。
「あれぇ? 草木を操ってたお兄ちゃん。殺したはずなのになんで生きてるのぉ?」
「ふん、あんな体内に送られる水なんかな、俺の草木に吸わせればいいだけなんだよ。それよりそこの奴ら誰だよ。フロースだよな。なんでお前がフロースと居るんだよ」
無駄にチャラい仕草で髪をかき上げる緑と思われるフロース。指には多くの指輪をつけ、よく見ると唇にもピアスがついていて、僕の苦手とする部類の人間のど真ん中である。僕は瑞樹と佐藤を木々から遠い公園の真ん中に移動させた。
「あらぁ、あなたは私がフロースかどうかもわからないのねぇ。私はお兄ちゃんたちに負けてもうフロースじゃないわぁ」
「そうか。まぁそんなことはいいや。俺はお前を殺すんだからな」
お茶らけているように見えるがその眼には明確に殺意を宿している。
「悪いがこの子は僕たちが殺させない」
僕は男の正面に竹刀を構えて立つ。が、今は『賢者』が使えない。使おうとすると体が悲鳴を上げる。それでも僕は彼に悟られないように深呼吸し、意識を整えた。
「ははは、守ってみろよ」
笑いながら男は花弁を使った。
地面から太い茎のようなものが生えてきて僕たちを突き刺そうと襲ってくる。
「佐藤、避けられるよな」
「ええ、瑞樹をお願い」
僕は瑞樹を抱え、難なく躱す。瑞樹も舞うように避けきっている。
僕は『賢者』を発動し無くても、ある程度、予測することはできるようになっていた。
「佐藤、能力は効くか?」
「いや、だめだわ。距離が遠い」
「わかった。周りの木には気を付けてくれ。多分、操ることもできると思う……」
「──ほう、お前、よく見たらかわいいな」
ふいに割って入った不愉快な声。
男が顎を撫でながら、下卑た笑みを浮かべて言った瞬間、僕の体に寒気が走った。
いやな予感が的中しないことを願いながら佐藤の方を見たときにはもう遅く、佐藤は男の能力にかかってしまっていた。走って男のもとに行った佐藤は僕を一瞥してから男と一緒に歩いて行く。
迂闊だった。緑のフロースが初手に花弁を使った時点で精神系の能力に気づけたはずなのに。他に比べて能力が届く範囲が大きいなんてことはあり得る話なのに。
段々と思考がまとまらなくなってきて、去り際に佐藤が僕に能力をかけたのか段々と眠くなってしまった。
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
倉庫のような場所に僕だけがいる。あたりは暗く、音は消え、海風が寒い。
「夜っぽいから夢か? とにかく早く佐藤を助けないと」
夢から覚める方法もわからず、僕は倉庫を探索するしかない。
「? なんだこれ」
探し始めてすぐ、そこには女子高生のものと思われる制服があった。他にも髪飾りやヘアゴムなんかもあった。しかし、私物は落ちているがその持ち主らしき人の気配は全くしない。
恐れる余裕もなく僕は足を進める。
僕は佐藤が見せてきた新聞の記事を思い出していた。それはここ数日で女子高生が大量に誘拐されているといったものだった。よくよく考えてみれば、明人のように人を操る能力があれば誘拐など何の造作もない。
倉庫の奥に進めば進むほど沢山の女子高生の私物らしきものが見つかる。
その中で僕は決定的なものを見つけてしまった。
「これ……佐藤の髪飾りだ」
佐藤がいつも着けていて花の髪飾りを手に取ってみると佐藤の声が聞こえた気がした。
「助けて」
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
気づくと夢は覚めていて、瑞樹の顔が目の前にある。
「瑞樹、悪い。寝ちまった。佐藤たちはどっちに行った?」
瑞樹が指をさした方には海と大きな倉庫がある。佐藤は夢に干渉できると言っていた。自分が伝えたいことを夢にして見せることもできるだろう。
「ごめん。僕は佐藤を助けに行く。鍵は渡すから家に戻っておいてくれ」
「わかったわぁ。でもお兄ちゃん、あんまり怒ってないのねぇ」
「──そんなことない。怒ってるよ。じゃ、気をつけてな」
僕は瑞樹が指を刺した方の海の近くにある倉庫に向かう。途中、明人の言葉を思い出していた。
『敵が自分の仲間、家族、知り合いなんかの大切の人を害するときに敵を即座に殺す判断ができないと後悔するぞ』
そこは夢で見た景色と一緒だった。違う点は女子高生の私物が落ちていないことと倉庫の奥の方で音がすることだ。風にほのかに塩の匂いが混じっており、なんとなく肌がピリピリする。
僕は人の気配がする倉庫の奥へ走る。
「sapiens」
むりやり能力を発動した。頭痛が酷いがそんなことはどうでもいい。さらに奥の方の空気が震えているのを感じとり、躊躇うことなく足を進める。
そこには気を失っている佐藤と緑のフロースがいた。
「おい、佐藤は返せ」
「はは。返すわけないだろ」
「死んでも返さないか」
「返さねぇって言ってんだろ」
「そうか。じゃあ死ね」
それは怒りだった。母さんが殺された後に強盗犯に対して燃やした憎悪だった。その怒りはこれまでの僕の考えを変えるのに十分なほどの大きさで僕の体は今にも燃え上がりそうだった。
竹刀を片手に男に向かって走る。男は馬鹿みたいに花弁を使って突き刺そうとしてくるが、僕は当たり前のようにそれを躱し、まずは肩口を竹刀で打った。腕を動かなくさせてからもう一度聞いた。
「佐藤を返せ」
「うるせぇ! 黙れ。返さねぇって言ってんだろうが!」
僕は次に太ももを打ち足も動かなくさせ、最後にこめかみを打ち、気絶させる。
一方的に嬲ることすらせず、最も少ない手順で仕留める。男はぐったりとその場に倒れる。
「そこで待っていろ」
僕は佐藤を抱えて外に運び出してから空気が震えているところに向かう。案の定、人の気配がする部屋に入ると女子高生が倒れていた。それも一人ではなく多数だった。
「やっぱり女子高生大量誘拐の犯人はあいつか」
そのまま放っておけるはずもなくとりあえず外に運び出す。男に操られていて疲れているのかみんな眠っていた。
十数人ほど運ぶと、倉庫の中で空気が震えているのは男がいる場所だけになった。
「死んじゃえよ、ごみ」
僕が倉庫の壁にあるパイプを数本抜くと、倉庫は端からどんどんと崩れていき、すぐに全壊した。
そのあと、男がいた部屋のところに行き、ぐちゃぐちゃになった緑のフロースの体をすぐそばの冷たくて暗い海に投げ捨てた。
その後、僕は救急車を呼び、さらわれていた女子高生を預けてから佐藤を連れて帰った。
家に戻って一時間がたったころに佐藤は起きた。佐藤は特に悪いところは無いようで、僕は安堵する。おそらく大丈夫だとは思っていたがそれでも心配なものは心配だ。瑞樹は気を利かせてくれているのか自分の部屋で遊んでいる。
僕は一昨日、腹をえぐられたときのことを思い出して少し申し訳ない気持ちになった。
「あれ? 栄君?」
佐藤が目をこすりながら体を起こす。佐藤はまだ混乱しているようだった。
「よかった。起きたか。まだ疲れてるだろうからもう少し寝てていいぞ」
「うん。ありがと。大丈夫……それより何があったの?」
佐藤は神妙な面持ちで訊いてくるが、僕はそれを軽くあしらった。
「何もなかったよ」
「そんなわけないじゃない! 教えてよ!」
佐藤が僕にむかって怒鳴る。僕は佐藤も取り乱すことがあるのかなんて場違いなことを考えていた。いや、そうやって意識をそらしていた。
「落ち着けよ。別に何もなかったよ」
「なんで話してくれないの? 私、緑のフロースの能力にかかってからどうなったの? また私はあなたに助けてもらったの? また私はあなたに迷惑をかけたの? 私たちが初めて戦った、いや、私は戦ってすらない久遠明人のときも私を逃がすために一旦逃げて一人で行ったんでしょ!」
佐藤は目に一杯の涙を湛えて、悲痛な叫びを僕にぶつけている。
「佐藤。わかった。話すから一旦落ち着いてくれ」
僕はとりあえず佐藤を宥める。しばらくすると佐藤は落ち着き話を聞けるようになった。
「まず、佐藤が操られて僕は佐藤に夢を見させられたんだ。その夢は倉庫で女子高生の私物が散らばっていた。佐藤の声で起きた後、夢で見た倉庫に行くと緑の男がいた。僕はそいつを倒して佐藤と誘拐されてた女子高生をを助けた。それだけだ」
「私をさらったフロースはどうしたの……」
佐藤が俯きながら呟く。
「あいつは倒したよ」
「倒したって具体的にどうしたのよ!」
涙がこぼれそうな瞳にじっと見つめられ、僕は視線を逸らす。
「脅して花弁を使わせたよ」
「嘘よ! じゃあ、なんで……なんでそんなにあなたが苦しそうなのよ!」
僕は自分が泣いてることを今更気づいた。佐藤を助けたときからぴんと張っていた緊張の糸が佐藤の言葉で段々と細くなり遂に切れてしまった。もうこらえられなかった。歪んでいた顔がさらに歪んでいく。口からは嗚咽が漏れる。佐藤を守り切れなかった悔しさと人間を殺したという罪悪感が体を蝕む。
「殺したんだね……」
「──ッ! ごめん。ごめん。ごめん」
僕は何に対して謝っているのかもわかっていなかった。しかし懺悔の言葉を口にしていないと自分が壊れてしまいそうで怖かった。
「佐藤が連れ去られた場所に向かってるときに、明人の声が頭で響いたんだ。『敵が自分の仲間、家族、知り合いなんかの大切の人を害するときに敵を即座に殺す判断ができないと後悔するぞ』って。僕はそれを否定してた。しなきゃいけなかった。父さんにそうやって教えてもらったから……だけど、気づいたら僕の手であのフロースを殺めてた。どんな人間にも生きる価値はあるって思ってた。そう信じてた。だけどあの瞬間だけは、あの人間に価値を感じられなくて、悟ってしまった。僕が信じてたのは綺麗ごとだったって」
「そっか……」
それから僕と佐藤は何を悔やみ、望むわけでもなく、とにかく泣いた。泣いて泣いて泣いた後、二人は赤子のように疲れ果ててまだ日が沈む前にもかかわらず眠ってしまった。