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マッチとポンプで異世界神様業  作者: ゆうと
第Ⅰ部:ダンジョン創設編
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第3話:神権名はシンプルに

 

「じゃあ早速! ノルマになってる信仰心の説明をお願いします!」

 振り向きながらお願いすれば、恭しく畏まりましたと述べるロココさん。

 その仕草とイケボっぷり。ズキュンと痺れるじゃあないか!

「承知しました。カイト様のもとに人々の信仰心が集まればOKです」

「なるほど。信仰心のカウントは量? それとも質?」

「両方でございます」

 ん? どうやらここ大事なとこっぽいな。

「そこんとこ詳しくお願いします!」

 ゲームでも、ルールやシステムの基本的な理解は攻略の王道だからね。地味だけど。

「信者の数が増えると、日々のお祈りなどで信仰心が安定的に供給される可能性が高まります」

「わかりやすいね。それが量だとしたら……質の方は?」

「自然災害などの突発的な出来事によって、人々の祈りが集まる場合もございます。定期的な祈りとは切実さが異なるためでしょうか。少数から日ごろの数百倍ほどの信仰心が集まることがございます」

「……なるほど」

 祈りの切実さ、ね。

 つまり祈りの強さに比例して、一人から得られる信仰心が跳ね上がると……。純度の高い信仰心一人分は、純度の低い信仰心数百人分に換算されるって感じかな。

「じゃあ次の質問。その量や質は、誰がどのように測定してるの? あと、回収するのはオレ?」

 もしそうなら、とんでもない業務量になりそうだ。ちょと面倒くさいかも……。

「全て……神樹が行います」

「神樹?」

「はい。信仰心が集まると、ヒュム族の神樹がそれを資源に成長します」

「ふむ。それで? 神樹が成長すると?」

「カイト様の神威が高まり、神としての権能である神権が強まります」

 神樹、神威、神権。神まみれである。さすが神様だオレ。

「ロココさん、いったん整理していい?」

「素敵な試みです」

「ありがと。えっと……ホワイトボード的な物ある?」

「ございます。カイト様の指で文字が書き消しできる透明ボードでも?」

「そんな感じなのください。なんかいい感じのヤツ!」

「お待ちください」

 またも背中の隙間に手? 前脚? を突っ込んで、ニョキニョキと大きな物体を取り出すロココさんの有能さよ……マジ憧れる。

「ロココさんの背中の隙間のソレ……便利だよね」

「恐縮です。カイト様が神様業を遂行するのに必要なものを提供する力を、創造神様より授かっておりますれば」

「えっと……創造神?」

「はい。この星を含め、この次元の宇宙をお創りになったお方です」

「オレの社長ってとこか」

 う~ん……なるべく会わないようにしたいなぁ。

 ひっそりと……息をひそめてこっそりと過ごしたいからね。

「じゃあ、書いて整理してみるか……」 

 指で書いてるのにキュッキュっと音がするのが不思議だけど……いいじゃんこれ! 書いている感覚が音でも伝わってくるおかげで、思った以上に書きやすい。

 ふむ……<いい感じボード>と名付けよっと。



<いい感じボード記載事項>=========


【信仰心集める→神樹成長→オレパワーアップ→信仰心集めやすくなる→オレの願いがますます叶う➡信仰心集める意欲アップ→信仰心もっと集める(=最初に戻り、以下ループ……)】


 ======================


「こんな感じのループ爆誕?」

「適切なご理解です。さすがカイト様!」

 ちょっとドヤ顔でロココさんの方を振り返ると、スタンディングオベーションで称賛してくれてる。

 心地いいよロココさん…!

 この勢いでどんどん行こう。次は……何を理解しなきゃいけない?

 う~ん……最終的には、信仰心の集め方を具体的に考えなきゃいけない。そのためには……うん。パワーアップ! これを知らないといけない気がする! 多分!

「ロココさん! 神権について教えてくれる?」

「よいご判断です」

「へへっ! ロココさんなら褒めてくれると思った!」

「恐縮です。では、失礼して……」

 ふわりと浮き上がったロココさんが、いい感じボードに触れる。その瞬間、一気に、ボードに文字が浮かんだ。

「え⁉ なにそれズルい! どうやったの?」

「このボードには、考えたことがそのまま表示される機能がついております」

「へぇ~……カッコいいなぁ。次、オレもその機能使ってみようかなぁ」

 便利だけどなぁ。

 カッコいいけどなぁ。

 でもなぁ……う~ん……。

「やっぱ、なるべく指で書こっと。実際に書いたり消したりするプロセスは、思考や判断の力を高めることに繋がるだろうし」

 オレ成長しないといけないし!

 地道だけども……それが信仰心を集める早道だろうし。つまり……これがフルリメイクへの最高速度なのであるからして!

「カイト様のその成長思考……私は好きです」

「ありがと! オレはロココさんの褒めて育ててくれるとこ好き!」

「恐縮です。ではこの調子で参りましょう。こちらをご覧ください」



<いい感じボード>======


 基本的神権:以下3つ

 ①全方向型写実投影機へのアクセス

 ②神樹へのアクセス

 ③ヒュム族への天啓


 発展的神権:神威不足につき以下は獲得不可

 ①ヒュム族への神権貸与

 ②精霊召喚

 ③生物創生

 ④神殿増設


 その他の神権:神威不足により開示不可


 ===============


 おぉぉぉぉ! なんかグワっってなった!

 レベルアップとかスキル獲得とか向上とか……無性に心が(くすぐ)られる!

「へぇ~基本的神権と発展的神権かぁ~」

 神権はこの二つに分類されるってことか。

 ん?

 待てよ?

 このその他の神権は……別のカテゴリーかもしんない。神威不足で開示不可ってなってるし。

「ロココさん。神威が上がるほど、できることが増えて、信仰心が集めやすくなるんだよね?」

「適切なご理解かと」

 よかった。神様業の仕組みが掴めてきたっぽい。

「基本的神権①全方向型写実投影機へのアクセスって、球体を呼び出して見れるやつのことだよね?」

「はい。ヒュム族の姿を拡大して捉えたり、彼らに気づかれることなく映画の中に入り込んだような感じで観察したりできます。また、彼らの数や行動範囲、周辺環境等の情報を数値や記号などを用いてビジュアル化することも可能です」

 これは……便利。

 直感だけどね。

 でも……うん。間違いなく……便利な予感。

「使用時にはプライバシーに配慮してあげないとだよね」

 誰にも……そしてもちろんオレにも、他人に見られたくない場面があるわけだから。

「とりあえず、遠くから撮影している感じを基本設定にしておこっと」

 それに、誰が見ても得をしない瞬間っていうのもあるのである。

 ほら……さすがにオレも、他人が用を足してる様子を、いきなりアップで見たくはないし。

 三次元はちょっと……生々しくて苦手なのであるからして。

「素敵なご配慮ですね」

「ありがと!」

 どんどん褒めて……!

「このビジュアル化って機能、試してもいい?」

「もちろんです」

「えっと……例えばヒュム族の年齢構成をグラフ化できる?」

「オーダー、承りました!」

 ロココさんがまたも光り輝き、球体の横にグラフが表示される。

「おぉぉ! 超いい感じだよ!」

 少年心が疼くよね!

 やっぱりSFっぽいっていうかさぁ……近未来的機能最高!

 でも……グラフの内容は……近未来とは程遠い感じかも。

「なるほどなぁ。およそ五十代くらいまでか。十代の数はそれなり。年齢が上がるにつれて低下傾向の横ばいってことは……健康面や衛生面で課題があるのかなぁ。う~ん……もっとこの星についての基礎的な知識を獲得しないといけないっぽい。例えば……他種族との争いとかも影響してるのかもしんないし。二十代と三十代の数の推移は戦争の影響を受けて低下傾向を示してる可能性もあるよなぁ」

「ご明察かと」

 ほぅ?

 ロココさんも同じ意見とは! 超心強い!

 ま、いずれにせよもっと裏付けが必要だし。この解釈があってるかはいったん置いておいて。

 基本的神権①で、ヒュム族の現状に関するデータを確認できるってことはわかった。

 うん。やっぱこれ……貴重な力だよ。物事の評価や改善、新たな試みの構想や試行に、このデータを用いることが可能なら……神様業、思い付きや経験知だけに頼らなくて済むし。

 普通なら、アンケートとかの調査票の設計、回答の整理分析とかに、結構な資金や時間がかかる。だから、こうした大規模調査は頻繁にはできないわけだ。

 けど、呪文っぽいのを唱えるだけで最新の情報がわかるなんてさぁ。すごいチートだよね。さすが神様って感じ!

 けど、残念なこともある。

 名前だよ、名前。基本的神権①の名称が無駄に長い件……。

 日常的に使うなら、呼びやすくて分かりやすくいのがいいなぁ。

「ところで、基本的神権①の名称って変更できる?」

「可能です」

「じゃあ、基本的神権①の名称は、世界〇見得(みえ)で!」

「絶妙な○字の使い方……さすがカイト様」

 ロココさんも、ニコヤカに同意してくれた。

 やっぱり、ロココさんの隣はとても居心地がいい。ほっとするよ。






連続投稿って、なぜか達成感あります!


<20210504:セリフ等加筆修正済み>

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