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クリスマス小話(番外編)

今回は完全に関係のない話、というか、IFの話になります。

お嫌いな方は回避お願いします

クリスマスがこの世界にあったとして、サンタが本当に実在したとして、彼が何でも叶えてくれる足長おじさんであったなら。


果たして何を願うだろうか。






ティナの場合


「私は今後一切権力者が介入できない平民至上主義条約」

「平民が至上ってどう考えてもおかしいだろ」

「うるさいわねセリウス。私は平民の平民による平民の為の天上人に脅かされない環境作りを主張してるのよ。権力にはこれっぽっちも興味がないけど、住み分けが必要だと声を大にして言いたいだけなの!」

「住み分けねえ。なら、権力の影響の少ない城下街で働いてる方がよっぽど健全だと思うぞ?」

「そこは、その通りだから言い返す言葉もないわ。就職難に脅かされて、藁をもすがるように得意分野と賃金の高さに釣られたのは否定できない。今でもちょっと後悔してる。だけど思わないじゃない!下働き用に用意された最下層の棟に、やんごとない身分の方が土足であがりこんで来るなんて!こっちじゃなくて、あっちでしょおかしいのは!」

「まぁ、それは仕方ないだろ。チャルチシュヴァラ卿に目をつけられた時点でアウトだしな」

「言わないで!サイコロを振る第一投目から選択肢を間違えていただなんて言われてセリウスは平気なの!?クレアに出会ったのが間違いだとしたら、私の人生ほとんどを否定されてるのと同じよ!認めたらもう立ち上がれない!」

「お、おう、そうか。…ティナ、人ってのはな、若い時はたくさん間違えて、たくさんぶつかって、たくさん苦労するのが人生を幸せにするポイントらしいぞ」

「目先の欲に囚われた短慮な愚者に成り果てても良いから、私は今すぐ目の前の苦労を投げ出したいわ!お願いよサンタさん!どうか民事不介入の条約をこの手に!!」

「無駄だと思うがなー」

「黙って!」







 クレアの場合


「うん?欲しいもの?そだね、今は結構充足してるから別にいらないんだけど、どうしてもっていうなら玩具が欲しいかな」

「玩具かね?」

「そう、玩具。叩いてもなじっても陥れても挫けない不屈の精神を持つ玩具。それなりのリアクションを返してくれる素直なタイプだとなおいいね。叩けば叩くほど立ち向かってくるような、豪傑な玩具が欲しいかな」

「…ふむ。屈折した愛は嫌われるだけだと思うがね」

「まっすぐな愛なんてつまらないよね。ハルだって甘いだけのお菓子なんてすぐに飽きちゃうでしょ?」

「まあ、それは同意だが。…ティナ嬢も大変だな」

「ほんと、面白いよね。ティナって自ら墓を掘るタイプの人間だよね。可愛くて可愛くて、今はティナでお腹一杯だから本当は玩具の追加なんていらないんだよね」

「嫌われない程度に手加減してあげないと蝶はすぐに逃げられてしまうよ。気を付けたまえ」

「最初に思いっきり逃げられたから、ちゃんと所有物の印を付けたよ。もう俺からは逃げれない。」

「そういうのには、もっと優しくて甘美な方法がある。無理やり手枷を付けるようなやり方は感心しないがね」

「ハルが言うと胡散臭さしかないね」

「おや、どうしてだい?」

「誰よりも目的に忠実な自己主義だからじゃない?」

「なんのことやら。まぁ、サンタという人物は善人の元にしか訪れないらしいから、この話は蛇足でしかないな」

「会ったこともない相手に施しを受けるなんて気持ち悪いだけだよね。俺からしたら余計なお世話だって話かな」

「幸せを届ける配達人に、失礼を言ってはいけないな」

「世の中タダほど怖いものはないってね。俺は自分でどうにかするよ」





 セリウスの場合


「俺は自由と権利と時間が欲しい」

「ちょっと強欲じゃない?不老不死と永遠の地位を求めた権力者は過去に全てが破れ去ったわよ」

「じゃあティナが俺の代わりに連日徹夜で事務処理のフルコースだとか、早馬で一日半かかる場所までとんぼ返りでの御使いだとか、スラム街で一か月軟禁生活だとかを強いられてこいよ!マジで泣けるから!」

「それ確か上司の愛でしょ?良かったじゃない愛されて」

「それで言えば、ティナの人生のほとんどはチャルチシュヴァラ卿の愛で埋め尽くされてることになるからな」

「やめて不吉なこと言わないで」

「サイコロ一投目から永遠愛されてるなんてよほどの執着だぞ?しっかり受け止めてやれよ?」

「禍々しすぎて消化不良で胃が死ぬわ。セリウスに譲ります」

「ふざけんなティナ。お前話聞いてなかったのか?俺は上司の面倒で手一杯だって言ってんだよ。これ以上ややこしそうなのを増やすな」

「私だってあんな根っからのサドお断りだってば!」

「ついでにうちの上司も最近ティナに興味持ってるみたいだしな。しばらくこっち来ないように構ってやってくれよ」

「はあ!?ちょっと無茶苦茶言わないでよね!?」

「もともと無茶を言い出したのはティナだろ!?」

「私はただ、あ」

「何か、楽しそうな話をしてるようだね」

「いきゃあああああ!?」

「おわっ!!?」

「俺も聞こえた。ティナの人生のほとんどを俺に捧げてくれてるって?」

「こっちも!!?」

「いやあああああ!?」

「誰が、私の面倒を見てくれてるんだって?そうか、知らない間に世話をかけていたようで、すまなかったね。是非ともお礼をさせて欲しい」

「俺も、見合うだけの愛を返さないといけないね」


「ひいいいいいいいっ!!!」






 ハルの場合


「私かね?そうだね。最近、気に入りのネコがいるんだが、これがなかなか懐いてくれなくてね」

「ネコっすか?イフリートでもグリフォンでもなく?あ、火車とかっすか?」

「いや、普通のネコだよ。伝説級の知り合いなら既に居てね」

「人脈すらヤバい!こっわこっち来ないでこっち見ないで!」

「傍に寄るとすぐに逆毛だって仕方がないんだ。まぁ、そんな健気な抵抗も可愛いんだが」

「わかる。無駄な抵抗なのに必死で可愛いよね」

「ネコ逃げて!超逃げて!!どうしようネコの気持ちがものスゴく分かる!!」

「…………そうだろうな」

「なかなか手に入らないのが逆に面白くてね。どう追い詰めようか楽しみなところなのだよ」

「それネコを愛でるような顔じゃないからね?どっちかというと凶悪犯の顔だからね?きゃあちょっと、こっち向かないでお願い」

「へえ?ハルがそんなに楽しそうなの久しぶりに見たよ。最近特にやさぐれてたしね。良かったじゃない」

「脂の乗りきった狸ばかりを相手にしていたからね。正直疲れも溜まっていた。癒しを求めるのは自然の理だろう」

「………ティナ」

「え?何よそんな深刻な顔して」

「諦めろ。強く生きろよ」

「は?肩ポンじゃないわよ。なんなの急に不吉なこと言わないで」

「この世には抗えない大きな流れってのがあんだよ」

「一体何の話なの?ネコの話じゃなかったの?」

「そうだよ、ネコの話だ。ティナ嬢は安心して早く私に陥落するといい」

「いやだから何のはな…かんらく?」

「ネコが欲しいという話だよ」



果たして彼らにプレゼントは届くのだろうか。

メリークリスマス!



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