2話 女神様がロリババアらしいんだが?
扉の先には真っ白な空間が広がっていて、目の前には美少女が立っていた。
真っ白ながら不健康さを感じさせない肌。
シルバーに輝くロングヘアーからこちらをじっと見つめてくるスカイブルーの瞳。
顔は小さく鼻がツンと高い。
美少女と言ったが、顔の下にある二つの富士山は少女の域をこえるものだった。
妖艶の中に見え隠れする幼さがたまらない。
さて、強調されている富士山を拝むとするか!
「やっやめてください!」
えっ?声にでてたか?
「いいえ、わたしは心を読む事ができます、
女神なので」
あー女神か、駄女神じゃないよな?
「ちがいますっ!私は女神アテナです
貴方は随分冷静ですね」
まあ親父は勇者だからな。
俺は女神アテナにこれまでの事を説明した。
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「勇者真一さんの息子さんだったのですか…でも顔は聖女フィーネ似のような気がする…
まあ、そんな事はどうでもいいです
まず、貴方が此処にいる理由についてです
これは、私が外の世界から来た人達にスキルを与えるのが仕事の女神だからです。」
「ふむふむ」
「そして、そのスキルはスキルルーレットで決定されます
皆さんはチート級のスキルが貰えると思っている方が多いのですがそれを左右するのは運です
また、スキルルーレットは二回回す事ができます
そして、なんと!貴方は勇者真一の息子さんと言うことで期待を込めて、レアスキルルーレットもプレゼントしましょう!」
「レアスキルルーレットってなんだ?」
「古代スキルやEXTRAスキルなどの神々も理解不能なスキルが獲得できる可能性があるルーレットです、ハズレスキルもありますがね」
「おおーまじか、ありがとうございます」
「いえいえ」
そういや親父ってどんなスキルを持ってるんだろう?
「あのー俺の親父はどんなスキルだったんですか?」
「はい、えーと勇者真一は…『早熟+8』と『勇者モード』ですね」
え?なんだよ勇者モードって?チートかよっ!
ん?あと+8ってなんだ?
「アテナさーん、あの早熟の隣の+8って何ですか?」
「アテナさ…はぁ、それはまあレベルみたいなものですね、+10になると、進化するスキルもあるみたいです」
「へ~そうなんだ」
「まあ説明は終わりにして、早速回していきましょう!」
その瞬間目の前に巨大なルーレットと赤色のレバーが現れた。
「おお、でっかいな」
「まあ、スキルは何万個とありますからねー」
恐らくこのルーレットで俺の異世界生活は天国にも地獄にもなるのだろう。
俺は決心してレバーを引き下げた。
ゴロゴロ ゴロゴロ ゴロゴロ
数十秒してゆっくりとルーレットは止まった。
俺は食いつくように針の先を見つめた。
そこには、『AI+6』と書いてあった。
「すごいです!おめでとうございます、これはユニークスキルといって所有者が一人だけのスキルなんです。その中でもこの『AI+6』は有能で、まあGogle先生みたいなものですね。
+6もあるので、生物のステータス位、読み取れるかもしれません」
「へぇ~そうなんだ、じゃあ二回目引くね」
「えっ?あっはい(こんなにいいスキルがでて喜ばないなんて…)」
Gogle先生も良いけど、俺はもっとカッコいいヤツがいいんだよね。
内心そう思いながら、俺は二回目のルーレットを回す。
ゴロゴロ ゴロゴロ ゴロゴロ
数十秒後ルーレットが止まる。
俺は針の先を目で追って確かめた。
針の先に書いてあった文字は、『オーラ+5』
おっ!良さげじゃないか?
そんな事を思っていると、アテナさんが声をあげる。
「おおー『オーラ+5』ですか、これはまあまあですね」
「これは珍しくないのか?」
「ユニークほどではないです
地上では、千人に一人とかでこのスキルを持ってますね、でも大抵が+2で習得を諦めてしまう位には使い方が難しいスキルで、体内の魔力を微量使用して、オーラを発動させて体に纏わせたり、武器などを具現化したりできます」
「えっスーパー○イヤ人的な事もできるの?」
「あーそれくらいですと、+8は必要ですね」
「へえ~」
よっしゃ!これを極めよう。
「では、次はレアスキルルーレットですね!
これは200年ぶりで緊張します!」
え?200?アテナさんは一体何歳なんだ?
ロリババアってやつなのか?
アテナさんをちらっと見ると、どす黒いオーラが見えたような気がした。
そんな事を考えていると、目の前には既に黄金のスロット機?があった。
スロット機は巨大で、目の前には黄金のレバーがあった。
俺は物欲センサーに引っ掛からないように無言でレバーを引き下げた。
ゴロゴロ ゴロゴロ ゴロゴロ
ゴロゴロ ゴロゴロ ゴロゴロ
長い。
もう数分は経っている。
だが、初めほどの勢いはなく、何となくもう止まる気がした。
そして数十秒後ルーレットが止まった。
その瞬間、真っ白な空間が黄金の光でいっぱいになった。
「んっっ!」
あっアテナさんが光にビックリして可愛い声をだしてる!
やがて光は消えた。
おれは恐る恐る目を開き、スロット機に写し出された文字を読む。
『テスカトリポカ+12』
なんだ?この名前からはどんなスキルか全く予想できない。
訳が分からなくなり、アテナさんに目をやる。
「えっ…………でもこれって」
そう言ってアテナさんは黙りこんでしまった。
何となくふざけていい場面ではないことは理解した。
しかし、新しいスキルが何なのか知りたくて、アテナさんに質問する。
「あのー『テスカトリポカ+12』ってどんなスキル何ですか?」
「……………」
「おーい、もしもしー」
アテナさんは黙りこんだまま動かない。
「ちょっと、きいてる??」
俺はしびれを切らしてアテナさんの体を揺さぶった。
「っあ…ごめんなさい、ちょっと考えていただけだから」
やっと気が付いた。
「で、この『テスカトリポカ+12』ってどんなスキルなんだ?」
アテナさんは少しの間うつむき、そして喋りはじめた。
「そのスキルは我々、神の反逆者 創造と悪魔の神≪テスカトトリポカ≫の所有していたスキルよ、しかも+値が限界を超えているなんて…」
おおー何か結構ヤバイっぽいな。
神の能力って何なんだ?
でも反逆って何をしたんだ?
「その神は何をしたんですか?」
「他の神々を殺して頂点に君臨しようとしとのよ…でも、他の神と協力してギリギリ倒すことができた…そんな化け物なのよ…
だから、貴方は間違っても神に反逆行為なんてしないで…」
いやいや、神に喧嘩なんて売れないでしょ
「そんなことしませんよ、俺はなるべく悪いことしない様にしますよ!」
「分かりました、貴方を信じます
もうすぐ貴方は、私達の世界に転送されます
多分、もう会うことはないと思います
おげんきで!!」
体がだんだん軽くなっていく。
俺は転送されるのを、肌で感じとる。
転送する前にお礼が言いたい。
力が入らない唇をむりに動かして叫ぶ。
「アテナさんっ、本当に、本当に、ありがとう
俺、頑張りますからーーっ」
そして、意識を失う。
最後に見たアテナさんは今まで見た女性の中で一番美しいと思った。