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1話 親父は勇者らしいんだが?

真っ白な空間に突然現れた両親は、ニコニコとこちらに笑みを浮かべて立っている。

不可解な状況過ぎて言葉もでない。

いや、喋れないのだ。

意識はあるのに体は動かない。

両親を目の前にして、何も喋れないのだ。



何故家に戻って来ないのか。



どうやって通帳に入っているお金を稼いだのか。



そして……二人は一体………




色々な疑問が再び浮かんでいく。

怒りや悲しみなどの感情が混ざりあって複雑な感情だ。

すると、それに答えるように両親が喋り出す。


「久しぶりだな亮太」

「元気にしてた?彼女は出来たのかしら?」



…………元気だよ

答えようとするがやはり口は開かない。



「今俺たちを見ているということは、俺たちが出ていってから少なくとも一年は経っているのだろう。」


ああ…もう二年も経ったよ。

声は出ないが心の中で必死に答え返す。



「今まで、亮太には俺たちの事をあまり話さなかったと思う。でも、今話そうと思う。」

「驚かないで聞いてね。」


親父と母さんは真剣な眼差しで、こちらを見つめる。


「実はな、俺の職業は………」


緊張に包まれた空間から一つの言葉が紡ぎ出される。


「勇者なんだ!」


は?ナニイッテンノコノジジイ


「この家には、地下室があるだろう。 一見物置のようだが、タンスをずらすと石の扉がある。それを開けると異世界に行くことが出きるんだ。」


えっ?異世界?ラノベとかのやつか?チートできるやつか?


「ママとは、異世界で出会ったんだ。魔王討伐の時に仲良くなって、そして結婚した。」

「うふふ 懐かしいわね」

「そしてママは聖女だ。異世界の国、エルキシーヌ王国の出身だ。」


よく分からないがつまり母さんは異世界人で、俺はそのハーフということか。

ん?待てよ「魔王討伐」??

魔王がいるのか?


現代では理解出来ない今の状況で二人の話をだんだんと理解していく。


⚫父は勇者、母は聖女様


⚫俺は異世界人のハーフ


⚫魔王がいる



だが、話にはまだ続きがあった。


「そして今から再び俺たちは魔王討伐に行くことになる。」


えっ?もう魔王は討伐したんじゃないのかよ。


「俺たちはかつて魔王を討伐した。しかし魔王には娘がいた。その魔王の娘が再び魔物や魔族と共に人々の村をおそっているらしい。

今は冒険者や騎士団とかで魔物を積極的に討伐しているらしいが死者が増え、結構厳しいらしい。だから俺たち二人が戻って魔王を討伐することになった。……でも今これを見ているということは俺たちが死んでる可能性が高い。

だけど寂しがるんじゃないぞ!

こんな事、伝えたく無かったけどもう会えるかも分からない。恐らく俺たちが負けても他のやつらがきっと魔王を倒してくれていると思う。

こっちの世界は危険だ。魔物もいるし盗賊もいる。

お前位の年齢だと異世界に憧れたりするだろ?

魔法の才能とかもあるかもだしな!」


「そうよ!勇者と私の子供ですからね!!」



そうしてだんだん二人の姿が曇っていく。











◇ ◇ ◇




少しずつ意識が覚醒していくのが分かる。

両親が言った言葉も鮮明に覚えている。


「クソッ どうすればいいんだよ!」


体を起こしてこれからどうするか考える。

親父と母さんは既に死んでるかも知れないっていってたな……

でもまだそうと決まった訳ではない。

俺は異世界に行く。

そして、親父と母さんに再び会ってに二、三発ぶっ叩いてやる。


「よっしゃ やってやるよ!!」


そう決意してからの行動は早かった。

まず高校の体操服に着替える。

これは単に動き易いからだ。

大きめのリュックサックにどんどん荷物を積み込んでいく。


・ライター ×1

・500mlの水×2

・タオル×1

・ナイフ×1

・みかんの缶詰×1

・胡椒の袋×1


なぜ胡椒を持って行くかって?

分かるだろ?

異世界では胡椒は貴重品だからだよ!(多分)

リュックサックを背負って俺は自分の部屋から出る。

急いで階段を下り、地下室に到着する。


「タンスはーー?っあれか」


俺は一番奥にあったタンスを見つける。

タンスに手をかけ、ゆっくりずらしていく。

ん?以外と重い。

一気に行くか。

せーのー


「ふふぁああっっっっ」


あら失礼。

みっともない声が出てしまいましたね。

しかしそのおかげかタンスをずらす事に成功した。


「うわ…マジか」


タンスをどかして現れた扉は想像を絶する中二病感溢れるものだった。

所々苔が生えた石の扉。

約二メートルと言った所だろうか?

扉全体にアラビア語??的な文字が刻まれている。

これは押戸か引き戸か分かんないぜ。


「ふう…」


俺は一度深呼吸をしてから扉に手を触れる。

うん、押戸だった。

扉は以外と簡単に開いた。

そして、緊張で手汗で濡れた手をしっかり握りしめて異世界生活への一歩を踏み出した。



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