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~プロローグ~

 ある日、大石悠真おおいしゆうまは考えた。

「そうだ。2つの世界をつなげてやればいいのではないだろうか?そうすれば、世界は楽しくなる。この退屈な日々に終止符が打てる」と。

 それが、ユウマの考え出した結論だった。


「世界は退屈でたまらない。退屈で退屈でたまらない。では、いかにすれば、この退屈な世界をおもしろくできるのだろうか?」

 毎日毎日、それについて考え続けた。何をしている時も、心の中はその問いについての解答でいっぱいだった。心の中も、頭の中もいっぱいだった。

 無数の解答を検討し、ついに導き出した結論が、このようなものだった。

 “2つの世界をつなげてみせよう。こちらの世界と向こう側の世界と”


 こちらの世界とは、すなわち、この現実の世界である。

 人々は、日々あくせくと働き回り、機械文明に支配された世界。誰もが、携帯電話やスマートフォンを手にし、パソコンやテレビの画面をのぞき込む。そんな毎日が繰り返される世界。


 向こう側の世界とは、それとは対極に位置する世界。

 機械とは無縁。代わりに、魔法文明が発達している。誰もが、その恩恵を受けて暮らしているわけではないが、数多くの強力な魔導師が存在し、凶悪無比なモンスターが闊歩かっぽする。一般市民も、少なからずその影響を受けながら生きている。そのような世界だ。


 ユウマは、向こう側の世界で能力を極め、世界を滅ぼすほどの力を手にした。

 だが、実際にその力を行使することなく、向こう側の世界を後にしたのだった。

「能力は手に入れるだけでいい。身につけさえすれば、それで満足。手に入れた能力を使う必要はない。特に、世界を滅ぼすほどの大きな力など…」

 そう言って、向こう側の世界を去り、新しい世界へと旅立ったのだった。


 ユウマは、常に退屈を感じていた。

 何をしていても、誰と会っていても、いつも心は欠けたままだった。

「何かが足りない。これは、ほんとの人生じゃない。ほんとの人生は、どこか別にある」

 いつもいつもそう思いながら生きていた。たった1つ…唯一の例外を除いて。

 その例外とは、1人の女性だった。彼女は世界を守るために戦った。1人の男が滅ぼそうとする世界を守ろうと、必死になって戦い続けた。おかげで世界は滅ぶこともなく、平和な時代が訪れた。


 けれども、それは同時に衰退の始まりでもあった。

 安定し平和な世界というのは、退屈でもあるのだ。平和は何も生み出さない。進歩の促進を止める。

 そんな世界に飽きたユウマは、こちらの世界にやって来たというわけだ。いや、正確には“戻ってきた”だろうか?

 いずれにしても、大石悠真は、今、こちらの世界にいる。こちらの世界にいて、別の世界への扉を開こうとしている。

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