これは、幻覚樹の子です。
『食べられないと言われているけれど、実は食べられるキノコ』が世界にはあるらしい。
それを探したいですぅ。
『食べられるかわからないけれど、食べられるかもしれないキノコ』と間違わないようにしないといけない。
大変なことになるで~す!
「そのきのこは、赤いで~す」と彼女が言えば、
「本当は、白いですぅ」と彼が言う。
間違えたら、それこそ危ない、危ない、あ・ぶ・な・い。
「となりの垣根はたかいで~す」
そのキノコを手に入れるには、乗り越えなくてはいけない垣根。
「ただしくは、となりの花は赤いですぅ」
隣の家に生えているキノコは、自分のうちのキノコよりも立派に見えてしまう、不思議!
「朱に染まれば、みんな赤くなるですぅ」
みんな同じになれば、気にしなくなって、みんな幸せになる。
白いキノコも赤くなる。
「ただしくは、朱に交われば……いや、なんでもないで~す」
話題について行けないけどね。むしろ、ついていく気が、無い。
もう、いっそうのこと、何も考えず染まってしまおうか?
「早速、赤くなったですぅ」
「本当は、白いで~す」
間違えちゃいけない、物事の本当の姿、真実のす・が・た。
「あははははで~す」と彼が言えば、
「あははははですぅ」と彼女が言う。
ああははははは。
ああははははは。
それは、ひとりで、笑い続けている。