12 僕は女の子の気持ちがわからない!
「ごほんっ! あ〜感動の再会? の最中に悪いけど〜」
僕達を眺めていた藤咲さんが低い声を出して笑いながら僕達の間に入ってきた。
「た、たかちゃん⁉︎」
立花さんは顔を真っ赤に染めて僕のそばからぱっと離れた。
「えっ⁉︎ ……あ、あれ? ど、どうしたの? 藤咲さん」
「ふふふっ……」
微笑みながら僕の肩を触ってくる。
「な、何? ……あ、いただ⁉︎ い、痛い痛い!」
いや違った。つねってきた⁉︎
「き、凶暴な女で悪かったわね〜‼︎ そ・れ・と、私をほっといて何勝手に二人の世界に入ってるのかなぁ〜」
「た、たかちゃん⁉︎ ご、ごめんなさい! で、でも、誤解……」
「あかちゃんは悪くないのよ。悪いのは目の前にいる浮気性のこの男の人よ⁉︎」
「な、なん……いっ⁉︎ 痛い痛い⁉︎ つねらないで!」
「た、たかちゃん!」
立花さんが間に入ってくれたおかげで藤咲さんはようやくストップする。
「うぅ〜、いたたっ……本当にどうして昔からそんなに暴力的なの⁉︎」
「ふんっ! 私の方が痛かったわよ! 」
「え? 何が痛かったの? 痛いって言われても意味が分からない⁉︎ 僕、何もしてないでしょ⁉︎」
僕の言葉を聞いた藤咲さんは顔を真っ赤にして身体を震わせている。
「し、俊一君⁉︎」
「え? 何? 立花さん」
何故か立花さんは信じられないといった表情をして僕に声をかけてきた。
(な、何でそんな顔をしてるの?)
「し……俊一君の馬鹿!」
すると、藤咲さんはいきなり大声を出して僕を怒鳴りつけるとさっさと屋上を後にした。
「えっ⁉︎……」
「わ、私も悪かったんだけど、今のは俊君が悪いと思うよ!」
「へ? どうして?」
立花さんは僕の言葉を聞いて困った顔をしている。
ざわざわざわ……校庭が騒がしくなってきた。どうやら生徒達が登校してきたようだ。
「と、とにかく! 後でたかちゃんに謝ったほうがいいと思う! それじゃあ、俊君また後で!」
笑顔で手を振り立花さんも屋上を後にした。
………………。
「俊君また後で……って、う、うおぉーーーか、可愛いい〜〜! もう、最高です‼︎」
思わず大声で叫んでしまった。それぐらいにさっきの出来事はこれからの僕の未来に期待を持たせてくれた。
……と、携帯の着信音が流れた。
液晶に写し出されている番号は僕の知らない番号だった。