2014年04月01日 最終回です
――白馬に乗った王子様!
その姿を目の当たりにした瞬間、聖女ミスリア・ノイラートは戦慄した。
輝かしい純白の毛並みをした立派な馬の眉間の上には一本の透明な角が生えている。神秘的な光を秘めたつぶらな瞳、流れるような艶やかなたてがみと尾。
対して白馬の乗り手の男性は褐色肌に濃い茶色の髪、紺色のマントに黒いズボンとブーツ、と全体的に暗い外見をしていた。
そして、馬上から見下ろす藍色の瞳には威圧的な凄みが絶えず冴え渡っている。
「残念だったな。真実に先に辿り着けたのは、私だ」
「オルトファキテ王子殿下……!? ではまさか、その白馬は!」
角が生来の一般的な馬には生えていないはずのものだ。そんな特異性を包み込める答えとしては、目の前の馬が魔物であるというのがもっともらしいが、王子の不敵な笑みは全く別の可能性を仄めかしていた。
「語り継がれてきた伝説と現在の状況には差異があった。現代の聖獣は爬虫類ではなく、馬の姿を取っていたのだ」
「そんなことがあるはず――」
ミスリアの驚愕の叫びを、王子が自信満々に遮った。
「暴れ馬だろうが聖獣だろうが、この私にかかればどんな馬も意のままに制御できる。もはやお前たちの大願は叶わない」
「オルト」
そんな王子とミスリアの間に踏み込んだのは、ゲズゥ・スディルだ。彼は既に大剣を構えている。
「私も鬼ではない。お前たちが私に平伏せば、このユニコーンの霊力を世界を救う為に使わせてやってもいいぞ」
「…………」
ゲズゥはかつての悪友を睨むだけで何も言い返さない。
これで王子の背後の丘に大軍が控えていなければ、すぐにでも斬りかかりたい気分なのだろう。或いは彼なら千や二千の兵士ぐらい相手にできるかもしれない。
しかもこれまでの旅で得てきた味方達が背後についてきている。この場所に追いつくまでに二十分もあれば十分だろう。勝機は皆無では無かった。
その上で、穏便にことを解決できるならばそれに越したことは無いと、ミスリアは頑なに信じている。
「わかりました。大義の為、私は覚悟を決めた身です。大陸と人類の未来を守れるなら、貴方の前で額を地に擦ることも厭いません」
「本気か」
ゲズゥは肩越しに訝しげに問いかけてきた。
「大丈夫です。すみません」
「ついでだ、ゲズゥ。お前も平伏してみろ」
王子はさも楽しそうに命じる。
「断る。俺はお前の交換条件など信用しない」
「聖女は信じるそうだぞ。付き合ってやらないのか」
「…………」
「お願いします、王子殿下」
そう言ってミスリアは白装束を丁寧に撫でおろし、まずは地に膝をついた。次に両手の指先を揃え、最後に頭を下げる。
隣でゲズゥが舌打ちした。ガシャ、と装備が揺らされる音と共に、彼も膝をついた。
平伏すまでとはいかなくても、跪いている。それが精一杯の譲歩らしい。
数秒か或いは数分の沈黙が訪れた。
それを、女性の高笑いが破る。
「はーっはっはっはっは! 貴様らが殿下に平伏したところで人類が救われるはずがないだろう! その馬はただの魔物だ!」
オルトファキテ王子の配下の一人、元騎士のシューリマ・セェレテだ。
ミスリアが顔を上げれば、王子の口の片端だけを吊り上げた歪な笑みに迎えられた。
「本物の聖獣はこの先に眠っている。だが簡単に通しはせんぞ。何故こんな真似をするのかと問うなら、答えは、此処でお前たちの邪魔をするのが面白そうだったからだ」
「オルト、それは宣戦布告か」
ゲズゥはいつの間にか再び立ち上がって剣を構えている。
「そういうことだ。聖女ミスリア・ノイラート、並びにゲズゥ・スディル! 今すぐにここで殿下の軍門に降れ! そもなくば、死ね!」
「どちらもお断りです!」
シューリマの叫び声に、ミスリアも叫びを返した。
かくして、世界の命運を左右しかねい大規模な戦争が始まった。
END
------------Just Kidding!
四月馬鹿イベントを一度でいいからやってみたかったのです。
それでえびと話をしてる内に白馬の王子JKエンドに辿り着いて、よしそれで行こう!ってことにw
すいません。ほんとすいません。白馬の王子様という概念で遊びたかっただけなんですすいません。
オルト勢力は悪ノリを実力でごり押しできるので性質が悪いです<だから私は大好き。
勿論このJKエンドは100%のJKで出来ていて実際の結末とは何ら関連性はありません。あしからず。
今まで出会った仲間全員と何故か最後の方で合流して盛り上がらせるのって憧れる一方で、この物語ではやっちゃいかんよなぁ、と思ってます。なぜならこういう魔法も電子機器も無い世界観ではコミュニケーションは容易ではなく、広い範囲を旅してる途中で一度出逢った人とはそう簡単に再会できないからです。余談でした。




