02 転ぶ時は要注意
目に留まらないような石につまづいて、ミスリアは前へと盛大に転んだ。
「きゃあっ」
咄嗟に両手を出したので、何とか顔から草の中へ突っ込むのだけは免れた。サッと上体を起こし、地面に座り込んだ形になった。
「み、見てませんよね?」
ワンピースの後ろを手で覆い隠した。既に見られたとしたらまったく無意味な行動だが、やらずにはいられない。
「うん、大丈夫」
カイルがいつも通りの笑顔を浮かべたので、ミスリアは胸を撫で下ろした。
もしかしたら気を休めるためにそう言ってるのかもしれないけど、そうだとしてもその心遣いは受け取っておきたい。
「……白か。些か面白みに欠けるな」
少し離れて二人の後ろを歩いていたゲズゥが淡々と述べた感想に、カイルが噴き出した。
「面白みって……十四歳の聖女のパンツに君は何を求めてるんだい。まぁ、何歳だろうと教団の規定は白だったはずだ。地味でしょうがないよ」
つまり他を知らないというか習慣なんだろう、とも暗に言っているようだった。実際にそうなのだけど。
ミスリアは頬がみるみる熱くなるのを感じた。二人ともひどい。
「やっぱり見たんじゃないですか!」
男性陣が押し黙る。
歩きやすさを重視して、膝丈のワンピースにしたのが間違いだった。聖女のあの白い制服なら、転んでも容易に見られないような長さなのに。
(もうちょっとかわいい下着に挑戦――じゃなくて、二度と短いスカートなんてはかないっ!)
ミスリアは心の中で固く誓った。