私を呼ぶ声
________星。
知らない声が私を呼ぶ。
伸ばされる腕が暗闇となり、私の世界を覆い隠す。
『…助けて。』
___怖い。
怖くて堪らないのに、助けて欲しいのに、私の腕は、身体は、動いてくれない。
闇に覆われて蹲れば、次第に呼吸さえも上手くできなくなってきて…。
身体は震え止まず、益々苦しくなって必死に息をする。
何かにすがりたくても伸ばせない自らの腕で温もりを得た。
______星。
次に聞こえた声にハッとなる。
何度も自分の名前を呼ぶその声は、よく知っているはずなのに、今は頭に霧がかかっているかの様にちゃんと思い出せない。
でも、その人の声を聞くと安心できる自分がいた。
忘れかけていた自分を取り戻せる。
呼ばれた声にハッとした瞬間、肺に一気に空気が入る。
呼吸も落ち着き始める。
誰も側にいないはずなのに、誰かの温もりを感じて、心が救われた。
そう、私はこの声を知っている。
何度でも私をこの暗闇から救い出してくれる。
光が閉ざされた世界に、光を戻してくれるのだ。
________星!
また別の声が私を呼ぶ。
これは…誰だっけ?
____星!__星!
一人ではない、複数の声…?
…どうして私を呼ぶの?
私は…、
『この声を知ってる。』
ちゃんと、分かるよ。
名前を呼ぼうと口を開く。
声を出そうとすると共に、私の意識もこの声に吸い寄せられていった。
星の目覚める前を書いてみました。
意識のなかって書きにくかったwww
次話からは、再び星目線で書き進める予定です。
目覚めてからの星と桜竜幹部の動向をお楽しみに!
ここまで読んでいただきありがとうございました。