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3/3

野犬の孤独

 


 プロジェクトとはすでに確立していて、何年も前に宮崎由紀子という女生徒がつくったという。


 ―――――東京オカルトプロジェクト。


  1


「悪いが、俺は乗らねぇ」

 単に面倒くさいだけじゃない、束縛されるのが嫌だった。俺の場合、飼われるって言うべきなんだろうな。

「表向きは人助けとして、本質は邪魔なものを排除する駒というところか」

 続けて、雨宮が抵抗を諦めたように席に座る。

 彼女はニャっと口元を歪ませ、俺にサブマシンガンを向けた。

「キミは少し喋り過ぎだよっ」

 クールだ、と自称される彼女の姿はそこにはなかった。

 俺に向けていた銃が振るえ、図星を突かれたのが気にくわなかったのだろう。

「犬は感が鋭くて、用心深い。ムキになったら、足元すくわれるぞ」

 雨宮は"虎の威をかる狐"のように、忠告した。


『冗談じゃねぇ!!俺は飼われねぇよ』


 ぷつん、と俺の中で何かがキレた。

 俺は岩崎を突き飛ばして、部屋を出た。階段を一回まで降りて、クラブ等をでて、とにかく走った。

 いや、逃げた。

「よっ」

 途中で声をかかられようとも、今は逃げることに夢中で、視界に入ってくることはなかった。


 はぁ……はぁ、はぁ。


 息切れして、廊下に倒れこんだ。ずいぶん走った気がする。


  2


「あーあ。腕の骨イっちゃってるね」

 右腕が垂れ下がって、動かなくなっていた。生身の人間なら、泣き喚いてるだろうに、至って平然とする岩崎はもう片方の腕を軸に立ち上がった。

「大丈夫、彼はきっと必要とするはずだから。狗ゆえに自由を求める。でも、馬鹿だから野犬の末路を知らない」

 

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