薄暗い地下道で
夜、私は仕事仲間の川島と帰宅のため駅へ向かっていた。
会社から駅に向かうには地下道を通るのが近道だ。
もう時間も遅いせいか、地下道の人通りは少なかった。
「ぎゃははは!」
通路に響く大声。この通路を縄張りとしている若い男たちが騒いでいるのだ。
「あいつら、いつもうるさいんだよ。少しは人の迷惑を考えろ」
川島は舌打ちをしている。
気づかいの上手な彼にとって、不良の集団は気にさわるのだろう。
「普通の人間は怖がるってのは分からないんだろ」
私はとりあえず話を合わせた。
どうせ駅について電車で帰宅すれば忘れてしまう、ささいな話だ。
それでも川島のいら立ちは消えない。
「あいつら、いっぺん怖い目に合わせてやろうか」
川島はスマホを取り出した。
「あ、角田? ちょっと協力して欲しいんだけどさ‥」
彼は知人である角田を呼び出す。
私も彼のことは知っていた。妙に芝居っ気がある奴だ。
「あいつら気に入らないからさ、俺がお前に殺されるドッキリしかけようぜ。どうせ全員酔っぱらっているから警察に通報しても本気にされないだろ?」
「面白そうだな」
角田はすぐ同調して私たちと合流した。
川島は角田の持って来た血のりを頭にぬる。
「お前は頭をなぐるふりをしろよ」
川島のリアルな流血具合に私は気分が悪くなってきた。
2人から少し距離を取り出す。
「怖がらせるんだったらさ、こっちもいいと思うんだけど」
角田が何か薬剤を出す。
「このジェルを塗れば、火であぶってもやけどしないんだぜ」
川島もそくざにのった。
「いいな、俺が倒れた後でさ、お前これ塗って火を点けろよ。身元を隠すために顔を焼こうとしているって思うぜ、あいつら」
さすがに私もやりすぎだと思い始めた。
失敗したら川島は重傷を負う。
成功しても警察沙汰になる。
「や、やめとけよ」
声をかけながらも私はじりじり後方に下がった。
川島と角田は不良グループから見える位置につき、口論を始める。
「昔からぶっ殺してやるって思ってたんだよ!」
「おー? じゃあやってみろよこの野郎!」
ちょっと大げさすぎるが、2人の怒声にさすがの不良たちも気がついた。
そしてバールを振りかざす角田。
倒れる川島。不良の方に血のりがついた面をしっかり見せて。
そんな川島の顔にジェルを塗り火を点ける角田。
さすがの不良たちも「何やってんだよ、おっさんたち!」と騒ぎ出す。
私はふと気がついた。
これはどこで終わりにするのだろう?
周りには私たちと不良の他誰もいないが、もし警察が来てしまったらマズい。
「もういいだろう」
離れた場所から声をかける。
それに応じて角田が川島を揺さぶった。
しかし‥川島は動かない。
角田の額に汗がにじみ出す。
(な、まさか?)
私の脳裏に最悪の想像が浮かんだ。
角田が私に向かって口を動かす。
「どうしよう‥死んでる」
大分離れているので声はかすれているが、彼が何を言っているかは理解できてしまう。
恐怖で私はパニックにおちいった。
(このままでは角田が殺人犯になってしまう?)
不良たちが通報すればすぐ警察が来る。
そして角田の財布には川島の話を了承した時に受け取った3万円が。
そこには指紋がばっちりついている。
強盗殺人になったら重罪だ。
そして初めから一緒にいた私も罪に問われるんじゃないか?
(いや、不良たちからは私は見えない位置にいた。今逃げれば逃げ切れるはず)
冷静に考えれば愚かな判断だろう。
しかしその時の私はまったく冷静ではない。
角田も川島も置き去りにして、私はその場から走り去った。
私は足早に駅へ入る。
いつもはすぐ来る山手線が夜遅いせいか全然来ない。
やっとホームに現われた列車に飛び乗り、恐怖から離れられたことにホッとする私だったが‥
スマホから着信音が。
あわてるあまり誰からなのかも確認しないまま出た私の耳に聞こえたのは‥
「テッテレー!」
川島のやたら良い声だった。
私は脱力してその場にへたりこむ‥
***
ってな夢を見たんですよ。物語にするため多少は盛りましたが、だいたいこんな。
ああ、超こわかった~
変な姿勢で寝ちゃダメですね☆
オチがや団さんのネタみたいですが、夢の中なのでお目こぼしを‥
夢なのでキャスティングが豪華です。川島は麒麟の川島さんで、角田が東京03の角田さんです。




