潜む者達と動き出す者達②
「成る程ね。
ディンエさんの予想が当たるのか否かは分からない。
だけど……【虹を見たい者達】の動くタイミングが良すぎる気がする。
僕の予想では……
ディンエさんサイドに【虹を見たい者達】のスパイが紛れ込んでいる。もしくは……
【貨幣の騎士】達が、ディンエさんサイドの動きを、ある程度、【虹を見たい者達】に共有している。
そのどちらかだと思う。
ただ……もし、【貨幣の騎士】達が、ディンエさんサイドの動きを、ある程度、【虹を見たい者達】に共有していた場合……それについて文句を言うのは愚策だろうね。
理由は、【貨幣の騎士】が、管理者への自分達が協力する内容は……【虹を見たい者達】が核兵器を使って、水蒸気層を落とし、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を、マナの無い世界にしないように誘導する事だけだからだ。
その為に、【虹を見たい者達】の信頼を得るような言動を取っても問題無いし……
その言動が……ディンエさんサイドにとって不利益な事であったとしても文句を言えない。
それと……【貨幣の騎士】は、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開いた世界にする事への協力については何も言及していない。
だから、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開いた世界が閉じた世界のままであるように動いていたとしても……管理者との約束を違えた事にはならない。
この事は……絶対に忘れてはいけないし、
管理者へも、同じ認識なのか否かについて、再度、確認して欲しいところかな。
そんでもって、こういう状況だからこそ、
僕達のステルス作戦については、【虹を見たい者達】だけでなく、【貨幣の騎士】にも悟らせてはいけない。
でっ。その為には……
【オピオタウロスの荷車】や、ベシアセ連邦のカンガさん。カリーナ帝国のサイアン辺境伯等、
これから、ディンエさんサイドの主要メンバーになるであろう人達に対しての情報共有についても、
必ず、作戦完了後の事後報告にしなければならないと思う。
そんでもって、その事を、ディンエさん達だけでなく……
ディンエさんから、僕達のステルス作戦を知っている人達に対しても、再度、周知徹底して貰う必要もあるだろうね。」
「了解したでございまする。
直ぐに、サルクル殿のご見解と意向をディンエ殿に伝えるでございまする。」
レイヒト君は、そう言うとタブレットPCを動かし始めた。
◇◇◇
「ねぇ……パパ……
そんなに、何度も確認をしなくても、ディンエさん達だって、ステルス作戦の重要性は分かってると思うよ?
てか……ナーバスになりすぎてない?」
嫁が、苦笑いしながら僕を見ている。
「実は、これも……作戦の1つだよ。
いくら気をつけてくれていても……絶対は無い。
だからこそ、もし、僕達のステルス作戦が、【虹を見たい者達】や【貨幣の騎士】に伝わった場合……
僕達が、【虹を見たい者達】にビビって、ナーバスになっている。って言う話とセットで伝わって欲しいんだよ。
そうする事で、僕達の戦力を過小評価して貰える。
そんでもって、僕達の戦力を過小評価して貰えれば、貰えれる程、僕達のステルス作戦を阻止する為に投入される戦力が減る筈だ。
でっ。もし、そうなれば……
たとえ、僕達のステルス作戦を【虹を見たい者達】や【貨幣の騎士】に知られていたとしても、
僕達が、僕達のステルス作戦を阻止する為に投入された部隊を返り討ちにして、ステルス作戦を成功させる事が確率が上がる。
その為の種蒔きでもあるんだ。
それと……僕が、しつこい程、ステルス作戦についての確認や要請を、管理者を巻き込んでディンエさんにするのには、もう1つ大きな理由がある。
まず、僕達は……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開いた時点で、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)から離れる事になる。
だけど……ディンエさん達は?
【虹を見たい者達】の主要メンバーが、管理者が送り込んでくれた部隊に殲滅されたとしても、多分……【虹を見たい者達】の残党は、ディンエさん達に反発を続けると思う。
それに……貨幣の騎士】達との、いざこざもピタリと止まる事は無いと思う。
そして……僕達のステルス作戦は、ディンエさんの上司である管理者が責任者となっている作戦だとはいえ……
蚊帳の外にされた、【オピオタウロスの荷車】や、ベシアセ連邦のカンガさん。カリーナ帝国のサイアン辺境伯等、ディンエさんサイドの主要メンバーになる人達に取っては面白くない話だとも思う。
だからこそ、僕達が、何度も、管理者を巻き込んで、ステルス作戦をディンエさんサイドの関係者への共有を不可を要請し、
管理者が、その要請を受け入れた。と言う既成事実も必要なんだ。
そうする事で、ディンエさんだけでなく、ヤスズミさん達やイノカワ君やレヤちゃん。トスン連邦の人達が、
後々、蚊帳の外にしてしまった、【オピオタウロスの荷車】や、ベシアセ連邦のカンガさん。カリーナ帝国のサイアン辺境伯等、ディンエさんサイドの主要メンバーになるべく人達に対して、
『あの時は……黙っておくしかなかったんだ。』
と言う、言い訳をする為のネタの提供でもあるんだよ。
まぁ……他にも、理由はあるけれど……
これが、僕が……ステルス作戦に拘る理由かな。」
「へ~。
サルクルさんは……ウチ達が、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を去った後の事まで考えた上で、色々と言ってはったんや……
正直……この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を開いた世界にした後の事までは……責任を持たへん。
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に残りはる。って決めた人を含めた、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の人達で何とかしはれば良え。
ちゅう考えを持たはった、無責任な人や。と思ってた。
なんか……見直したわ。」
プグナコちゃんが、尊敬の眼差しで僕を見てくる。
◇◇◇
「プグナコちゃん……甘いわね。
わたし達は、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を含めた、パラレル ワールドを含む、世界の根幹を揺るがすような事件が起きた場合……
管理者から、特殊部隊の一員として駆り出される事が決定してるのを忘れたのかな?
そして、パパは……働くのが大嫌い。
だから、パパは……
わたし達が、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を去っても、ディンエさん達が、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を治められやすくする為の布石作りを一生懸命している。
ただ、それだけの事よ。」
嫁が、そう言いながら、プグナコちゃんの肩をポンポンと叩く。
「鋭いね。
【オピオタウロスの荷車】は、大丈夫だと信じたいところだけど……
僕達が、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)を去った【貨幣の騎士】が……第二の【虹を見たい者達】とかになっちゃったら……最悪だものね。
まぁ……そうなった時は……腹を括るしかないのだろうけどさぁ……
僕達の存在を知られていないのがベスト。
それが無理でも、僕達の顔が割れていなければなんとでもなる。
そんでもって、僕の異能だけでも知られていなければ……何とかする事が出来る。と……思う。
だからこそ……僕達の事を知る人を……これ以上、増やしたくはない。
これも……僕がステルス作戦に拘る理由の1つかな。」
「理由の1つね……
パパが、ステルス作戦に拘る本当の理由は……今、パパが言った理由でしょ?」
嫁が、ジト目で僕を見てくる。
「失礼な。
少なくとも、バフ◯リンの……優しさぐらいの比率だよ。」
「ハイハイ。
そう言う事にしといてあげよう。」
嫁が、ジト目で僕を見続けている。
「それが、本当でも……半分は偽善やん。
ウチの感動を返せ。」
プグナコちゃんが、頬を膨らませながら、抗議してくる。
「やらない偽善よりも……やる偽善。
理由は、どうであれ、僕も……
この世界(アン ナブ キ シェア ラ)の平和を願ってる。と言う意味では、皆と同じ志を持ってるつもりだよ。」
「クク。
サルクル殿らしい考え方でございまするな。
まぁ……そんなサルクル殿だからこそ……
【貨幣の騎士】や【虹を見たい者達】の思惑を……手に取るように予測する事が出来るのでございまするのでしょうな。」
レイヒト君が、そう言いながら、苦笑いしていた。
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