潜む者達と動き出す者達①
「結局……殆どの時間を、こん中で過ごす事になりそうやね。
しかも……殆ど、山や森。草原の移動やったしな……
それに……サルクルさんの異能のお陰で、ウチ達の世界(ムシュ イム アン キ)のご飯を恋しい!的な事にもならへんかった。
有難い事なんかもしやんけど……元の世界(ムシュ イム アン キ)の友人とかに冒険譚を語れる機会があったとしても……イマイチ、盛り上がりにかけるやろな。」
「確かに。
ディンエ殿からの情報を聞く限りでは……オオカイ殿達の体験談などが、漫画やラノベとしては売れそうでございまするな。
とはいえ……当事者としてならば……
現時点の話にはなるでございまするが……
このチームの一員で良かった。と心の底から思えるでございまするな。」
「せやな。」
プグナコちゃんとレイヒト君の話が止まらない。
「これこれ。まだ……最後の仕事が残ってる。
そう言うのは……仕事を完遂してから話そう。
油断大敵。一寸先は……闇。って言うでしょ。」
「了解。」×2
諭すように話す嫁の言葉に、プグナコちゃんとレイヒト君が素直に頷いていた。
◇◇◇
僕達は、パールス連邦に支援物資を届ける為の40台のトラックと、
それを護衛する、バイクやトライク。ピックアップ トラック等の中に紛れ込むように移動している。
40台のトラックの内、
パールス連邦の北部以外を目指す30台のトラックは、その護衛をするバイクやトライク。ピックアップ トラック等を含めて、比較的、早い段階で僕達と別れる事になる。
そして、パールス連邦とナヤクラース連邦の国境の間に広がる、半径500キロ程度の森が広がる緩衝地帯に、パールス連邦側から、一番近い場所にある、ウラオラという町には……
このキャンピングカーと、もう1台のトラックが、バイクやトライク。ピックアップ トラックに護衛をされながら向かう事になっている。
『若い。って良いのう。』
『あたしゃ。
隣で暇そうにしてる、あんたが羨ましいよ。』
僕達のキャンピングカーに乗り込んでいる、【錬金術師】のジョブ補正を受けている妖人のダラダさんの言葉に、
同じく、僕達のキャンピングカーに乗り込んでいる【物情を繋ぐ者】のジョブ補正を受けている妖人のシャンシさんが反応する。
この2人以外にも、彼達の従魔で、
【超結界】と【超回復】の異能を持つ盾犬(幻獣) のポチと、【キメラ化】と【魂眼】の異能を持つ猫魈(幻獣)のタマが、
僕達のキャンピングカーに乗っている。
彼達の仕事は、僕達の代わりに、パールス連邦の北部に支援物資を配り、トスン連邦に戻る事だ。
因みに、彼達の事を紹介してくれたのは、トスン連邦のルメキタ商会の会長のアグラさんだ。
彼達のお陰で、僕達は……
自分達のペースで、パールス連邦とナヤクラース連邦の国境の間に広がる、半径500キロ程度の森の中にある龍脈に異常を起させている施設を目指す事が出来るようになった。
本当に有難い事だ。
◇◇◇
ダラダさん・シャンシさん夫婦は、10年前にカリーナ帝国に召還されたらしい。
因みに、元の世界(ムシュ イム アン キ)では、自動車整備工場を経営していたらしいのだが……
ご自身や従業員の高齢化や、後継者が居ない事などを理由に、そろそろ廃業をして終活に入ろうか。とか考えられていた時に、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)に召還されたらしく……
元の世界(ムシュ イム アン キ)には、あまり未練がないらしい。
『先刻、久しぶりに電子レンジを使ったけど……やっぱり、便利よね……
ねぇ……あんた(ダラダ)……何とか再現する事は出来ない?』
『う~ん。
ある程度の理屈は分かってるんだが……雷魔法系の術式は……マナの消費量がデカイからのう……
もうすぐ、ムシュ イム アン キに戻られるサクモちゃんに頼る訳にもいかないし……
落ち着いたら……サクモちゃんと同じ【術式眼】を持つ、サスサイ様にでも相談してみるかのう。』
『頼むよ。
電子レンジ。あれは……やっぱり必需品だったよ。』
シャンシさんが、ダラダさんに、この世界(アン ナブ キ シェア ラ)版の電子レンジの製作を強く依頼している。
■■■
「ディンエ殿からの報告が来たでございまする。
状況が大きく動き始めたでございまするぞ。
まず、ディンエ殿の勢力の動きについて報告するでございまする。
カリーナ帝国のサンアン辺境伯殿や、カリーナ帝国の北部の反政府派の貴族達が、ベシアセ連邦のカンガ殿の助力を得て、カリーナ帝国の北都を急襲し、支配下に置かれたようでございまする。
そんでもって、サンアン辺境伯殿達は……
ベシアセ連邦の自治区として独立する事を宣言されたでございまする。
それと……この宣言の直後に、
【オピオタウロスの荷車】・ベシアセ連邦・パールス帝国・トスン連邦・マワタカ国・カバパ連邦・クパドゥ王国が、軍事・経済同盟を結ぶ旨を発表されたでございまする。」
レイヒト君が、そう言うと一旦、話を止めた。
◇◇◇
「でっ。その直後に、カリーナ帝国の南部の貴族達が、一斉に、
聖戦の兵団が帰路に着くであろう、大森林地帯の部族達への交渉に失敗したのか分からないが……
聖戦の兵団が、大森林地帯の部族からの攻撃を壊滅的な被害を受けた事で、聖戦に参加した働き手の殆どの者が戻って来れないと、諜報部隊(カリーナ帝国)や、ギルド(カリーナ帝国支部)から伝え聞いている。
また、そんな状況にも関わらず、
雑食道造り飛蝗の被害の救済はおろか、税の免除すらするつもりは無いらしいと、警備隊(カリーナ帝国)から伝え聞いている。
ただ、我々は……このまま、座して死ぬ気は無い。
この国を壊したカリーナ帝国の無能な為政者という癌を道連れにし、この国の未来を守る為の人柱となる事で……我々は、我々の死に意味を与えるつもりだ!
と言う声明を出されたのでございまする。
また、この声明にカリーナ帝国の南部の貴族達とは犬猿の仲と言われていた、カリーナ帝国の西部・東部の貴族達も、カリーナ帝国の南部の貴族達の声明に一定の理解を示すとともに、
カリーナ帝国を無能な為政者から解放する為に血を流し、この国を在るべき姿に正すのは……カリーナ帝国の南部の貴族達ではなく、自分達だ。
と言う声明を、各々、別々に出されたのでございまする。
そして……カリーナ帝国の諜報部隊と警備隊。そんでもって、ギルドのカリーナ帝国支部は連名で、
民を守る為に立ち上がった、カリーナ帝国の南部・西部・東部の貴族達の行動を支持するとともに、
個別で動いている彼達の架け橋になる事で……この国を蝕む癌の排除に貢献する。
と言う声明を出されたのでございまする。」
レイヒト君が、そう言うと一旦、話を止めた。
◇◇◇
「でっ。ディンエ殿達が掴んでおられる情報だと……
カリーナ帝国の南部・西部・東部の貴族達や、
カリーナ帝国の諜報部隊と警備隊。ギルドのカリーナ帝国支部の一連の行動の裏に【虹を見たい者達】の暗躍があるようなのでございまする。
そんでもって、ディンエ殿達は……
【虹を見たい者達】は、まず、カリーナ帝国の北部以外を傘下に治め、
その後、既に奴達が手中に収めておるナヤクラース連邦と連携しながら、カリーナ帝国の北部。及び、ベシアセ連邦を潰し、その領土を奪うつもりではないか?と予想されておるようなでございまする。
でっ。ディンエ殿は、この予想について……
サルクル殿の見解を聞きたいとの事でございまする。」
レイヒト君が、そう言いいながら、僕の顔をジッと見ている。
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